カードローン
(写真=PIXTA)

今や大手消費者金融の大部分が銀行の傘下となっており、銀行のカードローンは傘下の消費者金融が保証していることが多い。 消費者金融が銀行傘下に入り、銀行カードローンの保証をしていることには、社会的背景がある。 消費者金融が銀行カードローンの保証をすることは双方にとって都合がよい事情がある。 銀行カードローンの保証を消費者金融が行う理由について解説する。

目次

  1. 消費者金融が銀行傘下になった理由
  2. 銀行カードローンに申し込むと傘下の消費者金融が審査

消費者金融が銀行傘下になった理由

消費者金融側から考えると、総量規制や過払い金請求、グレーゾーン金利の廃止などの影響で経営が悪化していた。実際、2006年には1万4000ほどあった登録貸金業者も現在は1600を切る水準にまで減っている。

銀行の傘下に入ることで、消費者金融は信用力、ブランド、資金力を得たかったというのが理由だ。特に財政基盤の安定は大きい。消費者金融の収入源は、主に金利と各種手数料だ。対してシステムの構築などの支出はなかなか減らせるものではなく、銀行のバックアップは重要な役割を果たしている。

連携は銀行にもメリットがある。住宅ローンなどの利息と各種投資の運用だけでは利益が上がりにくくなっていた中で、ローンも借り手が不足。消費者金融と顧客ネットワークを共有することは、新たな市場の開拓につながった。 銀行は従来企業向けが多かった融資の対象を個人にも広げ、コンビニATMの普及と併せて新たな顧客を獲得していった。また消費者金融ならではのスピード、利用者のニーズに沿った独自性の高いサービスのノウハウも、銀行には魅力的に映ったはずだ。

顧客のほかにインフラの共有も銀行側のメリットだった。新たな利益を生むためにカードローンやキャッシングの分野に進出をしたものの、そのシステム整備には多額のコストがかかってしまう。 そこで同じグループの消費者金融からATMにカードローンのシステムを入れるノウハウを提供してもらったり、システムそのものを借りたりすることで、コストを大幅に下げたまま新たなサービスを展開できるようになったのだ。

銀行カードローンに申し込むと傘下の消費者金融が審査

実は銀行と消費者金融では、適用される法律が異なる。銀行は銀行法、消費者金融は貸金業法が適用される。貸金業法には「総量規制」があり、利用者は年収の3分の1の金額までしか借りることができないが、銀行にはこの規制がないため、高額の借り入れがしやすいのだ。

こうした状況の中で、銀行と消費者金融は同じグループ内で同じサービスを提供する事業者同士として、共有と住み分け、つまり共生に努めている。

銀行はカードローンの審査で、保証会社として傘下の消費者金融を使っている。たとえば三菱UFJ銀行のカードローン「バンクイック」では、保証会社は三菱UFJグループのアコムだ。三井住友銀行のカードローンの保証会社は子会社のSMBCコンシューマーファイナンスだが、同社は大手キャッシングブランドのプロミスのサービス元だ。

カードローンの審査ノウハウがない銀行は消費者金融に審査を担当させ、リスクを保証で負ってもらう。消費者金融は総量規制導入によって減少した収益を銀行カードローンの保証料収入で補うという双方win-winの関係性が構築されているだ。(ZUU online 編集部)