読者の中にはクルマを運転する人も多いことでしょう。2017年4月に「自動車損害賠償責任保険(以下、自賠責保険)」の保険料が引き下げられたのは記憶に新しいところです。全車種の保険料を値下げ改定したのは9年ぶりのことで、改定率は6.9%の引き下げ(全車種平均)となりました。

ちなみに、今年5月に損害保険料率算出機構は「任意加入自動車保険の保険料の算定基準」となる「参考純率」を平均で約8%引き下げると発表しました。この影響で2018年は「任意加入の自動車保険(以下、自動車保険)」の保険料も平均2〜3%引き下げられる予定です。

「参考純率」引き下げの背景には、対物賠償責任保険や車両保険の「保険金の支払い減少」があります。つまり、「交通事故の減少」に伴って「保険金の支払い」も減少し、保険料も引き下げられる方向にあるのです。

今回は2018年に向けた「自動車保険の新潮流」について解説しましょう。

自動車保険の「家族限定」が廃止される?

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(画像=Thinkstock/Getty Images)

先の「参考純率」でもう一つ注目されるのは「家族料率の算定を取りやめた」ことです。この影響から自動車保険の「家族限定」という契約がなくなるかも知れません。

承知の通り、自動車保険の対象となる運転者は「本人・配偶者」「家族限定」「限定しない」という3つの項目に分かれていました。「本人・配偶者」とは文字通りクルマを保有する本人と配偶者だけです。「家族限定」は本人と配偶者、同居の親族、別居の未婚の子が事故を起こしたときに補償されます。「限定なし」は家族限定に友人に貸した場合も含まれます。

「家族限定」が廃止される理由の一つとして、若者のクルマ離れによって、子供が親のクルマを運転するケースが少なくなったためと考えられます。また、昔に比べ自分のクルマを友人に貸すケースも少なくなり、「家族限定」と「限定なし」のリスクに大した差がなくなったことも廃止の要因と見られます。

IOTやAIで「進化する自動車保険」

ところで近年は「衝突被害軽減ブレーキ」など安全運転を支援するシステムも普及しています。こうした技術の進歩も冒頭で述べた「交通事故の減少」の要因となっていると考えられます。「完全自動運転」が実現するのもそう遠くないのかも知れませんね。

IOTやAIに象徴される技術の進歩は、自動車保険のあり方を大きく変えようとしています。

たとえば、2018年は「テレマティクス保険」という自動車保険が次々と発売される予定です。

「テレマティクス」とは通信のテレコミュニケーションと情報工学のインフォマティクスをあわせた造語です。たとえば、ドライバーがどの程度安全運転をしているのかを、カーナビやスマホを通じて情報収集し、急ブレーキ・急発進が少ない等の条件を満たした人は「保険料が割引になる」商品です。これを「PHYD(運転行動連動型保険料方式)」といいます。

一方、テレマティクス保険には「PAYD(実走行距離連動型保険料方式)」と呼ばれる商品もあります。走行距離に応じて保険料が変動する商品は「(走行距離を)事前に申告」するタイプが多いのですが、PAYDは「実際に走った距離」を計測し保険料を算出するもので、これからの主流となることが考えられます。

「安全運転」で保険料が2割安くなる

たとえば、損保保険ジャパン日本興亜は、スマホのカーナビアプリでドライバーの安全運転データを収集し、「安全運転スコア」に応じて保険料が最大2割安くなるサービスを2018年1月より提供する予定です。

同じく、あいおいニッセイ同和損害保険も2018年1月からレクサスを対象に新しい自動車保険の販売を予定しています。コネクテッドカーから取得する走行データ(走行距離や運転特性等)に応じて保険料の割引が適用される商品で、こちらも最大2割安くなります。対象者種も来年夏にクラウンを加えるほか順次拡大する予定です。

自分のカーライフに「最適な選択」を

一方、東京海上日動火災保険は自動車保険の契約者に月額650円でドライブレコーダーを貸し出すサービスを提供しています。こちらは2017年4月に開始したサービスで、事故などによる強い衝撃を検知して、ドライバーに通知すると同時に事故の連絡も自動発信するシステムです。

カーライフは人それぞれ。2018年は自動車保険も大きな変化を迎え、これまで以上に新しい情報があふれることも予想されますが、自分のカーライフに最適の商品・サービスを選択したいものです。

長尾義弘(ながお・よしひろ) NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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