先週(11/27〜12/1)の日本株は続騰、日経平均は週間で268円18銭(1.2%)高の2万2819円03銭だった。

週初は半導体関連銘柄急落の世界連鎖や北朝鮮がミサイルを移動しているとの報道で市場センチメントが悪化し下げる局面もあったが、銀行株高が牽引し世界株高の流れは変わらず、日経平均は水曜日から3連騰で12月1日には11月9日の年初来高値の2万3382円以来の高値を付けた。

週初の世界半導体株安はモルガンスタンレーが世界の半導体市場の見通しを下方修正し、韓国半導体大手サムスンや米半導体関連銘柄の格下げをしたことから始まった。

27日のサムスン電子は韓国市場で一時5%安となり、同日の米国市場でも半導体関連が大きく値を下げ、半導体株安は世界に連鎖することとなった。ゴールドマンサックスも同様のレポートを出したことで下げは加速、米半導体指数SOXは24日高値からは週安値までは7%程度、日本の半導体関連銘柄の象徴である半導体製造装置世界大手の東京エレクトロンは同15%程度下落した。

半導体に代表されるテクノロジー株は、コンピュータ、モバイルだけでなく、自動車や産業用機器、仮想通貨用と需要が世界的に拡大しており、世界の株価上昇を牽引するセクターだっただけに市場への影響が懸念されていた。

それを救ったのが金融セクターと小売セクターなどの内需株だった。米国では28日にFOMCの次期議長のパウエル現FRB理事が金融機関の規制緩和に前向きなコメントし銀行株が買われた。米長期金利が2.4%の乗せたことも銀行株高をサポートした。11月の感謝祭明けから始まった米クリスマス商戦は、オンライン売上を中心に好調が伝えられ、小売や消費関連セクターも上昇した。

銀行や小売などの内需株高は日本にも連鎖、セクターローテーションが成功したことで、市場は再び高値追いとなりNYダウは30日には2万4000ドル台乗せで過去最高値を更新、日本株も追随して上げた。

北朝鮮は29日に2ヶ月ぶりにミサイルの発射実験を行ったが市場では材料視されなかった。今週は12月SQを控えて振れやすい週となりそうだ。11月ミニSQ前日に日経平均が高値を付けた後一日で800円のレンジで乱高下した記憶も新しい。

外国人投資家の買いは一時止まっているが、個人投資家や国内機関投資家が買いに転じ始めている。セクターだけでなく、買いの主体もローテーションしながら12月年末高への流れを作る週になるとみる。

先週(11/20〜24)の振り返り

株式展望
(写真=PIXTA)

27日の日経平均は4日ぶりの反落、前日比54円86銭(0.2%)安の2万2495円99銭で引けた。

中国がシャドーバンクなど金融監督を強化するとの報道があり、上海株が下落。日経平均は一時127円まで下げる局面があった。モルガンの格下げで韓国市場でのサムスン安から半導体関連株に売りが拡がり始めたことも市場心理を悪化させた。

28日の日経平均は続落、前日比9円75銭(0.0%)安の2万2486円24銭で商いを終えた。

NY市場で北朝鮮がミサイル発射の準備をしているとの報道があり、有事の円高でドル円は一時110円85銭まで上昇した。海外での半導体関連銘柄の連鎖安が続いたこともあって、朝方日経平均は100円を超える下げ幅となった。もっとも11月16日の安値をサポートした25日移動平均線に接近したところで押し目買いが入り、下げ幅を縮小して引けた。

29日の日経平均は反発、前日比110円96銭(0.5%)高の2万2597円20銭で引けた。

早朝に北朝鮮が9月15日以来となるミサイルを発射がほとんど材料視されず。NYダウは、米上院で税制改革法案が可決するとの期待感、金融規制の緩和期待から市場最高値更新。テクノロジー株の軟調は続いているものの、金融、小売株などの内需株が牽引して上げた。日本でもその流れを引き継ぎ内需主体で反発した。ゴールドマンの半導体市場の見通し変更で関連銘柄はもう一段安するものが多かった。

30日の日経平均は続伸し、前日比127円76銭(0.6%)高の2万2724円96銭で引けた。

NYダウは5連騰で過去最高値更新していたものの、寄り前に発表した10月の鉱工業生産指数では注目の電子部品などが停滞しており、朝方は弱く始まった。もっとも午後からは11月24日以来となる日銀のETF717億円の買いが執行され、金融株、鉄鋼、海運などの内需で遅れ株が上昇し日経平均を押し上げた。東証1部の売買代金は4兆5393億円と、11月9日以来の4兆円超え。

1日の日経平均は3連騰、前日比94円07銭(0.4%)高の2万2819円03銭で引けた。

11月9日以来の高値。NYダウが5連騰、331ドル高で初の24000ドルのせ。日経平均は一時269円高の2万2994円まで上昇、11月9日に付けた引け値ベースでの年初来高値を上回っていた。しかし、米税制改革法案の上院採決が延期との報道でマイナスに転じた。もっとも午後から、連日の日銀のETF買い717億円が入り切り返して引けている。月初の日経平均高は18ヶ月連続。

先週の海外市場を振り返る

1日のNYダウは6日ぶりに反落し40ドル安の2万4231ドルで引けた。フリン前大統領補佐官がロシア疑惑でのトランプ大統領の関与を証言するとの報道からリスクオフで急落、一時は350ドル安の2万4000ドル割れとなった。もっとも午後からは上院で税制改革案が採決される見通しが高まり大きく戻して引けている。週間では673ドルの上昇で2週連続の上げとなった。

NY為替市場ではリスクオフから円高となり112円35銭で引けている。東京市場の17時のレート112円63銭からは28銭の円高。 日経平均の夜間取引は2万2640円と先週末の大阪先物の引け比では140円安で終えている。 ただ週末の2日、米税制改革案が正式に可決され、30年ぶりの大型減税に向けて動き出した。

今週(12/4〜8)の株式展望

今週の日経平均の予想レンジは2万2450円〜2万3000円を想定している。米国のロシア疑惑懸念は残るものの、米税制改革が通過すれば世界景気拡大が継続するとの期待は強い。米7〜9月のGDP確定値は上方修正され、インフレ指標として重視するPCEコアデフレーターも予想を上回った。

欧州でもドイツを筆頭に好調な経済指標が相次いでいる。12月13日のFOMCでFRBの利上げは完全に織り込んでおり、焦点は来年の利上げペース。CMEのFF金利先物では18年3月の利上げを5割程度織り込んでいる。

世界景気に陰りは見られず、機関投資家は株式市場から降りるのは難しい。12月は株高のアノマリーがあり、大きく下げることは少ない。仮に下げれば押し目買いのチャンスとなろう。

半導体やハイテクの急落は昨年11月にもあったが、結局企業業績に陰りはみられず持ち直した。今回の半導体の調整に関しても今後の流れは読みづらいが、金融セクター、内需セクターの出遅れ物色というセクターローテーションの新しい流れが出て来たことは相場の継続的な上昇にポジティブに働くだろう。

外国人投資家は2週連続の売り越しとなったが、国内機関投資家が信託や投信も買いに転じ始めている。個人投資家も買いが増え始め、個人が主体のマザーズも先週は27日まで7連騰、28日は下げたがその後3連騰している。新興市場などの堅調で全員参加型の年末相場が期待出来そうだ。

今週の下値のサポートは25日移動平均線の2万2450円。上値は心理的抵抗線である2万3000円となろう。

今週のイベントは、日本では8日がメジャーSQ。12〜13日のFOMC、20〜21日の日銀金融政策決定会合がまであまり大きなイベントはない。

経済指標では、日本では4日に11月消費動向、7日の10月景気動向指数、11月都心オフィス空室率、8日の7~9月期GDP改定値、11月景気ウォッチャー指数がある。海外では4日に米10月製造業受注、米11月のISM非製造業景況指数、6日に米11月のADP雇用統計、8日に米11月雇用統計、9日に中国11月消費者物価、生産者物価が注目されよう。(ZUU online 編集部)