東京株式市場は短期的にはやや調整モードとなっています。日経平均株価は一時23,000円台という25年10ヵ月ぶりの高値を回復しましたが、その後は上昇一服となっています。

反面、中小型株が多くを占める新興市場が勢いを取り戻しつつあります。足元でも11/16(木)から11/24(金)まで日経ジャスダックは6営業日続伸となっています。もしかすると、12月相場の主役は中小型株ということになるかもしれません。

そうした中、いよいよ12月相場が接近してきました。12月は3月や9月に続き、株主優待の権利が確定する銘柄数が多い月になっており、会社のことを投資家に良く知ってもらいたい中小型株の多くも予定に含まれています。そこで今回の「株のお姉さんの中小型株レポート」では、12月に株主優待の権利が確定する銘柄を「最低投資金額20万円以下」に絞ってご紹介するとともに、株主優待投資の各種ノウハウについて考えてみたいと思います。

20万円以下で買え、好配当も期待の「12月優待銘柄」はコレ!?

株式投資には収益をあげる方法に、大きく分けて2つ方法があります。

ひとつは「キャピタルゲイン」です。「キャピタルゲイン」とは「値上がり益」のことで、つまり株を売却したときに得る利益のことです。例えば、20万円で買った株が30万円で売れたとき、諸コストを勘案しない場合、その差である10万円が利益となり、これを「キャピタルゲイン」と言います。

一方の「インカムゲイン」とはおもに「配当金や利子によって稼ぐ利益」のことです。配当金とはその会社の株を保有している株主に対して利益が上がったときにその利益の一部を株主に分配するものです。また、「配当金」以外にも「株主優待」というものがあり、これを広義の「インカムゲイン」として考えることもできるようです。

「株主優待」は長期で会社の株主になってくれるよう、また、株主になってくれたお礼の気持ちも込めて、会社が例えば、自社製品やお米、食事優待券、クオカード、割引チケットなどを株主にプレゼントしてくれるものです。

「株主優待」をゲットするためにはどうしたらよいでしょうか。

すかいらーく <3197> (表1)を例にご説明すると、同社の株価は1,610円(11/22)であり、その株価で最低投資金額(最低投資単位である100株分)を購入すると161,000円(諸コスト未考慮:1,610円×100株)になります。最低投資単位の同社株を権利付最終日である12/26(火)までに保有していれば「配当」として1株あたりの配当金(期末配当)および「株主優待」として3,000円相当の優待食事券を受取ることが出来ます。

今回の「株のお姉さんの中小型株レポート」では、12月に権利が確定し、最低投資金額が20万円以下で買える株主優待銘柄で、平均以上の配当も期待できる銘柄をご紹介してみました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)12月に株主優待の権利が確定する銘柄であること
(2)最低投資金額が20万円以下であること
(3)予想配当利回り(11/22現在・会社予想)が東証1部平均(1.53%)超であること

上記の全条件を満たす銘柄をSBI証券の株主優待検索ページで、「閲覧回数」の多い順に15銘柄並べたものが表1となっています

日本株投資戦略
(画像=SBI証券)

株主優待投資で注意したいこと

12月に権利が確定する株主優待銘柄の中ですかいらーく <3197> は、なぜ投資家の関心が強いのでしょうか。同社は再上場して以来、株主優待の手厚い銘柄として知られるようになりましたが、本年2月には、従来よりも大幅に優待内容アップを決定しました。100株以上300株未満を所有する株主が6月と12月の半期ごとにもらえるお食事券はそれまでの1,000円から3,000円に「大幅増額」されました。また、配当金も年間40円が予想され、このうち24円が期末に支払われる見込みとなっています。

このように、手厚い株主優待を実施する企業もあり、株主優待を楽しみに利用される方も多いと思いますが、株価が購入したときより下落してしまい、結果、損をしてしまったなんてこともあるのが現実です。ここでは、株主優待を受け取りつつ、株価変動リスクにもしっかり軽減出来るテクニックとして「つなぎ売り」をご紹介します。

例えば現在、株主優待の権利が欲しい会社の株を2,000円で100株を買うことにします。このときに信用取引(一般信用取引)で同じ銘柄を2,000円で100株売ります。このまま権利付最終日にその銘柄を保有していれば株主優待の権利を得ることができます。このあとは権利付最終日の翌営業日に「現渡」をクリックして返済します。これをして「つなぎ売り」取引を終了すれば、価格変動リスクを基本的には回避して株主優待の権利を得ることができるのです。

ただし、「つなぎ売り」には注意点があります。まずは「信用取引」の口座を開設しないといけません。

そして、同じ銘柄の買い(現物取引)と売り(一般信用取引)を同時に行うため、手数料がかかります。しかし、SBI証券は手数料が安いのがメリットです。特に「アクティブプラン」では1日の約定代金現物・信用取引ともにそれぞれ10万円以下ならば、手数料がゼロになっています。

また、同じ株価で買い(現物)と売り(一般信用取引の売り)を同時に行う必要があります。例えば、権利付最終日の場合、「寄付き前」に成行きで、現物取引で「買い」と、一般信用取引で「売り」を同時注文発注することが有効な手段であると考えられます。表1の中で例えば三光マーケティングフーズ <2762> は「つなぎ売り」をすることができませんので、株価変動リスクに十分に注意する必要があります。

さらに、年1回の優待銘柄は人気が集中するので権利落ち日に下落するリスクがあるという点にもご注意ください。せっかくの株主優待をゲットしたとしても権利落ち日には大きく下落するリスクがあることもあり、結果、損してしまったなんてご経験のある方も少なくないでしょう。 ちなみに、表1でご紹介した銘柄はすべて、権利付最終日が12/26(火)で、12/27(水)は権利落ち日となっています。

SBI証券なら、現物と信用の約定代金は別々に計算されるので、「つなぎ売り」取引(現物買+信用新規売)も、約定代金10万円までの株式は”0円”で取引可能です!

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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雨宮京子
SBI証券 投資調査部

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