「ブラックリストに登録されるとクレジットカードが作成できない」という話を耳にしたことがある人は多いだろう。クレジットカードの支払いを延滞すると「ブラックリストに載ってしまう」などの情報を得た人もいるのではないか。しかしこれは本当なのだろうか。

実は「ブラックリスト」なるものは存在しない。いわゆる「クレジットヒストリーの事故情報」が「クレジットカードのブラックリスト」と呼ばれている。クレジットヒストリーとは、信用情報機関に登録された自分のクレジットに関する信用情報のことである。さらに、各信用情報機関に登録されているクレジットヒストリーの事故情報はブラックリスト化にはしていない。

クレジットヒストリーの信用情報機関は3機関

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(画像=PIXTA)

クレジットヒストリーの信用情報機関には、CIC、JICC、全銀協の3つがある。ここに登録されたり、各加盟会社の照会により開示されたりするクレジットヒストリーは、各加盟会社からの情報を元に登録される。ただし、登録前や情報取得前には、必ず申込書などで登録される本人の同意を得ることが必要である。

なお、この3つの信用情報機関は、貸し倒れを未然に防止するため、一部情報の情報交換を行っていて、各信用情報機関に登録する加盟会社は、この3信用情報機関の情報を利用することができる。

ただしCICのWebサイトには、CICの信用情報は、CICの加盟会員のみが利用できると明記されており、各信用情報機関とも情報は厳格に取り扱っているようだCIC、JICCの両方に重複して加盟している会社は多い。以下に各情報信用情報機関の特徴を述べる。

加盟会社はクレジット会社だけではなく、保険会社、携帯電話会社などもある――CIC

CIC(シー・アイ・シー)は、1984年に設立された信用情報機関であり、株式会社だ。クレジットクレジット会社数社で共同設立された会社である。2018年1月末の時点で942社が加盟しており、クレジット会社や保険会社、携帯電話会社、百貨店、保証会社などが加盟しており、企業が加盟する際には厳格な審査を行う。総登録データは2018年1月20日時点で7億1270万件とかなりの数である。

CICは、加盟企業からの情報照会に応じて、「基礎特定信用情報」を提供している。また、加盟企業からも情報を収集していて、情報は日々更新されている。

大手信販会社やクレジットカード会社が株主――日本信用情報機構(JICC)

JICCも株式会社。1972年に設立された消費者金融系信用情報機関の出資からスタートし、その後、各団体が合併などで、2009年8月に現在のJICCという信用情報機関になった。2018年1月末日時点で加盟会社数は1395社であり、信販会社、消費者金融会社、カード会社、金融機関、保証会社などが加盟している。こちらも、企業が加盟する場合は審査がある。総登録データは2018年1月20日時点で3億8617万件と多い。

銀行業務に関する情報が満載――全国銀行協会(全銀協)

全銀協は一般社団法人。1877年創立の銀行団体「択善会」がその歴史のスタートである。その後、戦後に社団法人東京銀行協会、全国銀行協会連合会が設立され、1999年に全国銀行協会に改組された。全銀協には、2017年12月14日現在国内外の銀行が、正会員として120社、準会員として72社、特別会員として各地の銀行協会58法人、銀行持ち株会員が3社、特別会員が1社(ゆうちょ銀行)、254社が登録している。なお信販会社や保険会社は加盟していない。

全銀協の中には「全国銀行信用情報センター」があり、ここでは個人情報の照会に対し、開示を行っている。会員数は平成29年3月末時点で1180会員、登録件数は9390万件と前の2つの組織に比べると若干少な目である。会員には信金や農業協同組合、漁業協同組合などが多い。

全銀協では、銀行業務に関する色々なセミナーを開催しているほか、相談室、苦情受付、あっせん委員会、カードローンの苦情、返済に困っている人にカウンセリングなどのサービスもある。

クレジットヒストリーに事故情報などとして登録される行為とはどのような行為があるか。JICCの「信用情報開示書」などから読み解いてみよう。

事故情報その1 自己破産、民事再生などの債務整理(登録されない信用情報機関も)

まず思い浮かぶのは、破産や民事再生などの債務整理ではないだろうか。これらの行為は、もちろんクレジットヒストリーには「事故情報」として登録される。

なおCICではQ&Aにて、破産(2009年より)、特定調停、過払い請求、民事再生に関する項目は登録しないと明記している。JICCでは、債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等については5年を超えない期間保存すると明記している。全銀協は「全国銀行信用情報センターご案内」に、官報に掲載された破産、民事再生決定等は、決定開始日から10年間保存すると明記している。

この3つの信用情報機関では、一部情報を共有しているので、CICでは登録されないと安心しない方がよい。官報に掲載された破産、民事再生などの情報は、決定開始日から10年、その他の情報については、5年間は保存されると覚悟したほうがよいだろう。

事故情報その2 水道料金などは含まない場合もある 約定返済日よりも3カ月以上の遅滞

思い浮かぶのは、「支払いの延滞」であろう。これはクレジットカードだけではなく、住宅ローンや各種ローンの支払いも含まれる。意外なところでは「携帯料金の分割払い」「奨学金の返済」が延滞した場合も、クレジットヒストリーで事故情報として登録される。

どのような「支払いの延滞」で登録されるのか、その目安は、例えば、頻繁に延滞を起こす人の場合は約定返済日より数日遅れただけでもつく場合があるが、約定返済日より3カ月以上の延滞になると「異動情報」扱いになり、事故情報として登録される。

