前週(9/19~9/22)の日本株は、世界的なリスクオフの巻き戻しで円安・株高が進行し、2週連続の大幅高となった。週末の日経平均株価指数は2万0296円45銭と2万円を回復して引け、前々週末比386円95銭(1.9%)高だった。2週間の上げ幅は1000円を超えた。21日につけた2万0481円27銭は6月20日以来約3ヶ月ぶりの年初来高値更新だった。
世界の金融市場は9月上旬、米朝関係緊迫化、米ハリケーン被害拡大による米財出増などを懸念し、リスクオフによるドル安、米長期債利回り低下、株安となっていた。しかし、9月8日に主要3アセットが大きな下ヒゲをつけて反転しはじめ、北朝鮮建国記念日を無事通過、ハリケーン被害は予想を下回ったことで、リスクオフの巻き戻しが市場を牽引しはじめた。
ドル円が9月8日の107円台から20日には112円台まで大きく円安に振れたことを好感し、日本株は買い戻しや新規買いを集めた。389円高となった19日の東証1部の売買代金は3.1兆円を超える大商いで、3兆円超えは6月9日の3.2兆円以来3ヶ月半ぶりだった。
安倍内閣が9月28日召集の臨時国会で10月中の衆議院解散総選挙に踏み切るとの観測が広がったことも、経験則から円安、株高に拍車をかけることになった。
日本のファンダメンタルズは、経済のマクロも企業業績のミクロも好調だ。日経平均のPERは14.3倍と過去のレンジではまだ下限に近く、米国の約18倍、欧州の約15倍よりも割安に放置されている。日本株は年初来のパフォーマンスでも他の主力市場に比べ出遅れ感が強い。
21日の国連総会で米トランプ大統領が北朝鮮に挑発的な発言を行い、北朝鮮もそれに反抗するようなコメントを出した事から、22日の市場では地政学リスクが再び高まる局面もあったが、ドル円は50銭程度の円高、日経平均は50円程度の下落にとどまった。
地政学リスクさえ落ち着くならば、16年6月につけた2万0952円を抜きITバブル以降の高値更新への期待が高まっている。
前週(9/19〜9/22)の振り返り
19日の日経平均株価は2日続伸、前週末比389円88銭(2.0%)高と急騰し2万0299円38銭で引けた。2万円台回復は8月7日以来。約3カ月ぶりに年初来高値を更新した。東証1部の時価総額は613兆円を超え、約2年ぶりに過去最高を更新した。
日本の連休中に、米長期金利が上昇し円安が進んだ。NYダウも7連騰で5日連続の史上最高値更新だった。ドル円は15日の110円台後半から111円台半ばまでギャップアップした。円安と解散総選挙でのアノマリー期待で株の先高感が高まり日経平均は急騰、東証1部の売買代金は3.1兆円の大商いとなった。
20日の日経平均は小幅ながらも3日続伸、前日比11円08銭(0.1%)高の2万0310円46銭で引けた。連日の年初来高値の更新で、15年8月18日以来2年1カ月ぶりの高値となった。
20日の米FOMC、21日の日銀決定会合を控えて、利益確定の売りをこなしながらも、押し目買い意欲は強い。売買代金も2.7兆円と活況が続いた。
21日の日経平均は4日続伸、前日比37円02銭(0.2%)高の2万0347円48銭で引けた。3日連続で年初来高値更新した。
米FOMCの金利予想ではまだ年内1回、来年3回利上げが適切との見方が強かったため、米長期債利回りが2.29%まで跳ね上がり、日米金利差拡大の思惑からドル円は約2ヵ月ぶり水準となる112円51銭を付けた。円安を好感して日経平均はギャップアップして始まり、一時2万0481円と2万0500円に迫り前日比170円ほど上げていた。
ただ、午後に国内機関投資家と思われる800億円の売りバスケットが入ったため、利益確定の売りが増え始め上げ幅を縮小して引けた。東証1部の売買代金は2.8兆円と活況を続けている。
22日の日経平均は5日ぶりに反落、前日比51円03銭(0.3%)安の2万0296円45銭で引けた。
NYダウが利益確定売りで10日ぶりに下落した。国連総会で米トランプ大統領が北朝鮮に挑発的な発言を行い、北朝鮮もそれに反抗するようなコメントを出したことで地政学リスクが再び意識された。4連騰後の週末と言うこともあって一時100円程度下げる局面もあったが、ドル円が111円台半ばで下げ渋り、日本株の押し目買い意欲も強く下げ幅を縮小して引けた。東証1部の売買代金も2.5兆円と高水準を維持している。
先週の海外動向を振り返る
22日のNYダウは9ドル安と続落したものの週間では2週連続の上げとなり、81ドル(0.4%)高の2万2349ドルで引けた。FOMCを通貨後、新規材料難で方向感が出づらい展開だった。ドル円もNY市場は112円05銭で引け、先週末の東京の17時のレートからほとんど動きがなかった。日経平均先物の夜間取引も大阪先物の引け比15円と動きは少なかった。
「9/26〜9/29」の株式展望
今週の日経平均のメインシナリオは、2万100円から2万1000円のレンジを想定している。
朝鮮半島の地政学リスクは残るものの、11日の国連による北朝鮮の制裁決議では原油供給停止のハードランディングとならず、ロシア、中国も採決に加わり全会一致で採決された。米朝の軍事衝突の可能性は減ったとの見方が主流である。地政学リスクさえなければ、日本株のファンダメンタルズは好調で割安感が強いとの見方が支配的だ。
解散総選挙のアノマリーもある。1990年以降の過去9回の解散総選挙での日経平均とドル円の推移を見ると、解散日から選挙投票日までで日経平均は8勝1敗と大きく勝ち越しており、ドル円は4勝5敗で円安となることの方が多い。特に過去4回はいずれも期間中に日経平均が上げており平均騰落率は+6.2%となっている。
テクニカルでは、5日移動平均線が、13日に25日移動平均線を、19日に75日移動平均線をゴールデンクロスした。7月24日以降下落していた25日移動平均線が9月14日以降上向きに転じた。チャート的には強気で行けるところだ。25日移動平均線からの乖離が21日には一時4%を超えてきており過熱感もではじめたが、急騰時においては乖離が10%を超えることもあり特に気にすることはなさそうだ。目先は5日移動平均である2万0232円がサポートになる。仮にブレークした場合も心理的抵抗線の2万円がサポートになろう。レジスタンスは15年6月高値の2万0952円まで節目はない。これを抜くようならITバブル後の高値更新となり、96年以来11年ぶりの2万1000円台大台替わりが見えてくる。
今週の主なイベントは、日本では28日に内閣解散が予想されており最大の材料。総選挙は10月10日公示、22日投開票が本命視されている。25日には大阪で日銀黒田総裁の挨拶、26日には日銀金融政策決定会合7月要旨、28日には黒田総裁が全国証券大会で挨拶、29日には日銀決定会合9月の主な意見公開と日銀関係のニュースが多い週だ。
株のイベントも多い。26日には9月末権利付き取引最終日となり、日経平均は9月末の配当が130円程度落ちる予想。29日引け値基準では日経平均銘柄入れ替えがある。リクルートと日本郵政が10月2日から新規採用、北越紀州紙と明電舎が除外される。日本郵政2次売却の条件決定が25日から27日までのいずれかの日を予定している。
海外では25日に米ダドリーNY連銀総裁講演、26日にイエレン議長講演があり内容によっては為替に動きがでそうだ。10月1日から8日までが中国が国慶節・中秋節の連休にはいる。また日本のインバウンドが話題になることだろう。10月1日にはスペイン、カタルーニャ自治州の独立の住民投票がある。
経済指標は、日本では29日の8月消費者物価指数、8月鉱工業生産が重要。海外では25日の米8月シカゴ連銀指数、26日の米9月CB消費者信頼感、米7月S&P/ケースシラー住宅価格、米8月新築住宅販売件数、27日の米8月耐久消費財、8月中古住宅販売、28日に米4-6月GDP確定値、29日の米8月PCEコア・デフレーター、米9月シカゴPMI、9月ミシガン大消費者信頼感、9月個人消費・所得などが注目されよう。(ZUU online 編集部)