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※この記事は2018年3月に掲載されたものを再編集しています。
筆頭株主と企業の関係
【第1回】の吉野家HD、【第2回】のしまむら、【第3回】の住友不動産を取り上げてきた本連載。 【第4回】ではヤクルトに関する記事となる。株式を発行している企業にとって、筆頭株主の持ち株割合が変わることは大きな波乱要素である。2018年にヤクルトと筆頭株主ダノンの間で起こった一連の騒動は、株主と株価の関係を考えるとき着目すべき題材だ。この記事では、双方にどのような思惑、戦略があったのか考察していく。
ヤクルトレディの活躍
「ヤクルトおばさん」をご存知だろうか。筆者が幼い頃はヤクルトを販売する女性をそう呼んでいた。彼女たちの多くは個人事業主なのだが、筆者が住んでいた地域を担当する「ヤクルトおばさん」の販売力たるや相当なものだった。決して大げさな話ではなく、地域の誰もが朝一番でヤクルトを飲むのが当たり前だった。正式名称は「ヤクルトレディ」であるが、彼女たちひとり一人の活躍がヤクルト本社 <2267> の業績に大いに寄与しているのは言うまでもない。
注目されるのは、先週の株式市場でヤクルト本社(以下、ヤクルト)が大商いに沸き、売買代金ランキングでトヨタ自動車 <7203> を抜いて上位に躍り出たことだ。今回はその背景を詳しくみてみよう。