先週(10/23〜27)の東京為替市場で円は2週続落、東京インターバンク市場の27日17時のレートは114円11銭と前々週末比78銭の円安で終えた。
先週の米経済指標では、耐久財受注、新築住宅販売、GDPなど景況感を示すものに予想を大きく上回るものが続出。米長期金利は一時17年3月以来となる2.47%まで上昇した。CMEのFFレート先物が示す利上げの確率は12月のFOMCではすでに100%と完全に12月の利上げは織り込んだ。18年3月の確率も4割程度まで高まっている。日米金利差拡大の思惑からドル高円安トレンドは継続した。
22日投開票の日本衆院総選挙で自民党が予想を上回る快勝だった。年内の追加景気対策などアベノミクスの継続を期待し、日経平均が21年ぶりの高値更新、27日には96年7月5日以来となる2万2000円台に乗せた。日本株高もリスクオンによる円安を助長している。
米国の景気の基調は強く、ドル円も今年のボックス圏である115円と108円のレンジの上限である115円を目指す可能性が高い。もっとも、今週は1日に米税制改革案、3日までにFRB議長の後任人事の発表といった米政策の重要イベントを控えており、その内容次第でドル円の動きも大きく振れる可能性がある。税制改革が計画通りとなり、後任人事がウォーシュ、テイラーなら115円が照準になりそうだ。
先週(10/23〜27)の振り返り
23日の東京為替市場で円は5日続落、東京為替市場の17時のドル円レートは113円79銭と前々週比46銭の円安だった。
22日投開票の衆院総選挙で自民党圧勝。日本株高とアベノミクスによるリフレ政策と日銀の緩和継続期待から円安が進み、東京市場では7月11日以来となる114円台をつけた。
24日の東京為替市場で円は6日ぶりに反発、ドル円の17時のレートは113円68銭と、前日比11銭の円高だった。
NYダウの連騰が6日で途絶え、NY為替市場で円安が一服したことを受け、朝方は円買いが優勢で113円25銭まで円高が進んだが、日本株が過去最長となる16連騰になると円の上げ幅も縮小した。
25日の東京為替市場で円は反落、ドル円の17時では113円90銭と前日比べ22銭の円安だった。
テーパリングに言及する予定の注目のECB定例理事会を26日に控えて、様子見気分が強くなった。ドル円の一日のレンジ23銭と小動きだった。
26日の東京為替市場で円は反発、17時のドル円は113円78銭と前日比12銭の円高だった。
NY市場で米長期債利回りは一時2.475%と今年3月以来の水準に上昇した。最近は米長期金利上昇と円安の相関関係は強いのだが、金利が上がった割にドル円の動きは限定的だった。ECB定例理事会とFRB議長の後任人事発表を控えて動きづらい展開だ。
27日の東京為替市場で円は反落、17時のドル円は114円11銭と前日比33銭の円安だった。
ECB定例理事会でテーパリングが発表されたが、緩和ペースは想定よりも緩やかでリスクオンの円安となった。日経平均が96年7月5日以来21年3カ月ぶりに2万2000円台に乗せて引けると、ドル円も16時40分ごろに114円31銭と7月11日以来の安値を付けた。
先週の海外市場を振り返る
27日のNY為替市場で、ドル円は日本時間よりも円安が進行、朝方に114円45銭を付けた。 米7〜9月期のGDPが市場予想を上回ったことと、スペイン上院がカタルーニャ州の自治権停止を承認したことでユーロ安ドル高となったことで円は売られた。
もっとも、FRB議長の後任人事で利上げについてハト派のパウエル理事長が優位と伝えらえたことでNY市場のドル円は113円75銭と下げ幅を縮小して引け、東京市場の引け114円11銭より36銭ほど円高レベルで引けている。
27日の米国株は続伸、NYダウは33ドル(0.1%)高の2万3434ドルで引けた。週間では7週連続高となり105ドル高だった。26日引け後にアマゾン、グーグル、マイクロソフトといった米国株を牽引してきたFANG銘柄が好決算を発表しており、ハイテク比率の高いナスダック総合指数は2.2%高と急騰し過去最高値を更新した。株ではリスクオンのトレンドは継続している。
今週(10/30〜11/2)の為替展望
今週の東京為替市場でのドル円のメインシナリオは、113円34銭から115円52銭を想定している。
基本的にはリスクオンの円安トレンドで年初からのボックス圏の上限である115円を目指す流れだとみている。
ただ今週に関しては、米国の税制改革案、FRB議長の人事次第で上下する可能性が高い。 税制改革は、法人税を20%に減税ならびにリパトリ減税の方針をすでに発表済み。リパトリ減税は海外に内部留保をもった世界的な複合企業やハイテク企業が資金を米国に戻す可能性が高いため、ドル高・円安要因。減税はすでに世界の金融市場は織り込んでいるため、想定よりも小幅ならばリスクオフになる可能性がある。
FRB議長の後任人事では、ウォーシュ元FRB理事、テイラーFRB理事なら今よりもタカ派で円安、パウエルFRB理事もしくはイエレン議長再任なら円高となる可能性が高いだろう。
テクニカルでは、ドル円の7月11日高値114円49銭から3月10日高値の115円52銭がレジスタンス。サポートは10月26日安値の113円34銭、抜けた場合は20日移動平均線の112円88銭が次のサポートか。
今週のイベントでは、日米の金融政策会合がある。30〜31日が日銀金融政策決定会合、31〜1日がFOMCだ。どちらも政策据置がコンセンサスでいつもよりは注目度は低い。2日には英国の金融政策も発表される。日本では、1日の特別国会召集から、首班指名、組閣が材料となる。米国では1日に税制改革案、3日までに発表されるFRB議長の後任人事発表が最も重要なイベント。再来週の5〜7日が日米首脳会談となる。3日は日本が文化の日で3連休。
経済指標では、日本では31日に9月の鉱工業生産、9月家計調査、1日に新車販売台数、2日に10月の消費動向調査がある。海外では31日に中国製造業PMI、ユーロ圏7〜9月のGDP、1日に米10月CB消費者信頼感指数、1日に米10月ADP雇用統計、米10月ISM製造業景況指数、米10月新車販売台数、3日に米10月雇用統計、米9月貿易収支、米10月ISM非製造業景況指数が注目される。(ZUU online 編集部)