日本国内でもキャッシュレス化の流れが進んでいる。金融広報中央委員会が調査した「家計の金融行動に関する世論調査二人以上世帯調査>平成29年調査結果」によると、1万円超5万円以下の買い物をする際、日常的な支払い方法として現金よりもクレジットカードを利用すると回答する人が多かったことが明らかになった。
クレジットカードの利用が現金を上回ったのは調査開始以来とのことで、「現金」で支払う人が52.9%、「クレジットカード」で支払う人が54.1%となった。
長く超低金利の状態が続く中、「還元ポイントが少しでも付くなら……」と、クレジットカードの利用が増えているという側面もあるだろう。ここでは高還元クレジットカードの活用法を紹介していこう。
「チリも積もれば山となる」作戦
クレジットカードの一般的なポイント還元率は、0.5〜1%程度である。クレジットカードによっては独自のキャンペーンなどを行っていて、還元率をさらにアップさせることができる。
貯まったポイントは、例えば電子マネーや商品、航空会社のマイレージなどに交換できたり、現金としてキャッシュバックを受けたりと、クレジットカードによって交換できる対象は異なる。貯まったポイントをどう利用したいのかをあらかじめ考え、クレジットカードを選ぶ必要がある。
具体的に考えてみよう。例えば、1万円の買い物代金を現金で支払えばそれで終わりだ。一方、還元率1%のクレジットカードで1万円を支払った場合、100ポイントが付与される。マイナス金利政策によって超低金利の状況が長引き、定期預金に1年預けても0.010%程度の状況だ。クレジットカードの利用で得られるのはポイントだが何もないよりはマシで、そのポイントを現金に換算して預金金利を上回る還元率がうけられるクレジットカードの活用を検討する価値はあるだろう。
消費することがお得な運用につながると考え方を変えてみてはどうだろうか。最近は少額でもクレジットカードで決済できる店舗が増えてきている。「塵も積もれば山となる」作戦だ。
高還元クレジットカードの利用法3選
1)マルイの利用者は持っておきたい「エポスカード」
例えば、マルイのクレジットカードとして有名な「エポスカード」は、年会費無料でありながら、海外旅行傷害保険が自動で付帯されている。還元率は0.5%以上で、年4回あるバーゲンセールでは10%オフの割引が受けられるほか、ロイヤルホストや映画館、遊園地などでも割引を受けられる。貯まったポイントは500ポイントから1ポイント1円で利用できるので、マルイをよく利用する人にはおすすめの一枚だ。
2)nanacoチャージには高還元率の「リクルートカード」
電子マネー「nanaco」と利用する場合には、クレジットカードで入金(チャージ)ができる「リクルートカード」を紹介したい。年会費無料だが還元率が1.2%の高還元率を誇る。電子マネーを利用すると、クレジットカードと同じようにポイントが貯まることが多く、一般的に還元率は0.5%から1%程度である。つまり、クレジットカードで電子マネーにチャージしてから電子マネーを利用すれば、クレジットカードと電子マネーの両方のポイントを得ることができる。上記の場合には、1.2%に0.5%を加えた1.7%分のポイントが還元されることになる。セブン-イレブンなどセブン&アイグループをよく利用する人にはおすすめだ。さらに、リクルートで貯まるポイントは、「じゃらん」や「ホットペッパー」などのリクルートが提供するサービスで1ポイント1円で利用できる他、「Pontaポイント」と1ポイント1円で交換できる。リクルートのサービスを利用する機会が少なくても、Pontaポイントと等価交換できれば利用の幅も広がるので便利だ。
(3) 普段の通勤や電車の利用で貯まる「ビックカメラSuicaカード」
電車や地下鉄などを利用する際、「Suica」や「PASMO」といった鉄道系の電子マネーを利用する人は多い。日本国内で利用できる範囲が広がり、ますます便利になっているが、Suicaの利用者におススメしたいクレジットカードだ。
初年度の年会費は無料だが、2年目以降は477円(税抜)が発生するが、前年1年間でクレジットカードの利用が確認できた場合は無料になる。さらに、「モバイルSuica」の利用で発生する年会費も、無料にできる。
クレジットカードの利用1000円につき10円相当のポイント(ビューサンクスポイント5円、ビックポイント5ポイント相当)が貯まるので、還元率は1%。この他、定期券の購入やSuicaへのオートチャージを利用した場合にはポイントが3倍になるので、普段の通勤や電車の利用でポイントが貯まるのでお得だ。
マイレージでポイントを受け取り旅行に
筆者も高還元クレジットカードを積極的に利用し、最終的には航空会社のマイレージでポイントを受け取っている。例えば、電気、ガス、水道などの公共料金や携帯電話など、毎月かかる固定費は必ず発生する。夫婦と子供二人の4人家族であれば、公共料金と通信費を合わせると3万円程度を支払っている家庭は多いだろう。1%のポイント還元の場合、1ヶ月で300ポイントが貯まり、1年間では3600ポイント貯まる計算になる。
銀行口座から引き落としてもポイントは得られないのだから、まずは固定費の支払いにクレジットカードを活用してみることをおススメしたい。一枚のクレジットカードにあらゆるものの支払いを集約させることで、マイレージで飛行機に乗ることができ、結果として海外旅行に行けるわけだから、クレジットカードを活用することで娯楽にかかるお金を節約できるというメリットを実感している。
クレジットカードには年会費が有料のカードと無料のカードがある。これまでクレジットカードのポイントを貯めたことがない場合は、まずは無料のカードでポイントを貯めてみることをおススメする。そして、そのメリットを実感できたなら、有料のクレジットカードに挑戦してみることをおすすめしたい。
横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、メルマガ発行、講演活動、株塾を行う。公式サイト「横山利香の資産運用コンシェルジュ」