段取りに近い概念として、スケジュール作成が挙げられます。すべてに余裕を持って終わらせるように、例えば、「〆切2日前の提出」「2本早い電車」など、前倒しの癖をつけましょう。また、その日に行うべきことを前日までにリスト化しておくなどがポイントとなります。

(本記事は、伊庭 正康氏の著書『 会社では教えてもらえない 残業ゼロの人の段取りのキホン 』すばる舎(2017年7月11日)の中から一部を抜粋・編集しています)

最後に帳尻を合わせようとするからバタバタする

段取りのキホン,書籍
(画像=Webサイトより)

もし、いつも締切直前にバタバタしてしまうとしたら、どこかでこう思っていませんか? 「最後に帳尻が合えば良い」と。
昔、私もそう思っていました。でも、この考え方は危険です。知らないところで「配慮がない人だな」と思われても仕方がありません。

あるケースで考えてみましょう。あなたが緊急のクレーム対応に追われていたとします。メールの受信箱を見ると、社内のAさんから1通のメール。そのメールを読むと、「修正点があれば、明日までに返事をもらってもよろしいですか?」とある。内容は、顧客リストの住所、社名が間違えていないかのチェック。エクセルの添付を開けてみると、ザッと300件。さて、その時、あなたはどう思いますか。「それどころじゃないのに……。もっと早く言ってよ」と思いますよね。こういうこと。自分勝手だと思われても仕方ないのです。

時間に疎い人は、お金の貸し借りに疎い人と同じくらいに、確実に信用を失っていると思ったほうが良いでしょう。いわゆる段取りの良い人は、この怖さを知っているのです。だから、あえて余裕を持った「マイ締切」を必ず設けています。

ちなみに、この余裕のことをビジネス用語では「バッファ(緩衝)」と呼び、この「バッファ」を設けることで、想定外のアクシデントに対応します。実際の締切よりも前に、マイ締切を設定することで、約束日よりも早く提出できるようになります。これはすべてのことに対し、約束した締切よりも早く締切を設定する方法です。イメージとしては、1〜2割程度の前倒しをすると良いでしょう。

例えば、木曜日の16時が締切なら、水曜の朝には提出するよう予定を組んでおきます。こうするだけで、言ってみれば相手に1〜2日の余裕をプレゼントできる、というわけです。

2週間前には手帳を8割埋めている

スケジュールをどのように立てると良いのか、という質問をいただきます。というのも、私の予定はいつもビッシリなのに、なぜか余裕があることを不思議に思われることが多いからです。

たしかに、「研修、講演、コーチング」で年の200回は埋まっており、研修のテキストは全部、自前で作成し、また、紹介やインターネットからのお問い合わせをいただくと、自らが打合せに出向き、お客様に定期的に訪問することも心がけているので、ほとんど外出。連載は3本。本は年に3〜4冊。いかなるメールも即レスを基本とし、一方で、息抜きがてら、ジムに週2回、英会話に週2回。結婚20年。派手さはないですが家庭も円満です。旅行にも必ず行くようにしています。でも、バタつくこともないですし、ストレスもそれほどありません。種明かしをすると、これは確実にスケジューリングのおかげです。

私のスケジュールをお見せします。研修と講演が2回しか入っていない、いわば「打合せウィーク」を抜粋したものです。見ていただきたいのは、3点。これをおさえておくと、バタつくことなく生産的なスケジュールを組むことができます。

  • ほとんどが、2〜4週前までには決まっている
  • 前週には、隙間時間を埋めるべく、アポイントを入れている
  • 突発の用事があったとしても、移動時間と隙間時間にしかやらない(やれない)もちろん、ビジネスの特性にも左右はされますが、基本は、いかに早く予定を埋めていくかです。

旅行やセミナーに参加するなら、3カ月前には予定がわかるはずですし、美容院に行ったり、友人と会う予定なら、1カ月前には決められるはずです。商談もこちらから働きかけると、1カ月前には決められます。つまり、早い段階でスケジュールのあいまいさをなくすことが基本なのです。そうすることで時間に振り回されることなく、自分が心地良いペースで仕事を進めていけます。

盛り込みすぎで4割のタスクが未完了に

TODOリストを作成しても、4割のタスクが未完了のままになってしまうと言われます。実は、TODOリストの作り方に問題がある場合が少なくないのです。ここでは、確実に完了に導くTODOリストを作成するコツを紹介します。

(1)タスクを分解する

「営業会議の準備」とリストに書くだけではザックリしすぎです。「会議室をおさえる」「出欠を確認する」「議事予定を送っておく」といったように、タスクを分解して具体的な実行リストにしましょう。

(2)ムリのない「タスク量」に抑える(所要時間も書いておき、総時間で管理をする)

未完了になる人のTODOリストを見ると、つい欲張って盛り込みすぎ、タイムアップになっていることも多いようです。 その期間内に終えられる量にすることが絶対の条件です。1つは、タスクごとに所要時間を記入してみてください。また、「書くほどではない生活のルーティーン」は書かないことです。たとえば、「昼食」「日経新聞を買う」等は、書かなくても良いことに入ります。絶対にやらないといけないことだけをリスト化しましょう。

(3)アクシデントに対応できる「タスク量」に抑える

タスクが未完了になる大きな原因は、予期せぬ「アクシデント」が起こることと言われています。たとえば、突然のお客様からの電話、依頼メールの対応に思った以上に時間がかかってしまった等です。タスクは詰め込みすぎず、アクシデントが起きても対応できる量にしておきましょう。1日8時間勤務なら、1時間半位の余裕は見たほうが良いでしょう。この(1)〜(3)の流れに沿ってTODOリストを作成することで、タスクのやり残しをなくすことができます。

前日までにリスト化しておくのが鉄則

出勤してから、「朝の忙しい時に、TODOリストを作る」なんて、時間のムダ。これは私の持論です。マラソンで例えるなら、スターターが「パーン」と鳴らした時に、準備でモタモタしているイメージ。始業と同時に、走り出したいところです。TODOリスト作りは、前日までにサクッと済ませておきましょう。ルールは3つ。

  • 作成は「前日の退社前」まで(当日の朝は確認するだけに)
  • 長くても「5分程度で」終える
  • 忙しい人は「隙間時間」に作っておく

でも、どうでしょう。前日に作成するのって面倒だと思いませんか?1分でも早く帰りたいですよね。だから「隙間時間」の活用なのです。デスクに座ってやらず、帰り道、もしくは日中の移動等の隙間時間でやってしまうのがコツ。手書きのメモでも良いでしょうし、スマホ、タブレットで作成しても良いでしょう。面倒なことは、隙間時間を使ってサクッと終えるのが、正解です。

一方、長期スパンのスケジュールは、5分と言わず、10〜20分程度時間をかけ、書き出したタスクをTODOリストに書いておくと良いでしょう。長期をしっかり考え、短期はサクッと。これがTODOリストを考えるポイントです。

伊庭正康
1991年リクルートグループ入社。営業職としては致命的な人見知りを4万件を超える訪問活動を通して克服。その後は、プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回、累計40回以上の社内表彰を受けた。営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社(株)らしさラボを設立

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