ドル円予想レンジ111.00-114.00

「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」-。大島衆院議長が詔書を朗読すると、これを受けた衆議院議員が一斉に万歳三唱。その後は拍手で閉会となり各議員らは互いに挨拶、握手を以て第48回衆議院議員総選挙(465議席)に向けて動き始めた。臨時国会召集日にあたる9/28正午、衆議院本会議開始冒頭1ドル112.85円近傍での出来事だ。

10月入りでのドル円政治事情

衆院解散で、選挙戦が本格化する。対立軸は安倍「自民」、小池「希望」だ。筆者が興味を持つのは「小池都知事・希望の党」が民進党を飲み込んだ如く、“アベノミクス”をオマージュして、それ以上の“コイケノミクス”が公約に掲げられるか否かである。トランプ米大統領同様に金融規制緩和も示されれば、現状のオールリフレ派“日銀正副議長を含めた金融政策審議員”の施策も抱えて、円売り余地が強まる、との読みである。

10月入りでのドル円需給事情

10月入りで筆者が注視しているのは、ドル買い需給の低減化だ。理由は、以前から指摘していた9月期末越えの本邦勢ドル調達ニーズが終了したことによる。9月中旬以降、イエレン議長をはじめとしたFRB幹部の強気発言を裏付ける米指標群の好調と相まって、米年内利上げ期待が上昇。米系金融機関などがドル資金の供給を絞ったとの観測は、円投・ドル転スワップのドル調達コストを押し上げていた。米長期金利の上昇を追走した格好で、直物での需給手当が9月末のドル円水準を押し上げた、というのが筆者の見方である。

では10月に入り、期初はどうか。確かにシカゴFEDウオッチでは12/13のFOMC利上げ確率は76.4%にまで上昇。金利面では対ドルでの円買いインセンティブ低下は明らかだ。しかし10月入り期初・第一週において、本邦機関投資家を中心とした外貨買い円投などのアセットアロケーションが急遽、変更・修正するなどとした切迫性が聞こえてこない。4月新年度以降、1ドル108-114円枠内で推移するなかで、せいぜい200日線を指針とする際の執行程度、と読むなら更なるドル円上値追いへの嘱望は危険なのではないか。

10/2週ドル円

上値焦点は、9/27-28高値圏で7/12イエレン議会証言後の戻り高値で7/14の下落起点の113.20-30。超えれば7/14高値113.58、7/12高値113.98、節目の114.00。下値焦点は200日線維持意識で9/27-28安値圏112.28-22。割れたら9/25-26安値圏111.49-46、日足一目雲上限111.38。最終橋頭堡は週足一目雲上限110.98を推考。

為替見通し9-29

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト