2017年4月に「標準利率」が引き下げられ、終身保険などの貯蓄性のある保険は、保険料が大幅に値上がりしました。そして、2018年は「標準生命表」の改定があり、それに伴い保険料が値上がりする商品と値下がりする商品の二極化が想定されています。今回は2018年の保険の最新事情について解説しましょう。

保険料が「大幅に値上がり」した2017年

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(画像=Thinkstock/Getty Images)

前記の通り、今年は「標準利率」が4年ぶりに引き下げられました。それまでの1%から0.25%まで下げられたことにより、貯蓄性のある保険商品の保険料が大きく値上がりしたのです。

貯蓄性のある保険とは終身保険、個人年金保険、養老保険、学資保険など「解約返戻金のある」保険が中心です。一方、掛け捨て型の保険の保険料は、あまり影響を受けていません。掛け捨て型の保険とは定期保険、医療保険、がん保険などで「解約返戻金がない」保険です。

「標準利率」と生命保険の予定利率には深い関係があります。少し難しい話になりますが、簡単に説明しましょう。

標準利率とは「責任準備金」を積み立てる利率です。責任準備金とは給付金、保険金を支払う将来のために「準備しておくお金」のことです。そうしないと保険金の支払いなどに支障をきたすことにもなりかねません。そして、この責任準備金の利率が下がると言うことは「準備しなければいけないお金が増える」ことを意味します。つまり、保険会社が預かる保険料が高くなってしまうということです。

予定利率とは、保険会社が契約者に約束をする運用利回りのことです。保険料が高くなるということは、予定利率も下がると言うことになります。

実際に標準利率が0.25%になりましたが、ほとんどの生命保険会社は0.25%より高い予定利率を提示しています。とはいっても予定利率はかなり下がりました。たとえば大手保険会社の中には「300万円の終身保険に40歳で入ると60歳の払込満了時に総額約327万円」になる商品もあります。これは極端な例ですが、とても「保険=貯蓄」とは言えませんよね。そのような状況で販売中止になった保険商品も多かったのが2017年の特徴と言えるでしょう。

貯蓄性の保険は時代に合っていない?

「保険は貯蓄にもなる」というのは、もはや昔の話です。確かに1980年代のバブル期には予定利率が6%の保険もありましたが、残念ながら現在は違います。超低金利時代の昨今の保険商品は「貯蓄」という意味では魅力の感じられないものとなっています。

貯蓄性の保険商品の多くは「超長期の固定金利」です。低金利時代に契約をするとその時点で約束された予定利率がずっと続きます。そう考えると、終身保険などの「貯蓄型の保険」は今の時代に合っていないと見ることもできるでしょう。

「2年連続の大幅改定」で2018年はどうなる?

さて、2018年4月には日本アクチュアリー会が発表している「標準生命表」が11年ぶりに改定されます。平均寿命の延びに伴って標準死亡率が下がることで「生命保険の死亡率」なども引き下げられる見通しです。

「生命保険の死亡率」の引き下げによって死亡保障である10年の定期保険などの商品は、保険料が5〜10%ほど値下がりする見込みです。逆に医療保険の保険料は5%ほど値上がりする見通しとなっています。長生きすればするほど病気療養のニーズが高まると考えられているからです。

現実問題として、医療保険のニーズは非常に高いです。生命保険協会発表の『生命保険動向 2017年』によると2016年における医療保険の新規契約件数は355万件で、生命保険の中でも一番の売れ筋となっています。医療保険は保険会社が最も販売に力を入れている商品の一つで、実際にどの程度の値上げになるかは各社によって差がでることも考えられ、場合によっては値上げを見送るところも出てきそうです。

今回は、2018年4月に値上がりする保険・値下がりする保険について解説しました。ちなみに、私が監修する別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険 賢い加入者になる!』がこのほど発売され、こちらでも保険に関する最新情報を紹介しています。

私たち消費者にとって保険選びは切実な問題です。これからもファイナンシャルプランナーとして、消費者のお役に立てる情報をレポートして行きたいと思います。

長尾義弘 (ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。