昨日の海外時間には、発表された米・2月小売売上高が予想を下回ったことから、NYダウが下落してリスク回避の円買いが強まりました。
今後の見通し
昨日のドラギECB総裁の講演では「インフレ動向が正しい方向に向かっているとの一段の確証が必要」「インフレが目標に向けた道程で持続的に調整していることを確認する必要」などと慎重の姿勢を見せた一方、「インフレは今のところECBの目標に中期的に向かっている。いずれ収束するとの確信は依然より深まった」とも述べています。一方で、ユーロ高について「景気拡大だけでは説明しきれない」と今後も為替市場動向を注視する姿勢を見せた為、ユーロ売りが強まりました。
その後発表された米・2月小売売上高は、予想外のマイナスとなったことから、NYダウは248ドル安となって、これで3日続落、合計で574ドル下落して、リスク回避の要因となっています。
一方国内では、引き続き森友学園文書書き換え問題で国会が紛糾する中、佐川元国税庁長官の国会証人喚問を与党が容認したことで、混乱の長期化や麻生財務相辞任の可能性が高まるとの思惑もあって株式市場にネガティブな影響を与え、やはりリスク回避の要因となっています。
トランプ政権の人事など、不確定要因も含めて、海外要因、国内要因ともにリスク回避の火種が残っていますので、引き続き円高に備えるべきと考えています。
円高に備えてドル売り円買い
昨日は106.80円付近で戻り売りを狙いましたが、欧州時間に東京時間の高値を超えられなかったところで、106.50円でドル売り円買いのポジションを作りました。現在は損切りラインを持ち値の106.50円に置いて、円高局面を待っています。
昨日の海外市場動向
欧州時間序盤、ドラギECB総裁が「ユーロ高が今後インフレの足かせとなる恐れある」と述べたことからユーロ売りが強まって、ユーロドルは1.2360付近まで、ユーロ円は131.70円付近まで下落しました。しかし欧州株が上昇するとドル売りが優勢となって、ユーロドルは1.2380台まで、反発し、ドル円は106.30円台まで下落しました。
NY時間にはいって、発表された米・2月生産者物価指数(コア)が予想を上回って一旦米長期金利が上昇してドル買いが優勢となりましたが、米・2月小売売上高が予想を下回ったことから、NYダウが下落し、米長期金利が低下したことからリスク回避の動きで円買いとドル買いが優勢となって、ドル円は106.00円台まで、ユーロ円は131.00円台まで、ユーロドルも1.2340台まで下落しました。
NY時間午後にかけて、下落していた原油相場、米長期金利、NYダウが反発するなか、リスク回避がやや後退して、ドル円は106.30円台まで、ユーロ円は131.60円台まで、ユーロドルも1.2370台まで反発しました。
東京時間にはいってからは、日経平均が下落していることから再びリスク回避の円買いが強まっています。
今日の予定
今日の海外時間には米・3月フィラデルフィア連銀景況指数、米・2月輸入物価指数、米・新規失業保険申請件数、米・3月NY連銀製造業景気指数、米・1月対米証券投資収支の発表が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp