日経平均予想レンジ22,443~23,000円

今週は米国の重要イベントを控え、様子見姿勢が強まる中、北朝鮮リスクへの警戒感からの円高が重しとなり、日経平均は22,363円まで売られる場面が見られた。

その後、米景気拡大期待を背景に米国株が史上最高値を更新した流れを引き継ぎ、戻りを試す展開となった。だが、節目の23,000円が上値意識され、週末終値は22,819円で終了した。

海外の焦点

NYダウは7-9月期GDP改定値が上方修正され、米経済の強さが確認された上、税制改革法案の進展や金融規制緩和期待などが支援材料となった。パウエル次期FRB議長が公聴会で「次回会合で利上げを決定する根拠は決まっている」とし、12月利上げに踏み切る公算が大きいとの見方を示した。公聴会で新たな考え方やアプローチの変更を示唆するものはほとんどなかったことで、議長が交代しても安定を維持するとの市場の見方を裏付ける格好となった。

一方、30日に採決の運びとなっていた税制改革法案の先送りが報道された。年内成立を織り込む形でNYダウが上昇していただけに、先行き不透明感が強まることで相応の反動が予想される。採決の行方を慎重に見極める必要はありそうだ。

国内の焦点

日経平均は急ピッチな上昇の反動で、11/16には21,972円の安値を付け、値幅での調整は一巡した。その後戻りを試したものの、三角もち合いの様相を強めている。9月からの騰勢は、ドル円相場より海外勢の大幅買い越しに加え、米国株に押し上げられた面が強い。日米株価格差がかなり縮小した後だけに、海外勢の買い一服やドル安、円高が進むと足を引っ張られやすい。投機筋は米利上げ観測を背景にドル買い・円売りポジションを13万枚超に積み上げており、欧米の政治要因や北朝鮮警戒でリスク回避の円買いが進みやすい状況には留意しておきたい。

テクニカル面では、11/10以降三角もち合いの形で調整してきたが、もち合いが煮詰まってきた。各移動平均線は上昇トレンドを維持し、かつ日経平均はその上方に位置していることから、先高期待が高まる形状となった。ただ、23,000円付近では、戻り待ち売り圧力の強まりが予想されるだけに、ここで頭打ちとなれば、2番天井が形成される可能性が意識される。

来週の株式相場

以上、来週は企業業績の改善が続くとの期待に加え、良好な外部環境に支えられもち合い煮詰まりから上値を試す展開と捉えている。日経平均のレンジは上値は節目の23,000円付近が意識され、下値は25日線22,443円が目処となりそうだ。

伊藤嘉洋の週間株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト