日経平均予想レンジ21,000~21,592円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は先週末の米中貿易戦争への懸念で米国株が大幅続落した流れを引き継ぎ、日経平均は週初20,347円の年初来安値まで売り込まれた。その後、米中が貿易摩擦回避に向けて歩み寄るとの期待感を背景に安心感が広がり、週末終値では200日線21,329円を回復した。ただ、週間の振幅は1,165円と乱高下の様相を強めた。

海外の焦点

ムニューシン米財務長官は25日、中国との貿易摩擦回避の可能性に言及。両国が通商問題の解決に向け、水面下で協議を開始したと報じられたことに反応し、NYダウは節目の24,000ドルを回復した。

ただ、28日は米政権が中国からの投資制限について国際緊急経済権限法の発動を検討していると一部外国メディアが報じたことで、いったん和らいだ米中貿易戦争に対する懸念が再燃。米中の貿易問題に道筋が見えないことから米国株は三角持ち合いを下放れ、チャート形状は悪化してきただけに注意を払いたい。

北朝鮮の核放棄に向けての首脳会談が注目されている。27日、金正恩委員長が訪中し習国家主席と会談した。4月は日米首脳会談と南北会談(4/27)が予定され、5月には米朝会談、6月には日朝首脳会談が模索されている。北朝鮮は平昌五輪の機会を利用して緊張緩和と対話に乗り出してきた。当面、北朝鮮リスクが和らぐ可能性が見込まれるだけに注目したい。

国内の焦点

決裁文書改ざん問題で当時の財務省理財局長だった佐川氏の証人喚問が27日行われた。佐川氏は首相、首相夫人、財務相からの指示を強く否定し、近畿財務局の個別案件で理財局の中だけで対応したと説明。文書の改ざんについては「告発を受ける身で刑事訴追の恐れがあるので控えたい」などと説明を拒否。全容を解明するには至っていない。内閣支持率が低下する中、円高加速が懸念されたが、影響は限定的との見方が広がっている。しかし、森友問題の進捗と安倍内閣への影響は注視したい。

テクニカル面では、日経平均は2/14と3/5の2度21,000円を割り込んだ後すぐに急反発した。今回は3回目の21,000円割れとなったものの、早期に回復した上、3日連続で陽線高値引けとなり、経験則上ではボトム圏出現は底入れ反転の転換点となる。上昇傾向の200日線を明確に上抜けば戻りを試す期待は一段と膨らむ。

来週の株式相場

以上、来週は名実共に新年度入りとなる。国内政治や米通商政策などの不透明要因を引きずっている中、割安感も意識され、下値固めの展開は続きそうだ。日経平均のレンジは上値は3/22高値21,592円が意識され、下値は節目の21,000円が目処となろう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト