日経平均予想レンジ22,057~22,757円
今週は、欧米株安や円高進行など外部環境悪化を嫌気したほか、企業決算発表一巡で買い材料が乏しい中、日経平均は先週急騰した反動もあり、今年初めての6日続落を絡め、22,000円を下回る場面が見られた。週末には一時22,700円台を回復したものの、22,396円で終了した。
海外の焦点
米国では、懸案の税制改革案は米下院の本会議で可決した。市場では、トランプ大統領や共和党執行部が目指していた、23日の感謝祭までの下院通過で安心感が広がっている。ただ、審議中の2019年に遅らせる上院案に対しては、与党内でも反対が根強い上、法案一本化に向けた上下両院での調整難航も懸念されるだけに、注視しておく必要はありそうだ。
国内の焦点
株式相場は、過熱感を冷ます自律調整局面に入ったようだ。日経平均は23,300円台に乗せた後、波乱の展開となった。先週EPS1,509円に見合う適正水準に乗せたことで、割安修正はほぼ達成したといえる。今後予想利益が1,550円程度まで上方修正されれば、上値余地は24,000円前後に切りあがるが、現水準にとどまると、9/11から始まった上昇相場は一旦達成感が強まる可能性が考えられる。
テクニカル面では、11/9高値23,382円は25日線との上方乖離率は7.8%と超過熱を示し、いつ上昇が止まってもおかしくない状態まで買われた。
又、株式相場が急伸する直前のNYダウ21,797ドルに対し、日経平均は19,274円(9/8)と2,523円出遅れていた。11/7の日経平均終値高値は22,953円となり、NYダウの23,563ドルとの格差は610ptに縮小し、日経平均の出遅れ感は解消したといえる。この間、外国人は現物、先物合計で5.3兆円買い越した。短期間に大幅に買い越したことや、出遅れ修正一巡から慎重姿勢をとる可能性が指摘される。
今週の下落では、25日線の位置する22,000円が心理的節目として機能したことで上昇トレンド継続への期待は繋いだといえる。もっとも25日線に接近する場面では、PERは14.4倍となり、売られ過ぎによる割安感は強かった。足元では、再び戻りを試す局面ながら高値圏で大商いをして上値でのシコリも多いと思われる。従って、戻り待ちを消化する3兆円規模の売買代金を維持する必要はあるであろう。エネルギーが伴わないと、2番天井のリスクが高まるだけに注視しておきたい。
来週の株式相場
以上、来週は9月中旬以降の急騰後の調整局面にあるが、好調な企業業績を背景にテクニカル的な割高感の解消を手掛かりに自律反発力を試す局面と捉えている。日経平均のレンジは上値は11/17高値22,757円が抵抗線として意識され、下値は25日線22,057円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト