日経平均予想レンジ22,653~23,382円

今週は国内独自の材料に乏しい中、米国株の史上最高値更新を支えに、高値圏でのもみ合いに推移した。日経平均は22,990円高値に進んだものの、海外勢のクリスマス休暇を控えて市場参加者が限られる中、節目の23,000円が抵抗線として意識された。

海外の焦点

米与党共和党の議会執行部において、先週最終合意した税制改革法案はトランプ大統領が目指していた年内成立がほぼ確実となった。

来年に法人税率を35%から21%まで引き下げることと、企業が海外に留保した現金を米国に還流する際の現行税率35%を廃止した。全体の減税規模は10年間で約1.5兆ドル(約170兆円)に上る。市場では、これらの変更によって米主要企業の1株あたり利益が約6%高まるなど、業績改善や米経済が押し上げられるとの期待は強まっている。

ただ、法案可決を歓迎すると同時に、こうした恩恵がすでに株式相場に織り込まれているとし、税制改革法案の成立以上の材料に乏しく、目先調整に入るとの警戒感も広がっている。

国内の焦点

投資家動向では、個人投資家の積極買いがこのところの堅調地合いを支えている。先週はETFの日経レバレッジの純資産が2,800億円に急増した。二市場残高は、10月第3週に2兆5,700億円(信用倍率2.35倍)まで減少したが、12/15現在、3兆1,159億円(信用倍率3.19倍)と8週連続増加した。これは2016年1/15の3兆2,000億円以来1年11カ月ぶりとなる。

特に11月に入ってからは22,000円の節目抜けで先高期待の高まりから買い姿勢を強め、23,000円まで買い進んだ。今後、この買いが成功すれば、資産価値拡大から投資家心理は一段とリスク選好を強め、日経平均が年初来高値を更新する可能性は大きくなる。一方、失敗すればシコリとなり、下落リスクの高まりから下値を試す可能性が出てくるだけに、留意しておきたい。

又、日銀のETF買いは、相場上昇が続いた10月は2回、11月は7回買い入れた。12月は14日現在5回買い入れ、年間約6兆円の買い入れ方針に沿って着々と買い入れを継続。リスク資産の過度な下振れを防ぐという目的は達成していると考えられる。

テクニカル面では、25日線が再び上向きを維持し、支持線として機能しよう。足元では、23,000円は抵抗線として意識されるが、これを上抜けば23,382円が上値目処となる。

来週の株式相場

以上、来週は年内最終週となる。良好な投資環境や業績改善期待を背景に、例年大納会まで上昇する確率は高い経験則を踏まえ、掉尾の一振が期待される。日経平均のレンジは、上値は11/9、年初来高値23,382円を目指す。下値は25日線22,653円近辺が目処となろう。

伊藤嘉洋,週間株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト