次世代タイプの「ペロブスカイト太陽電池」は実用化に向けた道筋が整いつつある。軽く、簡単に曲げられるのが特徴。課題となっていた耐久性などの問題も解決しつつあり、フジプレアム(4237・JQ)やテクノスマート(6246・(2))などの関連銘柄への関心が一段と高まってきた。
ペロブスカイトと呼ばれる特殊な構造を持つ材料を使ったフィルム状の材料を採用して、柔軟性を高めたのがペロブスカイト太陽電池。曲げられる上半透明の素材のため、応用範囲は広がる。住宅の窓や、自動車のルーフに搭載することなどが想定される。
従来は、発電効率の低さや、原料に鉛などの有害物質を含むといった課題を抱えていた。しかし、昨年にはスイスの大学が長寿命・高変換効率のペロブスカイト太陽電池を開発。有害物質についても、国内外で鉛を使わない製造法が相次ぎ編み出されている。東京大学では、電極材料に筒状炭素分子「カーボンナノチューブ」を使用し、低コストで生産できるタイプの電池を開発した。
昨年のノーベル賞候補にもなり一躍脚光を浴びたペロブスカイト太陽電池だが、足元では本格的な実用化に向けた段階に入りつつある。ペロブスカイトの研究でノーベル賞候補者となった桐蔭横浜大学の宮坂力・医用工学部特任教授は2018年内での実用化に期待感を示したほか、太陽電池に注力するパナソニック(6752)なども研究開発を急いでいる。
京都大学が主導するフィルム型のペロブスカイト太陽電池の開発プログラムにおいては、フジプレアムが電池材料を固定する封止技術を担う。今後見込まれる電池の大型化に伴い、存在感を高めそうだ。株価は昨年来高値(17年9月26日の419円)を目指す動きとなっている。
フィルム作成用の塗布ラインでプログラムに名を連ねるテクノスマトは、従来の主力である2次電池向けに加え、太陽光電池向けの需要開拓にもつながりそうだ。また、生産設備でパナソニックやカネカ(4118)が参加し、ADEKA(4401)や東洋紡(3101)、日東電工(6988)、積水化学工業(4204)も技術を提供している。
穴株としては藤森工業(7917)が面白そうだ。同社は昭和電工(4004)とともに、宮坂教授が立ち上げたベンチャー企業と共同で高性能プラスチック太陽電池素子開発に成功している。
ヨウ素などの材料をペロブスカイト太陽電池に積極的に活用する動きもある。大手の伊勢化学工業(4107・(2))は、千葉大学と組んで需要開拓に乗り出す。また、ペロブスカイト系材料は第一稀元素化学工業(4082・(2))が開発しているほか、ペロブスカイト型酸化物を生産する日本化学工業(4092)にも思惑が向かいそうだ。(3月2日株式新聞掲載記事)
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