日経平均予想レンジ22,881~23,610円

今週は為替相場を睨んだ調整局面が続く中、米国株が長期金利上昇や原油安を嫌気して急反落した流れを引き継ぎ、日経平均は一時23,100円を割り込んだ。その後、トランプ大統領の一般教書演説やFOMCを無難に通過した米国株の反発を受けたものの、週末は23,274円で終了した。

海外の焦点

NYダウは、週前半539ドルの下落を見せた。一般教書演説で財政出動を伴うインフラ投資を公表するとの観測や、FOMC声明で金融引き締めにより積極姿勢を示すとの思惑から債券が売られ、長期金利上昇が米景気を冷やすとの懸念が株安要因となった。もっとも、NYダウは今年に入り1,800ドル超上昇しており、利益確定売りの格好の材料とされた面は否めない。

一方、米国経済は2009年7月からの景気拡大が9年目に入った。2017年10-12月期のGDPは前期比年率換算で2.6%増加した。2018年はトランプ大統領が打ち出した法人税率引き下げなど減税効果もあり、拡大基調は続く見通し。ただ、今年11月の議会の中間選挙を控え、トランプ政権の政策運営能力が試される。

足元では、為替政策を巡り、政権幹部の揺れた発言や暫定予算を巡る議会の対立で連邦政府機関の一部が閉鎖される事態が起きるなど、政治の混乱には注意を払っておく必要はありそうだ。

国内の焦点

東京市場は米国株安や円高を嫌気して調整局面が続いている。トランプ政権の保護主義的な通商政策や米高官のドル安容認発言に加え、日銀の国債購入減額による量的緩和姿勢の後退などが円高要因として材料視された。

需給面では、シカゴ投機筋がドル買い円売りポジションを12万枚に積み上げた状況下で下値支持線の110円を割り込んできた。投機筋がポジションを圧縮すれば、昨年1月からのボックス下限である107円31銭(9/7)を試すリスクには注意が必要となる。

ただ、ここで踏みとどまれば、3点底が形成される。企業の下期想定レート109円66銭を下回るドル安・円高が継続するうちは、日本株は調整を余儀なくされそうだ。しかし、日経平均とNYダウとの差が3,000pt近くも開いてきたことから、大幅な調整には至らないと考えている。

来週の株式相場

以上、来週は下値支持線の25日線を割り込んだ上、5日線とのデッドクロスでテクニカル面での失望感は強い。ただ、中長期の上昇トレンドは崩れておらず、下値固めから自律反発力を試す局面と捉えている。

日経平均のレンジは、上値は1/23高値から1/31安値の半値戻り23,610円が意識され、下値は12/29窓埋め22,881円が目処となろう。

株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト