IT専門家の給与が最も高い企業は、ゴールドマン・サックスやシティ、UBSなど金融セクターであることが、給与ランキングから明らかになった。トップ20中10社が金融機関だ。

ほかには資産運用企業コーヘン&スティアーズや日本でも化粧品の販売でお馴染みのエイボン・プロダクツが上位にランクインしているが、1位と20位の給与差は約19倍も開く。

高給与のイメージが強いIT企業はIBMが唯一トップ20入り。米最大手電話・インターネット配信企業AT&Tや東芝グローバル・コマース・ソリューションズなどが圏外に名を並べるという結果に。

ランキングは人材広告サイト「グラスドアー(Glassdoor)」が 、ニューヨークの企業のIT専門家(合計550人)の給与から平均値を割りだしたもの。現金・株によるボーナスや利益分配などを含む。調査の対象となったのはIT専門家の平均給与は6.7万ドルだ。

「IT専門家の給与が最も高い大手20社」と役職

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(画像=Thinkstock/GettyImages)

20位 エイボン・プロダクツ(Avon Products) ITビジネス専門家 10万~11.9万ドル
19位 ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)IT専門家 10.8万~11.7万ドル
18位 シティコープ北米(Citicorp North America) ITビジネス技術専門家 11.3万ドル
17位 IBM シニアIT専門家 11.6万
16位 IBM コンサルティングIT専門家 12.4万
15位 IBM IT専門家 12.0万~13.0万ドル
14位 エイボン・プロダクツ(Avon Products) IT専門家 9.6万~16.3万ドル
13位 シティバンク(Citibank) ITビジネス・テクニカル専門家  13.3万ドル
12位 シティバンク(Citibank) ITプロジェクト・テクニカル専門家 13.5万ドル
11位 BNYメロン(BNY Mellon) 13.5万ドル

10位 UBS  ITセキュリティ専門家 13.1万~14.7万ドル
9位 エイボン・プロダクツ(Avon Products) シニアIT専門家 14.1万ドル
8位 コンピューター・データ・ソース(Computer Data Source) シニアIT専門家  13.3万~15.2万ドル
7位 スミスソニアン(Smithsonian) 監督情報科学技術専門家 14.8万ドル
6位 コーヘン・アンド・ステアーズ(Cohen & Steers) IT専門家 14.1万~16万ドル
5位 TDアメリトレード・ホールディング IT専門家 15.7万~17.2万ドル
4位 ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs) IT専門家ヴァイスプレジデント 14.7万~19.3万ドル
3位 シティバンク(Citibank) ITビジネスシニアIT専門家 17.4万ドル
2位 ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs) IT専門家GSECヴァイスプレジデント 17.7万ドル
1位 ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs) IT専門家 19.3万ドル

多様な分野をカバーするIT専門家 人材不足が慢性化

IT専門家(Information Technology Specialist)とひとことにいっても、その分野は広範だ。役職も分野によって細分化される。例えば開発分野であればプロジェクト・マネージャーからシステム設計者、アプリケーションやソフトウェア開発者、インフラ系の技術者などが挙げられる。コンサルティング業務ではITコンサルタントやマーケティング、セキュリティ分野では情報セキュリティー技術者など。またAIやIoT(モノのインターネット)、VR/ARの分野でも需要がますます拡大している。

どのIT分野でも共通しているのは「人材不足」だ。IT技術者が求められる分野が多様化するにつれ、優秀なIT人材の獲得競争が繰り広げられている。給与を釣り上げられるだけ釣り上げ、好条件で確保を試みる企業が増えているのも当然だろう。

トップ20中11社が金融機関 

トップ20中10社が金融機関という結果から、銀行や証券会社がテクノロジー改革にかける意気込みが伝わってくる。

大手企業の中でIT投資に最高額を投じているゴールドマン・サックスは、トップ4中3つのIT専門職がランクイン。2015年の全投資総額190億ドルのうち2割がテクノロジーやメディア、テレコム関連だったという(クオーツより )。

IT専門家に支払われる平均給与は19.3万ドル。総体的にIT関連職には18万~22.8万ドル が支払われ、平均は19.7万ドルと圧倒的に高い。

2位のGSE(S)は米国で認知度の高いセキュリティ資格だ。情報セキュリティの調査・研究および教育に関する専門組織SANS インスティテュート(SANS Software Security Institute)が発行している。

ゴールドマン・サックスに次いでIT関連職に高給与を支給しているのはシティーバンク。3位のITビジネスシニアIT専門家のほか、12位と13位にITプロジェクト・テクニカル専門家とITビジネス・テクニカル専門家がランクインした。IT専門家の給与は16.4万~18.2万ドル、平均は17.1万ドル。

3位はネブラスカ州オマハに本社を置くオンライン証券、アメリトレード・ホールディング。カナダの大手トロント・ドミニカン銀行(Toronto-Dominion Bank)が最大の株主だ。IT専門家の給与は15.6万~17.2万ドル。 UBSは10位にITセキュリティ専門家がランクイン。1.3万~1.4万ドルがIT関連職の基本給のようだ。

IT企業でランクインしたのはIBMとコンピューター・データ・ソースだけ

このランキングで最も意外なのは7位のスミソニアン だろうか。世界最大の美術館および研究機関複合体で、美術館や研究施設などを運営している。

「高所得で当然」といったイメージの強いIT企業は8位のコンピューター・データ・ソースと15位、16位のIBMしかランクインしていない。

20位以下に米最大手電話・インターネット配信企業AT&Tや東芝グローバル・コマース・ソリューションズなどがランクインしているが、給与はAT&TのIT専門家が7.5万~10万ドル、東芝のリテールIT専門家が8.6万~9.3万ドル、ネットコム・システムズ(NetCom Systems)のITインフラ・マネージメント専門家が8.3万~9.0万ドルと、トップ20に比べると落ち込む。

しかし米国の所得比較サイト「ペイスケール(Pay scale )」 が17.6万件のデータから算出したところによると、ニューヨークの一般的な平均給与は6.8万ドルだという。こちらの調査ではマーケティング・マネージャーの平均所得は7万ドル、エクゼクティブ・アシスタントの平均所得は6.2万ドル、金融アナリストの平均所得は6.5万ドル。そう考えると、やはりIT関連職がかなりの高所得分野であることは間違いない。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)