中国経済,ユニコーン,多角化
(画像=testing / shutterstock.com ※2017年8月、北京)

目次

  1. 多角化に死角はないのか
  2. DJIが医療映像に進出
  3. ディディチューシンは消費者金融に
  4. 多角化へのアプローチ、評価は対照的

※2018年4月配信記事を再編集したものです。

多角化に死角はないのか

中国におけるユニコーン企業の存在感は、半端ではない。新しい分野の象徴として、光輝いている会社はたくさんある。大型投資もすれば、多角化を指向し始めたところもある。

2018年、代表的なユニコーン企業の他業種進出が2件伝えられた。ライドシェア(配車アプリ)のディディチューシン(滴滴出行)と、ドローン製造のDJI(大疆)である。

ニュースサイト「今日頭条」など複数のメディアが伝えている。歴史の浅いユニコーン企業の多角化に、死角はないのだろうか。

DJIが医療映像に進出

DJIはドローン製造で断トツであり、世界シェアの70%を握っているとされる。ここ3年間の売上と利益を見てみよう(1元=17.09日本円)。

2015年 59億8000万元/14億2000万元
2016年 97億8000万元/19億3000万元
2017年 175億7000万元/43億元 

なんと倍々ゲームに近い高度成長だ。これを見る限り、何の不安もなさそうである。そのDJIが“新一輪”融資として10億ドル(63億元=1077億円)を調達するという。“新”というからには、新しい事業に投じようとしているのである。すでにDJIは未来発展の三大方向を提示している。

1. 医療映像AI市場、年市場規模50億ドルが見込まれる。
2. 3歳児からの科学技術教育課程、2018年、市場規模は100億ドルが見込まれている。
3. 人工知能、ロボットと関連市場。

経済界では、この中で最も好ましい方向は1の医療映像AI市場ではないか、と見ている。ただしこの部門は、テンセント(騰訊)が、国家AIプロジェクトの指定を受け、先行している。そして、中核業務の拡張をするのではない、という姿勢には疑問を呈する向きが多い。何しろ融資額は10億ドルと巨額である。

ディディチューシンは消費者金融に