先週(12/4〜8)の東京為替市場では円が続落、ドル円は前週末比85銭円安の113円48銭で引けた。

トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めたため中東の地政学リスクが意識される展開ではあったが、米景気実勢の底堅さと米税制改革とインフラ投資への期待感から米長期債利回りが再上昇、日米金利差の拡大から円安が進展することとなった。

トランプゲート疑惑、北朝鮮の地政学リスクが再燃しているところに、エルサレム問題が新たに浮上した。エルサレムについてトランプ大統領が言及した6日の東京市場では日本株が445円安と今年最大の下落を演じ、アジア諸国の株価指数も急落、ドル円は一時111円99銭と112円を割り込んだ。

その懸念を打ち消したのが、税制改革への期待と18年初に詳細が発表されるとあった米インフラ投資増への期待だった。税制改革とインフラ増が実施されれば米景気を後押しすることは間違いない。8日に発表された米10月の雇用統計も非農業部門雇用者数はコンセンサスを上回っており、米景気に減速傾向は見られない。今週13日のFOMCでの利上げは確実視され、来年3回利上げがコンセンサスとなっている。

レパトリ減税は海外子会社からの配当課税の減税だ。上下院で一致しているため、導入は確実視されている。実施されればドル高要因となるだろう。

東京為替市場でのドル円は11月28日の110円94銭を底に切り返しており、今年のボックス圏の上限である114円台後半を目指す可能性が高そうだ。

先週(12/4〜8)の振り返り

為替展望
(画像=PIXTA)

4日の東京為替市場で円は4日続落、日本時間17時のインターバンクレートのドル円は113円00銭と前週末比37銭の円安だった。

ロシアゲート事件が再燃し、米韓空軍が過去最高水準の合同演習を実施するなど北朝鮮半島の情勢も悪いなか、週末に米税制改革案が可決したことでドルが買われた。一時113円07銭と11月17日以来の円安水準となった。

5日の東京為替市場で円は5日ぶりに反発、17時のドル円は前日比36銭の円高で112円64銭だった。

米税制改革案は可決したものの、まだ上下院案の一本化は難航するとの見方が広まった。株式市場で半導体、テクノロジーなど今まで市場の上げを牽引していたセクターに調整感が強まっており下落基調であることもリスクオフの円高材料だった。もっとも日中のレンジは31銭と小動きで週末の雇用統計待ちのムードだった。

6日の東京為替市場で円は続伸、17時のドル円は前日比53銭の円高で112円11銭だった。

日本時間11時頃、米トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認定したとの報道が伝わると日本株やアジア株が急落。日経平均は455円安と今年最大の下げとなり、リスクオンの円高が進むこととなった。ドル円は一時111円99銭と11月30日以来の111円台に入った。

7日の東京為替市場で円は3日ぶりに反落、17時のドル円は前日比45銭円安の112円56銭だった。

エルサレム問題でアジア株が急落したものの米国株の下落は限定的だったため、ドルの買い戻しが先行した。6日のリスクオンで債券が買われ、2.31%程度まで低下した米長期債利回りが2.34%まで戻したことが円安要因となった。

8日の東京為替市場で円は大幅続落、17時のドル円は前日比92銭の円安で113円48銭だった。

米トランプ大統領が年明けにインフラ投資計画の詳細を発表すると伝わり、米つなぎ予算も可決し政府機関の閉鎖を回避したことでリスクオンムードが高まった。日経平均も続騰、6日の急落を2日で埋めることになり、米長期債利回りも2.37%まで上昇したことも円安要因だった。

先週の海外市場を振り返る

NY為替市場でのドル円は113円55銭で商いを終えた。前日比40銭の円安、東京為替市場の17時比では7銭の円安だった。

11月の雇用統計で非農業部門雇用者数が22万8000人とコンセンサスを上回った。13日のFOMCですでに利上げは確実視されているが、来年も利上げが3回程度見込まれており、米長期債利回りが2.39%まで上昇し日米金利差拡大から円安が進んだ。

8日のNYダウは雇用統計と米つなぎ予算が決まったことで財政の空白がなくなることを好感して続伸、117ドル高の2万4329ドルの過去最高値で引けた。週間では97ドル高と3週連続の上昇だった。

日経平均の夜間取引も堅調。8日の大阪先物の引け比30円高の2万2800円で引けている。

今週(12/11〜15)の為替展望

今週のドル円の予想レンジは112円85銭から114円のレンジを想定している。11月14日にドル円の5日と20日移動平均がデッドクロスしてドルの上値が重くなったが、短期調整を経て5日移動平均は上昇し始めて週初にはゴールデンクロスしそうだ。

7日の上昇でドル円は20日移動平均線を上抜いてきた。今年のドル円は108円と115円のレンジ内での商いが中心だった。ドル円は米景気の18年の拡大と米国の適度な利上げを織り込みながらレンジの上限である114円台後半に向かう展開だろう。

テクニカルなサポートは20日移動平均の112円85銭。レジスタンスは本邦輸出企業のドル円の予約売りが入り始める114円。114円を抜けた場合は11月6日の高値114円72銭まで円安が進む可能性もあると見ている。

今週のイベントは、日本では大きなイベントはない。日銀決定会合は来週20〜21日。世界では12日〜13日が注目の米FOMC、25bpsの利上げが確実視されている。FOMC後にはイエレン議長の会見もある。14日はECB理事会とドラギ総裁の会見、英中央銀行政策決定会合、EC首脳会議(〜15日)など欧州に重要日程が多い。

経済指標は、日本では11日の10〜12月の法人企業景気予測調査、13日の10月の機械受注、14日の首都圏新規マンション販売、15日の日銀短観(12月時点)がある。機械受注と短観には注目が集まる。世界では、12日の独12月ZEW景況感指数、13日の米11月消費者物価指数、14日の米11月小売売上高、中国11月鉱工業生産、中国11月小売売上高、中国の11月都市部固定資産形成、15日米12月NY連銀製造業景気指数、米11月鉱工業生産などが注目されよう。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。