◉アベノミクスへの肯定論


アベノミクスへの評価は現時点でも人によって様々です。
ですが、海外の著名な経済学者の中にもアベノミクスを評価されている方がおり、アベノミクス賛成派の方は積極的に引用しているようです。

例えば著名な経済学者であるポール・クルーグマン氏は、「私はアベノミクスを評価している。日本がデフレの罠から脱却するために必要な政策である」「日本の期待インフレ率はちょうどよい値で推移している。少しのインフレ期待があることで、経済にとってプラスに働いている状況になっている」「円が安くなれば日本の製造業の輸出増を牽引することになる」と述べ、アベノミクスを評価しています。

3本の矢に添って言えば、金融政策による期待インフレ率の上昇が個人消費と企業の設備投資を生み、それがまた需要と生産の拡大へと寄与し、企業の収益や個人の賃金が改善するという流れが期待されています。


◉アベノミクスのリスクや悲観論


一方で、アベノミクスには多くの否定論や悲観論も存在します。

例えば、金融緩和は悪性のインフレや過度の円安をもたらす可能性があり、それらは物価の上昇を通じて個人や企業の財布を直撃します。また、大規模な公共事業などの財政政策は、ただでさえ過剰と言われる日本の借金をさらに膨らませます。期待の成長戦略も、産業競争力会議などでの議論の進みが遅いのではないかと懸念する声も存在します。

また、円安の進展が近隣諸国との関係に緊張を走らせる可能性も存在します。
例えば韓国の中央日報は、「円安は韓国の輸出鈍化につながりかねない」と報じ危機感を表しています。他に、アメリカの製造業のロビー団体などは、意図的な円安誘導は通貨安競争を招きかねないとして厳しく批判をしています。また中国・新華社は日本の金融緩和策に対して、「このような近隣窮乏化政策を進めれば、他国も追随せざるを得なくなり、世界的な通貨戦争が巻き起こる可能性がある」と危惧を表明しています。

以上、アベノミクスに関しての肯定論と悲観論のまとめをお届けしました。
次回はアベノミクスの影響が大きいといわれる業界と注目銘柄についてお届けします。

BY TOMB