(本記事は、菅下清廣著書『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』=KADOKAWA、2018年5月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

【『知らないと損をする「お金の教養」』シリーズ】
(1)「今のバブル」と前回の違いは? 勝つために見極めたいポイント
(2)初心者は「お世話になってます株」に注目せよ 好景気で投資を始めると良い2つの理由
(3)お金持ちになれない人に共通する3つのポイント
(4)なぜ「世界最高の頭脳」でもマーケットに勝てなかったのか--真に相場を動かすモノとは?
(5)時間をムダにする人はお金もムダにする ウォール街で出世する人の必須条件

知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

経済学者は意外に投資オンチ

相場は理論通りには動かない。これは為替だけでなく、株でも何でも同じことです。

もし理論通りに動くなら、経済学者は全員大金持ちになっているでしょう。しかし現実には、その反対のことが起こっています。

高度な理論を駆使する方々は、実はめっぽう「投資オンチ」なのです。

国内にも「この先生がいったことは必ず外れる」という方々はけっこういらっしゃいますが、それを公表するのはやめておきます。

代わりに、金融界の伝説となっている珍事をひとつ紹介しましょう。

アメリカで、ノーベル経済学賞受賞者が作った投資会社が破たんした事件をご存じですか?

その会社の名前は「ロングターム・キャピタル・マネジメント」。

創立メンバーの中核にいたのは、「オプション理論」という金融工学理論を打ち立ててノーベル経済学賞を受賞した、マイロン・ショールズとロバート・マートン。

1993年の設立直後から、全世界の名だたる投資家や金融機関がこぞって彼らに投資し、3年後に資産額は10倍に膨れ上がりました。ところがこのファンドは、1998年に破たんしてしまったのです。

世界最高の頭脳が、なぜマーケットを読めなかったのか。

それは、彼らが机上の理論だけで考えていたからです。理論は、相場に影響する「一つの要素」に過ぎないことを知らなかったからです。

本当に大事なものは、理論の外にあります。

「理外の理」‐理屈の外にある「何か」が、相場を動かしているのです。

相場を真に動かすのは「人間心理」

知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」
(画像=Gorodenkoff/Shutterstock.com)

「景気のサイクルの話は理論ではないの?」

と疑問に思われるでしょうか。

好景気不景気には大小さまざまな波があること、株価が景気に先行すること、それらは確かに一つのセオリーとして活用できます。

しかし、学問ではありません。いわば経験法則に近いものです。学問ではないものが、相場を動かしている。

その正体は、「人間心理」です。

人間心理が相場を動かす。そして人間心理の集積が、経験法則となってあらわれる。

人が株を買いたくなったり、売りたくなったりするのはなぜか。どんなときに、どう行動するのか。その答えを握るのはいずれも、人の心です。

相場を読むには、人間心理を知ることが決め手なのです。

一流の投資家は皆、人間心理を読むプロです。

かのJFKの父上である投資家のジョセフ・ケネディ氏にも、有名な逸話があります。

1929年、株をどんどん買い増していたケネディは、靴磨きの少年から「儲かる株の銘柄」をすすめられます。

その直後、彼は会社に戻り、株をすべて売ってしまいました。

いったいなぜでしょうか。

本来、株になど興味をもたないはずの、靴磨きの少年までが株に興味をもち買うようになっているということは、もう皆が買い切っている。すなわち「今が天井で、すぐに落ちるに違いない!」と考えたからです。

その直後に株は大暴落。歴史に残る「暗黒の木曜日」です。

そこから始まった世界大恐慌で、多くの投資家や富豪が一文無しになりました。

ケネディは、人間心理を的確に読み解くことで、この嵐を生き延びたのです。

皆さんも、人間心理に精通することを目指しましょう。

ちなみに、刻々と変わる株価や為替相場には、人間心理は反映されません。上がっているものを売って、下がっているものを買う、その場の選択が反映されるだけです。

本当に人間心理が表れるのは、中勢観(3カ月程度の相場見通しのこと)です。

「どこで底打ちするか?どこが天井か?」「これから上がるか?下がるか?」という方向性です。これが読めるようになったら、一人前の投資家です。

同時に、人間の本質に知悉した達人にもなれるでしょう。

菅下清廣(すがした きよひろ)
スガシタパートナーズ(株)代表取締役。国際金融コンサルタント。投資家。学校法人立命館 顧問。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。「経済の千里眼」の異名を持ち、政財界に多くの信奉者を持つ。 『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHPビジネス新書)、 『マネーバブルで勝負する「10倍株」の見つけ方 【2018年上半期版】』(実務教育出版)など著書多数。