目次

  1. はじめに
  2. Eコマース向けの検索、広告事業強化は今後も継続
  3. 2018年、デジタル広告市場は2306億ドルに成長?
  4. 商品に見合った動画広告コンテンツ制作も検討中
  5. 効果的な広告配信を実現するうえで、最も重要なデータをにぎるAmazon
  6. YouTube配信をめぐるAmazon、Googleの激戦 有利なのはどちら?

はじめに

本連載ではAmazonの2017年、2018年の動向を振り返って解説していく。小さなインターネット書店として始まったAmazonだが、今や世界中で利用されるインターネット通販サイトを構築した。

しかし、実はAmazonのビジネスはインターネット通販にとどまらない。広告、医療、自動車仲介、金融、と近年ビジネスの幅を広げている。Amazonは世界有数のIT企業であるため、その動向は世界中の法人、個人の行動に影響を与える。もっと言えば税金等の観点から国にも多大な影響を与えている。

つまり、投資家としてもビジネスマンとしても一消費者としてもAmazonの過去の動きを知り、そのうえで今後の動向に注目しておいた方が良いだろう。

Eコマース向けの検索、広告事業強化は今後も継続

Amazonは2018年から広告事業を本格始動させている。中でもEコマース向けの検索・動画商品に力を入れているほか、広告市場での勢力拡大は今後も継続する見通しだ。

Amazonはすでに、検索結果と関連性をもったスポンサー商品を表示する広告サービスを提供している。この既存サービスを進化させ、商品を関連性が高い顧客に推奨することでセールスチャンスの拡大を意図している。ほかに動画を組み込んだ広告サービスなどもテスト開始している。

2018年、デジタル広告市場は2306億ドルに成長?

2017年、2090億ドル市場に成長を遂げたデジタル広告市場は、2018年さらに2306億ドルへ拡大すると予想されている。こうした動きを予想するかのように、2017年に入ってからAmazonの広告事業加速が目立ち始めた。

アメリカ国内のAmazonの広告収益額はデジタル市場調査会社eマーケターによると、2017年が17.7億ドル、2018年は46億1000万ドルになると予想されている。2017年はGoogle(348.7億ドル)、Facebook(179.7億ドル)、Microsoft(37.46億ドル))、Oath(36億ドル)という結果になった。2017年は国内で5番目に広告収益の高い企業となった。

つまり2017年時点ではGoogleとFacebookがアメリカの広告市場の大部分(70%以上)を占めているのに対し、Amazonはわずか2%ということになるものの、GoogleやFacebook以外の新たな広告先に興味を示している点がAmazonにとっての強みとなりそうだ。

例えば低コストやより多くの顧客データ共有を前面に押しだし、GoogleやFacebookの広告顧客にアピールすることも可能だろう。

検索エンジン分野でもGoogleが絶大な支持率を維持しているが、広告代理店ヒュージ(Huge)のアーロン・シャピロCEOも指摘している通り、「広告収益で最も重要なのはコンバージョンやセールス、あるいは消費者に影響をあたえる自社コンテンツ」 である。Amazonはこうした必要条件を十分に満たしているといえる。

商品に見合った動画広告コンテンツ制作も検討中