中国の有力調査機関、中商産業研究院は2017年12月、「2017中国大数据産業園定位案例研究報告」を発表した。「大数据」とはビッグデータの意である。それによると、中国のビッグデータ研究は、非常に大掛かりに行われていることが分かる。特集記事を掲載したニュースサイト「新浪看点」から、中国ビッグデータ研究の現状を探ってみよう。

8カ所の試験区

AI,中国経済
(画像=LIPING / Shutterstock.com )

最初のビッグデータ産業園は、2015年9月に建設が始まった、貴州啓動全国首個大数据総合試験区である。続いて10月には、京津冀(北京、天津、華北省)珠江デルタ、の2つの広域試験区、上海、河南、重慶、瀋陽の4つの区域試験区、1つのデータ基礎設備等発展総合試験区、の建設が発表された。これにより全国8つの試験区を、東部、中部、西部、東北の4つのプレ―トにバランスよく配置し、ビッグデータ産業の発展を図ることとしたのである。

以下そうした試験区をいくつか取り上げてみる。

上海試験区

●南京市浦口区「大数据産業園」

同産業園は上海区域の3つの試験区の1つである。敷地面積10万平米、研究棟の面積20万平米、すでに50社以上のビッグデータ企業を誘致、従業員は5000人、売上は20億元(346憶円)規模となった。なお総投資額も同じ20億元である。

各社のデータセンターを集約することで、ビッグデータ産業を集約した新型基礎施設とする。そしてこれらを未来産業発展への求心力としていく。情報AI化、オンラインビジネス、環境保護ビジネス、健康ビジネスなどを開発する“一体化施設”を謳っている。

入居している企業は3つに分類される。

(1) 自らビッグデータを扱う企業。アリババ、テンセント、バイドゥ(百度)、京東(JD)、蘇寧など。
(2) 自らは扱わないが、データを利用する企業。 社交メディアの運営会社など。
(3) ビッグデータ産業自体のイノベーションを担うベンチャー企業。

珠江デルタと京津冀の広域試験区

●「中国東南(福建)大数据産業園」

同産業園は、珠江デルタ広域試験区に属す。敷地面積10万1900平米、研究棟の面積9万6000平米、122社を誘致、総投資額100憶元(1732憶円)

国家健康医療ビッグデータセンターである。医療に特化した国際的“新生態”のデータセンターを目指す。

●「阿里巴巴在河北張北県的大数据中心」

同センターは、京津冀広域試験区に属す。敷地面積42万平米、2つの園区に分かれ研究棟の面積は13万平米である。総投資額200億元(3464憶円)にのぼる。

30万台の機器を持ち、200万社の中小企業に、クラウドコンピューティング、ビッグデータ分析、AIサービスを提供している。

莫大な投資

こうしたビッグデータセンターが全国8つの試験区に、合計27カ所もあるのだ。各センターは特色を打ち出し、企業誘致を競っている。全国最貧省の一つであった貴州省にとって、このデータセンター開設は、経済発展の呼び水ともなった。

中国は11月に4つAIプロジェクトの国家認定を行った。ビッグデータ研究にも莫大な投資を行っている。これらは、暴走機関車のように負債を増やしつつ爆走する中央国有企業とは、まったく別物として考えた方がよさそうである。

軍事費や“一帯一路”の中央国有企業救済プロジェクトに投下するよりは、よほど高い効果が見込まれるのは言うまでもない。それはつまり、軍事や“一帯一路”以上に注目しなければならないということでもある。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)