先週(12/4〜8)の日本株は小幅反落、日経平均は週間で7円95銭(0.0%)安の2万2811円08銭で引けた。

米ロシアゲート問題が再燃、北朝鮮情勢の警戒感もあり、週初から日本株は弱含みで始まった。6日の東京時間午前11時頃、米トランプ大統領のエルサレムをイスラエルの首都と認めるとの発言で新たに中東情勢に対する懸念が台頭し、日経平均は445円安、アジア株も急落するなどリスクオフの売りが広まり緊張感が高まった。

もっとも、米株式市場はエルサレム問題にもかかわらず、税制改革と来年早々に打ち出される予定のトランプ大統領のインフラ計画への期待感で上昇基調を続けた。円安の進展と大きく下げていた半導体関連株のリバウンドも市場をサポートし、日経平均は6日の急落を7〜8日の2日で完全に埋めた。

市場は改めて相場の強さ、押し目買い意欲の強さを確認することとなった。テクニカル的にも25日移動平均線を一旦割り込んで反発したことでむしろ過熱感がなくなった。

8日のNYダウは好調な雇用統計にも支えられて史上最高値を更新した。米国では来年からの税制改革を控え、年内の株の益出しは鈍る可能性が高い。年内は大きな下落は想定しづらい。円安も113円半ばまで進んだ。12月は、配当の再投資があること、機関投資家の動きが静かになることで、需給的が好転し上げる事が多い月だ。いよいよ日本株も2万3000円台回復から新高値へと年末高のシナリオが見えてきた。

先週(12/4〜8)の振り返り

株式展望
(写真=PIXTA)

4日の日経平均は4日ぶりに反落、前日比111円(0.5%)安の2万2707円で引けた。

フリン前大統領補佐官がロシア疑惑でのトランプ大統領の関与を証言するとの報道から米国株が下落した基調を引き継いだ。米韓空軍が過去最大の合同軍事演習を行い北朝鮮リスクも再浮上している。半導体市場のピークアウト懸念から世界的に半導体を中心としたテクノロジー銘柄が大きく調整していることも日本株の上値を重くした。東証1部の売買代金は2.4兆円と連休の谷間の11月24日以来の水準まで下落した。

5日の日経平均は続落、前日比84円(0.4%)安の2万2622円で商いを終えた。

米市場で半導体関連銘柄がもう一段の下げとなった。日本でも半導体関連株の下落が市場のセンチメントを悪化させた。ただ、株式市場から一方的に資金が引き揚げられているわけではなく、銀行や小売などの内需株が堅調でセクターローテーション的な色彩が強かった。

6日の日経平均は急落し3日続落、前日比445円(2.0%)安の2万2177円で引けた。下げ幅は今年最大。11月15日以来の安値だった。

東京時間午前11時頃、米トランプ大統領のエルサレムをイスラエルの首都と認めるとの発言で新たに中東情勢に対する懸念が台頭し、日経平均やアジア株が急落した。安値は2万2177円と市場のサポート考えられる25日移動平均線を割り込んだ。8日に控えたメジャーSQに対するヘッジ売りが市場の下げを加速した可能性が高い。下げ相場で東証1部の売買代金は3.2兆円と3兆円を超えた。

7日の日経平均4日ぶりに反発、前日比320円(1.5%)高の2万2498円で引けた。

エルサレム問題でアジア株が急落したのに対しNYダウは39ドル安と下げは限定的だったため、日本株にはリバウンド狙いの買いが広まった。もっとも、25日移動平均線まで戻したところで上値は重くなった。

8日の日経平均は続伸、前日比313円(1.4%)高の2万2811円と大きく戻した。

NYダウが3日ぶりの上げで70ドル高となり、半導体などのテクノロジー株が戻したことを好感した。寄り前に発表された7〜9月のGDP改正値が上方修正されたことも上昇要因となった。米トランプ大統領が年明けにはインフラ投資計画の詳細を発表すると報道され、素材関連株にも買いが広まった。12月メジャーSQの商いも加わったため、東証1部の売買代金は3.7兆円に膨らんだ。

先週の海外市場を振り返る

8日のNYダウは雇用統計と米つなぎ予算が決まったことで財政の空白がなくなることを好感して続伸、117ドル高の2万4329ドルの過去最高値で引けた。週間では97ドル高と3週連続の上昇だった。

11月の雇用統計で非農業部門雇用者数が22万8000人とコンセンサスを上回った。13日のFOMCですでに利上げは確実視されているが、来年も利上げが3回程度行われるとの見方が強くなり、米長期債利回りが上昇し日米金利差拡大から円安が進んだ。

NY為替市場でのドル円は113円55銭で商いを終えた。前日比40銭の円安、東京為替市場の17時比では7銭の円安だった。

日経平均の夜間取引も堅調。8日の大阪先物の引け比30円高の2万2800円で引けている。

今週(12/11〜15)の株式展望

今週の日経平均の予想レンジは2万2550円〜2万3200円を想定している。11月最終週から先週にかけて9月配当の支払いがピークだった。日本企業の年間配当は約12.8兆円。約7割の企業が3/9月決算なので、推定で4兆円以上の配当が支払われたことになる。機関投資家は配当は再投資するのが原則だ。

一方、機関投資家の年内の大きなリバランスは商いのこなせる12月SQでほぼ終えることが多い。配当の再投資もあるので12月の株式需給は好転する。株式市場で11月最終週から12月に株が下げないアノマリーがあるのはこのためだ。しかも下げ局面では日銀のETF買いが発動される。

8日のNYダウは好調な雇用統計にも支えられて史上最高値を更新した。米国では来年からの税制改革を控え、年内の株の益出しは鈍る可能性が高い。ヘッジファンドの動きも年末にかけては減少する。

大きく下げていた半導体関連銘柄やテクノロジー株が戻り始めた。先々週からの動きは、大きなロングショートのファンドが益出しで、テクノロジー売り、銀行など内需買いを執行しただけだった可能性もでてきている。テクノロジー株の急落は昨年11月にもあったが、結局企業業績に陰りはみられず持ち直した。

外国人投資家は12月1週も売り越しで3週連続の売り越しとなったが、国内機関投資家で投信や事業法人が3週連続で買い越した。個人投資家は信用の買い越しが膨みはじめるなど、国内投資家のスタンスが代わり始めている。

今週の下値のサポートは25日移動平均線の2万2550円。上値は心理的抵抗線である2万3000円を突破すれば一段高となる可能性が高そうだ。引け値ベースでは2万3000円を達成していないので、引け値での達成が期待される。

今週のイベントは、日本では11日にエルニーニョの監視状況、12日に「今年の漢字」発表、来年の干支「戌」とともに関連銘柄に注目が集まる。

日銀決定会合は20〜21日。世界では12日〜13日が注目の米FOMCだ。25bpsの利上げが確実視されている。13日のFOMC後にはイエレン議長の会見がある。14日はECB理事会とドラギ総裁の会見、英中央銀行政策決定会合、EC首脳会議(〜15日)などの重要イベントが相次ぐ。

経済指標は、日本では11日の10〜12月の法人企業景気予測調査、13日の10月の機械受注、14日の首都圏新規マンション販売、15日の日銀短観(12月時点)がある。機械受注と短観には注目が集まる。世界では、12日の独12月ZEW景況感指数、13日の米11月消費者物価指数、14日の米11月小売売上高、中国11月鉱工業生産、中国11月小売売上高、中国11月都市部固定資産形成、15日の米12月NY連銀製造業景気指数、米11月鉱工業生産などが注目される。 (ZUU online 編集部)