例えば、CICの場合、「総登録件数」において「約定返済日より3カ月以上の延滞」を「異動情報」としてホームページ上に公開している。2018年1月20日時点で1,641万件であるが、これには法人の情報も含まれるため、個人では何件か定かではない。JICCでは、2018年1月末日現在の「異動情報」は586.8万件、うち個人は360.8万人とWebサイトで公開している。

水道料金や電気料金などを延滞した場合はクレジットヒストリーに傷がつかない。水道会社や電気会社などは、これらの信用情報機関の加盟委員ではないので、情報を共有していないからだ。ただし、クレジットカード払いにしている時は「延滞」として信用情報機関に登録される。

JICCの「よくあるQ&A」では、「3カ月以上返済をしていなかった借入れについて、延滞解消となる入金をされ、会員会社から延滞解消の報告がされたときに、延滞情報が抹消され、新たに延滞解消の情報が1年間登録される。」と明記している。3カ月以上延滞した場合は、返済しても、「延滞解消」の情報が登録されてしまうので、まずは延滞しないことが重要である。

事故情報その3 法的に手続きをとられた場合 債権回収

これは強制執行や支払い督促などで法的に強制的に債務を回収されることである。もちろん、このようなことが発生すると事故情報として登録される。なおJICCによると、登録期間は5年を超えないとされている。

事故情報4 本人に代わっての返済 保証履行、保証履行弁済、連帯保証人弁済

保証履行とは、「本人に代わって保証会社が支払いを行うこと」、保証履行弁済は「本人に代わって、契約先が保証会社から一括で支払いを受けたこと」、連帯保証人弁済は、「連帯保証人が契約者本人に代わって支払うこと」だ。連帯保証人が弁済したなら、事故情報ではないのではないかと思われるかもしれないが、本人が支払いを延滞して、本人以外が支払うということはやはり問題になるのだ。登録機関は5年を超えないとされている。

事故情報5 なんらかの理由によるカードの強制解約

なんらかの理由により(その大半は、ネガティブな情報である)カードが強制解約になると、これも信用情報機関に登録される。これも、5年を超えない期間、保存される。

クレジットヒストリーに事故情報が掲載されたら困る4つの事例

クレジットヒストリーに事故情報が掲載されると、様々な弊害が起こる。主なものは、以下の4つのケースだろう。

困るケースその1 クレジットカードの審査に落ちる

まずはクレジットカードの審査に落ちることが挙げられる。クレジットカードが使えないと、大手ネットショッピングモールで買い物をしたい場合は、どうしても銀行振り込みになる。これはとても不便だ。またSuicaなどの交通系カード引き落としの自動チャージもできなくなる。自分は利用していないと思っていても、知らぬうちにクレジットカードを利用している場合が多く、クレジットカードが作成できない場合、不便を感じることが多いだろう。

困るケースその2 住宅ローン、自動車ローンなどのローン審査に落ちる

住宅ローン、自動車ローンなどを申し込みした場合、やはり信用情報機関に問い合わせるため、ここに事故情報があると審査に落ちることになる。

困るケースその3 「10万1円以上」のスマートフォンや家電の分割払いができない

経済産業省の「早わかり改正割賦販売法」において「家電や携帯電話など、店頭販売であって、比較的少額(10万円以下)の生活に必要な耐久消費財に係る個別クレジット契約については、延滞していないこと等を確認することを条件に、支払可能見込額調査を行わない」と規定している。

つまり10万1円以上は、支払見込可能調査を行うということだ。この支払見込可能調査の中に信用情報機関に個人信用情報を照会することが含まれるのだ。この場合、個人信用情報に延滞などの記録がある場合は、もちろん分割払いができなくなる。

困るケースその4 賃貸物件の入居審査に落ちる

賃貸物件の入居審査に落ちることは、意外に思われる方もいるかもしれない。賃貸物件の入居審査は大家だけではないのだ。実は、賃貸物件で保証会社を利用する場合は、保証会社が、信用情報機関に個人信用情報を照会するのだ。こういう場合、信用情報機関に事故情報が登録されていると、当然入居審査は落ちる。

クレジットヒストリーの事故情報を消したいときは

クレジットヒストリーの事故情報を消したいときはどうすればよいのか。残念ながら、事故情報を消したいという申出に対して、各信用情報機関はそれにこたえることはしない。

ただ例外がある。自分の信用情報を取り寄せてみて、それに身に覚えのない事故情報が掲載されていた場合は異なる。

例えば、CICでは開示受付日から2カ月以内であれば、開示請求した本人からの申出により当社から当該情報を登録した会員会社へ調査を依頼する制度がある。

JICCでは、開示日から2カ月以内に、開示請求した本人または代理人の申出により、登録元の会員会社に登録内容の調査を依頼できる。

全銀協でも開示日から2カ月以内に書面による「異議申立書」によって申し立てることにより、その情報の登録元の金融機関・会社に調査を依頼してくれて、事実に即していない場合は訂正をしてくれる。いずれも、費用は無料だ。

もし自分に心当たりがある場合、もしくは自分のクレジットヒストリーが気になる場合は、一度、各信用情報機関に対し、情報を開示請求するのはどうだろう。各信用情報機関とも1回につき1000円(税抜き)で情報開示をしてくれる。CICはスマートフォンやPC、JICCはスマートフォンからも情報開示が可能である。身に覚えのない情報があった場合は、速やかに各信用情報機関に申出もしくは申立をして事故情報を削除しよう。

ただ、事故情報が本当だった場合は、情報登録はそのまま継続になる。この場合、裏技などはなく、最低5年間、登録情報が削除されるのを待つしかないのが現状だ。(ZUU online編集部)