◉アベノミクス、3本の矢


さて、ではそもそものアベノミクスの内容とはどのようなものなのでしょうか。
ご存知の方も多いと思うのですが、簡単におさらいをします。

アベノミクスはデフレ経済を克服し3%の経済成長を達成することを目的とし、日本銀行法改正も視野に「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の3つを基本方針とした一連の経済政策です。安倍首相はそれを「3本の矢」と表現しています。
米国のロナルド・レーガン大統領(任期1981年-1989年)の経済政策であるレーガノミクスにちなんで、アベノミクスと呼ばれるようになりました。ただし、主にこの言葉を使用しているのは経済学者やマスメディアで、当の安倍首相本人はあまりアベノミクスという言葉を口にはしていないようです。

「3本の矢」の詳細は、以下のようになります。

①大胆な金融政策

主眼は2%のインフレターゲット(物価上昇率の目標)まで導入して行う金融緩和です。
日銀とは積極的な通貨供給を前提としたアコード(政策協定)が検討されており、インフレと連動する円安の流れで、日本のGDP(国内総生産)の約13%を占める、電機・自動車など輸出型産業の再生を図ろうとしています。

参考: QE3(資金供給)とシンガポール不動産

②機動的な財政政策

財政出動の対策規模は総額20兆円(内13年度補正予算案13.1兆円)と巨額であり、公共事業が主体です。東日本大震災からの復興促進・防災体制の強化を軸に、老朽化した道路や橋の再築・修復、学校の耐震補強などが対象です。
なお世界金融危機(08年)後では、麻生内閣による「経済危機対策」(09年4月)の補正予算14.7兆円以来の規模となっています。

③民間投資を喚起する成長戦略

この分野は、研究開発・イノベーション創出促進、省エネルギー・再生可能エネルギー投資の促進、新ビジネスへのチャレンジなどを骨子としています。
ただ残念ながら、現時点(2013年3月)でも明確な重点分野は定まっていません。2013年6月までに、有識者からなる産業競争力会議(日本経済再生本部に設置)が絞りこむ予定で、環太平洋経済連携協定(TPP)への対応も注目されています。