(本記事は、菅下清廣著書『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』=KADOKAWA、2018年5月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

【『知らないと損をする「お金の教養」』シリーズ】
(1)「今のバブル」と前回の違いは? 勝つために見極めたいポイント
(2)初心者は「お世話になってます株」に注目せよ 好景気で投資を始めると良い2つの理由
(3)お金持ちになれない人に共通する3つのポイント
(4)なぜ「世界最高の頭脳」でもマーケットに勝てなかったのか--真に相場を動かすモノとは?
(5)時間をムダにする人はお金もムダにする ウォール街で出世する人の必須条件

知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

平成バブルはなぜ起こり、なぜ弾けたか

「バブル」という言葉にネガティブなイメージを抱く人は多いでしょう。

しかしバブルは、悪いものではありません。

景気は膨張と収縮の繰り返しであり、膨らんだ風船がいつかしぼむのは当たり前。いかなる好景気も、最後は膨らみ切って、バブルで終わるのです。

ただ、膨らんだ風船が小さくなる際の、縮まり方にいろいろあります。うまく空気を逃がすことができればいいですが、ときに膨らんだ風船は割れてしまうことも。

収縮が「破裂」レベルの激しい形で起こった平成バブルもまた、長い好景気の末に来たものでした。

長い好景気―それは敗戦後の低迷から立ち上がり、発展を遂げていった高度成長期です。ここでも、20年にわたる長い上昇サイクルが続いていたというわけです。

上昇の波は、技術革新を伴えば長く続きます。このときの技術革新の主役は、製造業でした。アメリカの技術を学び、アメリカを超えるクオリティの製品を次々に生み出したのです。トヨタの自動車など、多くの日本企業で技術革新が起こり、景気の牽引役を担いました。

その矢先、1985年の「プラザ合意」。

米国の膨大な貿易赤字を解決すべく、為替レートを調整して米ドルを安くしよう、という取り決めです。

結果、急激な円高で一時的に日本の景気が後退。日銀が金融緩和を行った結果、金利が5%から2.6%になり、今度は一転、好景気になりました。

円高にもかかわらず日本製品の人気は高く、貿易も黒字。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれた時代の到来です。

1987年には「NTT株公開」が社会現象の火付け役に。公開数カ月で株価が2倍以上も跳ね上がったことが、人々の目を株式投資に惹きつけました。

企業も、銀行から借り入れして新規事業に投資するよりも、株や不動産で収益を得る考えに流れていきます。経済が成熟し、さらなる挑戦をしなくなっていたのです。

お得意様を失った銀行の新たなターゲットは、「不動産を買いたい人」でした。

不動産の価値は決して下がらない、という「土地神話」を信じ、個人も企業も土地購入に殺到。日本全国の地価は高騰しました。

1990年、その対策として日銀は金利を6%に引き上げ、急激な金融引き締めを行いました。次いで土地関連の税金を上げるなど、銀行の融資も制限。土地の価値は、急激に降下します。

この状況に、土地を買った人々は一転、売りに出す人が急増。同様に株を手放す人も続出し、株価も暴落しました。

これが、バブル崩壊です。元凶は日銀の急ブレーキでした。拙速かつ急激な金融引き締めのせいで、日本は好景気から転落してしまったのです。

のちに、欧米各国や中国は、この日銀の金融政策の失敗を参考にして、バブル崩壊をまぬがれたといわれています。

前回のバブルと今回のバブルの違い

知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」
(画像=everything possible/Shutterstock.com)

それから20年後、しぼみきった風船を再び膨らませているのが現政権です。

政府も日銀も、バブル崩壊のときと同じ失敗はするまいと肝に銘じているはず。金融緩和の出口戦略を考え始めた気配は見られますが、きわめて慎重に行われることは間違いありません。

では、政権とは別に、私たち一般市民が気をつけるべきことはなんでしょうか。

株価の上下と同じく、好材料が出尽くしたときに好景気は終わります。その兆しとなるような現象には目を配りたいところです。平成バブルの末期には、ゴルフの会員権や絵画の価格が高騰しました。こうした、「本来、資産価値がさほどないもの」が急騰するのは、終わりが近づいている証拠と見るべきでしょう。

平成バブルと今回のマネーバブルの違いも知っておきましょう。

一つは、日本だけではなく世界的な現象であること。

主役を担っているのはアメリカです。アメリカから始まった金融緩和の影響で、世界中にマネーがだぶついているからです。

ですから、アメリカの好景気に日本も影響されます。将来、ダウ平均が2万7000ドルの壁を突破すれば、日本の株もさらに上がります。

一方で、日本の株価だけが上がっていく可能性もあります。アメリカでは、過熱への警戒心がどこまで払拭できているか不透明だからです。調整局面が続けば、過熱への懸念がまだない日本との関係が逆転するかもしれません。

もう一つの違いは、国際的であると同時に「局地的」であることです。

前回のバブルは、日本列島中、僻地にいたるまで軒並み土地の値段が上がりました。土地だけでなく、あらゆるモノやサービスにも、買い手が殺到しました。

しかし今回は、値上がりするものもあればしないものもある、といった形のバブルです。ポイントが限定されるので、それを見極められるかどうかが勝負どころ。

闇雲に「株は儲かる!」と飛びついて悲惨な目にあった前回の教訓も含め、吟味して向き合いたいところです。

菅下清廣(すがした きよひろ)
スガシタパートナーズ(株)代表取締役。国際金融コンサルタント。投資家。学校法人立命館 顧問。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。「経済の千里眼」の異名を持ち、政財界に多くの信奉者を持つ。 『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHPビジネス新書)、 『マネーバブルで勝負する「10倍株」の見つけ方 【2018年上半期版】』(実務教育出版)など著書多数。