化粧品メーカーの業績が好調となり、株価も軒並み高値圏に買われている。中国人を中心とするインバウンド(訪日外国人観光客)需要が化粧品など日常品に向かっているほか、国内百貨店でも高級品の購買意欲が回復し、全体の売上増の一大要因となっている。当然ながら、化粧品各社の好業績は容器や素材を供給する関連株の株価に強い追い風となりそうだ。
化粧品株では、12日に今7月期の第1四半期決算を発表したシーズ・ホールディングス(4924)が前年同期比約3割の営業増益となり、翌日の株価が値幅制限いっぱいまで上昇。このほか、資生堂(4911)やコーセー(4922)、ファンケル(4921)などが軒並み好決算を発表しており、株価が年初来高値を更新するなど強含んでいる。
好業績は周辺企業にも波及している。代表例がプラスチック製包装容器の竹本容器(4248)だ。売上の6割超を占める化粧・美容向けが拡大し、今12月期の業績予想を11月に増額修正した。株価は連日での年初来高値を更新しているものの、今期PERは14倍台にすぎず、来期の業績拡大が見通されれば一段高もありそうだ。
化粧品の素材関連では、KHネオケム(4189)に注目したい。同社は自動車向け塗料のほか、基礎化粧品の素材も手掛ける。今12月期の第3四半期(3Q)累計業績は、化粧品素材などが全体業績をけん引。3Q累計の連結営業利益は91.6億円(前年同期比35.3%増)に拡大した。通期計画に対する進ちょく率も約89%と高い。株価は国内証券の格下げにより11月末に急落したものの、いいタイミングで押し目を付けたとみることもできる。
テイカ(4027)は主力の酸化チタンが塗料の顔料用途に加え、日焼け止め原料としても利用される。今3月期上期の売上は塗料向けは前期並みだった一方、化粧品向けがインバウンド需要で拡大し、酸化チタン関連事業は2ケタ増収だった。8月から酸化チタンの値上げを実施していることも強調材料となる。株価は年初来で2.2倍に値上がりしているが、今年4〜6月、9〜11月の上昇波動に続く第3波も大きそうだ。
昭栄薬品は低PBRで魅力
化学品商社の昭栄薬品(3537・JQ)は、パーム系油脂などの脂肪酸や化粧品用グリセリンなどを手掛ける。株価はジリ高傾向で3000円付近で推移しているが、同社は花王(4452)の株式保有により純資産が大きく、PBR(株価純資産倍率)は0.5倍前後と割安。業績動向の堅調さもあり、今後に見直し買いが及ぶ可能性が高そうだ。
このほか、化粧品原料となるアクリル酸エステルに強い大阪有機化学工業(4187)は、前2017年11月期に複数回、利益を増額修正しており、今期計画に関心が高まっている。株価は7月の高値以降に軟調に推移し、1200円台前半まで調整。反騰狙いが有効な水準と言える。
容器や包装材では、トーイン(7923・JQ)をピックアップしたい。同社は食品や医薬品、化粧品向けの包装資材がけん引し、今3月期連結営業利益の予想を2.5億円(前期は1億円の赤字、従来予想は1億円)に上積みした。ただし、上期の営業利益が2.3億円に達しており、再増額が有望。株価は第1四半期決算発表後に急騰したが、その後は550〜750円付近でもみ合っており、今後は8月高値の869円の更新に向け動きそうだ。
このほか、日精樹脂工業(6293)は化粧品用ボトルなどの成形機、渋谷工業(6340)は化粧品のなどに充てん装置を展開する。
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