RPA
(画像=PIXTA)

仕事を効率的に進めるための「RPA(ロボテック・プロセス・オートメーション)」が浸透しつつある。三井住友フィナンシャルグループ(8316)など金融大手を中心に、他業種にも広がり始めた。今国会で関連法案が審議される「働き方改革」の観点からも注目され、関連するシステムを構築する企業の商機が膨らみそうだ。

RPAは、コンピューターソフトによる業務自動化を意味する。人がパソコンなどに入力していた定型の作業を、ソフトに自動で担わせるシステムが代表的だ。主に事務や管理の部門での導入が進んでおり、AI(人工知能)やビッグデータを駆使することで応用範囲がさらに広がる可能性が出ている。

2025年までには全世界で1億人以上の知的労働者、もしくは三分の一の仕事がRPAに置き換わる予測もある。16年には、経済産業省がRPAを利用した国会の答弁集の作成を検討することも明らかにしている。

RPAを最も積極的に取り入れているのが、大規模なリストラに乗り出したメガバンクだ。三井住友では200の業務でRPAを導入し、今後はグループ全体に広げる方針だという。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)も、RPAにより23年度へ向けて国内で3割近い人員の削減を目指す。独立系調査会社のITRは、RPAの市場規模が21年度に16年度比10倍強の82億円まで拡大すると予想している。

こうした中、RPAのシステムを開発する企業の業績は拡大傾向にある。コムチュア(3844)は、今3月期上期の連結営業利益が8億円(前年同期比29%増)と予想を上回り、アイティフォー(=ITFOR、4743)も今3月期の連結営業利益は前期比34%増を計画している。コムチュアのRPAを導入した企業では一部の業務の作業時間が減り、ミスもなくなるなどの大きな成果が出た。

AGS(3648)も昨年から金融機関向けを中心にRPAの受注獲得に動いている。連結営業利益について今3月期は前期比4%減を見込むが、上期は前年同期比38%増と好調に推移する。株価は昨年11月に株式の売り出しを発表したこともあり上値の重い展開が続いているが、他のRPA関連銘柄と比較して出遅れ感が強い。株式売り出しの受渡日は昨年12月に通過しており、目先の需給悪化懸念は後退している。

働き方改革を推進する「プロフェッショナルサービス事業」を展開するエル・ティー・エス(=LTS、6560・M)も、RPAを成長の原動力の一つに位置付ける。昨年12月のIPO(新規上場)後ほどなく付けた上場来高値(3085円)からの調整が続いたが、ここへきて底打ち感を強めている。

このほか、業界団体の日本RPA協会に参加するシステムソフト(7527)やサクサホールディングス(6675)も関連銘柄となる。また、インフォテリア(3853・M)はRPAの事業領域の拡大に取り組んでいる。(1月26日株式新聞掲載記事)

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