金曜日の海外時間には、イタリア新政権協議で、「五つ星運動」と「同盟」が連立政権樹立にむけた政策で合意した、と報じられたことからユーロ売りが強まって、ドル円は1月23日以来となる111円まで上昇しました。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

金曜日の欧州時間には米長期金利の上昇が続き、イタリア政権報道でユーロ売りが強まったことも加わってドル円は1月以来の111円台に乗せました。その後ドル円は一旦110円台半ばまで反落しましたが、ムニューシン米財務長官が「米中は貿易戦争を保留し、今のところ、関税措置についても保留にすることで合意した」と述べたことから、懸念の後退でリスク選好の動きになって、ドル円は週明けの東京時間にも111円台を付けました。

4月後半からのドル円の上昇は、基本的には米長期金利の上昇に沿ったドル高主導で進んできました。ただし、米長期金利は30年債利回りで3.25%というここ数年上抜けできなかったポイントで反落したことから、一旦止まった可能性があります。一方今日のドル円の上昇は、米中貿易戦争懸念の後退と、週末の世論調査で安倍首相の支持率が40%台を回復したことによるリスク選好の円売りが主導していると考えられます。そう考えると、今週ドル円の上昇が続くためにはこれまでのドル買いに変わって、円売りが続くことが必要と考えられますが、これ以上の材料もなさそうなことからここからの円売りは限定的になるのではないでしょうか。

111.45円でのドル売りポジションを考慮

ドル円は上方にシフトしたレンジの上限に迫っていると考えています。したがって今日は111.45円付近でドル売り円買いのポジションを111.75円に損切りラインを置いて作りたいと考えています。

海外時間からの流れ

欧州時間、イタリアの「五つ星運動」と「同盟」が連立政権樹立にむけた政策で合意した、との報じられたことからイタリア国債など周辺国の国債が売られると、ユーロ売りが強まって、ユーロドルは昨年12月18日以来となる1.1750付近まで下落しました。一方ドル円は、対ユーロでのドル買いの影響もあって買われ、今年1月23日以来となる111.00円台まで上昇しました。

NY時間にはいって、カナダの小売売上高の弱い結果を受けてカナダドルが急落すると、NYダウ先物や日経平均先物が下落する中、米長期金利が低下し、円買いが強まって、ドル円は110.60円台まで反落しました。

週末に、ムニューシン米財務長官が「米中は貿易戦争を保留し、今のところ、関税措置についても保留にすることで合意した」と述べ、米中貿易戦争に対する懸念が後退したことから、週明けの東京時間には円売りが優勢となっています。

今日の予定

今日の海外時間にはボスティック・アトランタ連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp