このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。
2018年2月1日(木)Market TalkのSummary
日経平均は下げ基調なのか?年度末25,000円は可能か?
月初高のアノマリーがここしばらく継続しており、2月は幸先の良いスタートとなった。結局1月相場は3日続伸3日続落、2日続伸2日続落といったように上げ下げを繰り返し、結局月間のリターンとしては300円ほど上昇した。昨年23,000円を超えられなかったのが今年に入りあっさり23,000円を回復。その後24,000円の壁を抜けて押し戻されたものの、23,000円は割っていない。結果1月は昨年よりプラスで着地し、2月相場も300円くらい上げて始まっている。このように上下しながら結果的にじりじりと高くなっていけば十分だと思う。それが株式本来のリターンなのでこのような相場になってきたということ。
円高で業績予想の下方修正が増えて相場全体の上値を抑えるのでは?
円高即収益悪化ということにはならないと考えるが、市場は美人投票なので皆がそのように(円高=収益悪化=相場が下がる)思えばそうなるだろう。一部メディアではそういうトーンの報道もある。しかし皆がそう思っているとは限らない。ソニーやTDKなどは円高で売られなくなっている、円高メリット株になっているといった大手証券の分析レポートを紹介するメディアもある。そういう情報を目にする個人投資家もいるだろう。
日経平均の下値はどのあたりでしょうか?
23,000円割れがあるかどうかといったところだが、早期に23,500円を超えてくると、25日移動平均線を1回は下回るけれども早期に25日移動平均線を回復という良いパターンになる。そうなれば下値は23,000円とみて良いのではと思う。
仮想通貨市場の混乱は為替相場や株式市場にどのような影響を与えるのか?
為替は、少し影響があるかもしれない。為替取引のプレーヤーと仮想通貨取引のプレーヤーは重複していると考えられるため、現在は為替のボラティリティがなくなってしまって取引が仮想通貨に移っている状況。そういう意味では為替相場の活況度は落ちることになるが、為替相場は銀行ディーラーやヘッジファンドなど大きいプレーヤーがいるので、例えば、一時期存在感を発揮していた日本のミセスワタナベなどの個人投資家が仮想通貨取引に移って為替取引をやらなくなったからといって変な動きになることはないと思う。 株式取引をしている人の中には一部(仮想通貨を)やっている人もいるだろうが、株式取引メインの人と仮想通貨プレーヤーの重なり合いは大変小さいと思われるので株式市場への影響はないだろう。また金融機関は仮想通貨に直接自分のバランスシートで商売していないので、金融機関への影響もないだろう。
リスクとして考えられるのは、まず、株式相場のリスクのひとつは適温相場が崩れることだが、この適温相場に浸っているからこそボラティリティが低いということがある。ボラティリティを売るというトレードをしている人がいるので余計ボラティリティが下がる。これが何かの拍子でボラティリティが上がる、例えば地政学リスクやアメリカ株の急落でボラティリティが急激に上がるときにはレバレッジがかかっているので、そういった人たちの踏み上げ相場でVIXが急騰する局面があると考えられる。それがリスクとなるが、そのきっかけのひとつとして、仮想通貨が大暴落するようなことがあれば、VIXの急騰といった形で株式市場に影響を与える可能性が考えられる。ただ影響があったとしても短期的なものだろう。
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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