資料作成はビジネス推進において非常に重要かつ、ビジネス資料は、「一瞬」で判断されます。弱小ベンチャーを上場まで押し上げた資料作成のコツなどをご紹介していきます。これらのコツで、ビジネスのスピードを向上させましょう。

(本記事は、永田豊志氏の著書『 会社では教えてもらえない仕事がデキる人の資料作成のキホン 』すばる舎(2017年5月24日)の中から一部を抜粋・編集しています)

よくできた!と思うものほどボツなのは……

会社では教えてもらえない 仕事がデキる人の 資料作成のキホン
(画像=Webサイトより 画像をクリックするとAmazonに飛びます)

上司に報告書を作るように言われて、自分なりに一生懸命にまとめたのに、「読みづらい」「何が言いたいかわからない」と言われて突き返されてしまう……。

プレゼン資料も一生懸命カラーバリエーションを豊富にしたのに、かえって見づらいと言われてしまう……。みなさんもこんな経験ありませんか?

一生懸命作っているのに失敗してしまう。それは資料作成のコツをおさえていないからなのです。

私はかつてリクルートという会社の新規事業を開発する担当部署にいました。

リクルートというのは本当にエネルギッシュな会社で、実に多くの新規事業が経営者のトップダウンではなく、現場の社員から提案され、事業化されるおもしろい会社でした。社員全員が起業家精神にあふれていました。

私は在職中、実にさまざまな新規ビジネスや新媒体の提案を行いました。中には、その後にリクルートやそのグループの柱となるようなヒットもあったのですが、華やかな成功の裏には、とてつもない失敗が数多くありました。そして、その裏にはさらに多くのお蔵入りの企画が山積みになっていました。

私は企画を考えるのがとても好きだったので、企画数だけは人並みはずれていたのですが、なにせ、上司や役員の会議での通過率が最低でした。「こんなおもしろいサービス、絶対ウケるのに、なぜ?」と何度嘆いたことか。浅はかな私は、それを見る目のない上層部の問題だと切り捨てていたのです。

しかし、実態はまったく逆でした。私は根本的な間違いを犯していたのです。
読み手がすでに自分と同じテンション、自分と同じ予備知識、自分と同じ視点で資料や提案書を読むと考えていたのです。言語道断な資料作りでした。

自分のおもしろいと思うところをフォーカスしがちなので、どうしても客観的視点が抜けていたり、論理が矛盾していたり……。好きなところばかりフォーカスするので、経営のプロから見れば、「???」といった印象の資料になっていたはずです。

これではアイデアがおもしろくても、会議を通過するわけがないのです。

情報量は二の次。「読みやすさ」が一番

冒頭でもお伝えした私の失敗。これは、つまり読み手目線の資料作りができていないということ。資料はすべて相手ありきです。みなさんは読み手のことをどのくらい知っているでしょうか?

資料を作るとき、資料に何を入れたらいいか、情報のチョイスばかりに目がいきがちですが、一番大切なことは、読み手がどのように感じるかということです。主役は資料そのものではなく、あくまで読者なのです(この本だってそうです!)。

読み手に理解され、読み手の行動を促すものでなければ、資料としての価値はありません。読み手が理解できないもの、アクションにつながらないような資料は、情報量がいくら多くても意味がないもの、ということになってしまいます。

では、読み手にとって読みにくい資料とはどんなものなのでしょうか。

・資料の枚数が多い
・文字量が多い、文字サイズが小さくて読みにくい
・知らない専門用語が出てくる
・論理が破綻しているので、何を言っているかわからない
・情報を並べているだけで、心に響かないなどなど。

いかがでしょうか。読者のみなさんも心当たりがあるかもしれません。

読み手である上司や社長、お客様にとっては、その資料をあなたが寝ずに作ろうが、情報を十分に盛りこもうが関係ないのです。枚数が多すぎたり、文字数が多すぎたりしてしまったら、それだけで読み手は見る気が失せます。

あなたがプレゼンをしているのに、出席している人がつまらなそうにしていたり、眠ってしまっていることはありませんか?

その理由はただ1つ。あなたの資料が読み手にとって興味を持てるものではないからなのです。

厳しい投資家や顧客を納得させる

資料作りが苦手だった私は、独立して起業した後も、自分で作ったダメ資料のせいで投資家や顧客から総スカンをくらい、事業存続も危うかった時期がありました。

そこで、一念発起し、身の周りで「これはデキる人の資料だな!」「わかりやすい」「グッときた!」という資料をかき集めて並べ、その共通項を洗い出すようにしました。

自分の提案書などにも、そういった要素を注意して盛りこむようになり、徐々に私自身のビジネスも好転していき、起業した小さなベンチャーが9年後には上場するまでにいたったというのは、本書の「はじめに」でもお話しした通りです。

自分の資料の改善のため、優れた資料を何度も眺めながら、私はその特徴やポイントをピックアップしてメモしていきました。

そして、それらをさらにグループ化して、まとめたポイントは次の5つです。

1読み手の視点で作られている
2シンプルである
3論理的である
4数字や事実を用いている
5次のアクションが具体的

1の「読み手の視点で作られている」は、最初にお伝えした通り、読み手がどのような人で、どのような予備知識や関心を持って、どのような目的を持って読むかを意識して作っているということです。

2の「シンプルである」というのは、必要最小限の情報で最大の効果を出すように、項目やメッセージを選んでいるということです。

3の「論理的である」は、ある情報を分類するときに、すべてを網羅していて、結論とそれを導き出すための理由との関係に、無理がないという状態です。4の「数字や事実を用いている」とは、一言で言えば客観的であるということです。自分の偏った印象や考え(主観的)ではなく、誰もが同じ考えにいたるような客観的な理由や事象ですよ、ということをしっかりアピールしている点です。

5の「次のアクションが具体的」というのは、資料を読んで、次にとるべきアクションが何か、しっかり記載しているということです。

これらのことが満たされることによって、格段に資料が見やすく、わかりやすくなるのです。

永田豊志
知的生産研究家/株式会社ショーケース・ティービー共同創業者兼取締役副社長。九州大学卒。リクルートで新規事業開発を担当。その後、出版社や版権管理会社などを経て、株式会社ショーケース・ティービーを共同設立。創業11年目で東証一部上場へ導いた。現在は取締役副社長として、経営全般を指揮している。

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