中国は“工業4.0”“中国制造2025”などの概念を推進中だ。その中でも工業用ロボット市場は、火を吐くような発展ぶりだ。データによると2017年、国産工業用ロボットの生産台数は13万台を超え、前年比68.1%も伸びた。製造業の自動化、AI化の大勢の下、工業用ロボットには、巨大な市場空間が広がっている。近未来、何年にもわたって中国のロボット市場は高速成長を続けるだろう。

世界四大グループに挑戦するときが来ている。新華社系の参考消息網が、香港メディアの報道を引用して伝えている。中国の工業用ロボット業界を展望してみよう。

大盛況の工業用ロボット市場

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(画像=Power best / shutterstock.com ※画像はイメージです。)

外国ブランドに独占されていた中国の工業用ロボット市場において、国産メーカーの発展は、ゆるやかなものだった。それが国策に取り上げられて以降、急速な発展を開始した。そしてすでに全世界の30%を占める、世界最大の工業用ロボット市場となった。

2017年、世界のロボット企業は次々に増資や生産拡大を行った。この背景には、製造業大国の中国が市場を開放していることがある。

国産ロボットメーカー・新松機器人の曲総裁によれば、中国の工業用ロボット市場は、2013年以降、毎年40%前後の高成長を続けている。それが昨年には、石油が噴出したような状態にまで至った。ほとんどのメーカーが大きく売上を伸ばし、受注調整が必要な段階にまでなっている。外国勢の参入も継続し“四面楚歌”の真逆、“四処開放”の状態であるという。

四大集団との距離は?

現在、世界の工業用ロボット市場では、“四大集団”の実力が抜きんでている。スイスのABB、日本の安川電機 <6506> 、ファナック <6954> 、ドイツのクーカである。彼らは世界市場の6割を占めている。

この四大集団と中国国産メーカーとの距離はどれくらい離れているのだろうか。

東莞市にある博実機器人の共同経営者、王氏によれば、国産ロボットのシステムと応用技術は優れている。外国産との差は、ハード本体と重要部品の違いにあるという。初歩的な制御は国産可能でも、中核部品は少しずつ国産化していくしか方法はない。一方、ハルピン工業大学の趙教授は、中核部品技術の壁はまもなく突破できると指摘している。

また東莞市ロボット産業協会の陳事務局長によれば、国産工業用ロボットは外国製に比べ、低価格で短納期というメリットがある。しかし販売後のアフターサービスでは、顧客の要望に応えているとは言いがたい。外国メーカーのように、販売後は一切を代理店に任せるのも有力な方法であると指摘する。

ハード、ソフトともまだ一定の距離はありそうである。

製造から智造へ

中国は製造業大国である。しかしこれからは“製造”から“智造”へ向かうのが、世界的な潮流だ。人とロボットの融合が生産方法の変革なら、AIとロボットの融合は、生産方法の転覆であろうと記事は指摘する。

現在は、機器が人に向けて進化する、重大な結節点である。AIの最新型設備に較べれば、工業用ロボットは伝統的な設備だろう。中国のAIは急速に発展している。一方、これまでロボットの各種標準は、全部国外で制定されたものである。新しいAIとロボットの融合段階では、中国企業が新しい標準を作ることも可能、と自信を見せている。

そして現在、医療、教育、調理などへロボット展開へ広範な研究が行われている。高齢化社会の養老需要に向け、巨大な市場空間が広がっている、と記事をまとめている。中国最大の強味は、失敗や批判を恐れず、実際に運用ベースに乗せてしまうところにある。そして世界最大のユーザーという地位を活かし、業界をリードすることも可能になっている。日本はハードの生産だけでなく、その展開においても負けないようにしたいところだろう。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)