(本記事は、菅下清廣著書『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』=KADOKAWA、2018年5月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
【『知らないと損をする「お金の教養」』シリーズ】
(1)「今のバブル」と前回の違いは? 勝つために見極めたいポイント
(2)初心者は「お世話になってます株」に注目せよ 好景気で投資を始めると良い2つの理由
(3)お金持ちになれない人に共通する3つのポイント
(4)なぜ「世界最高の頭脳」でもマーケットに勝てなかったのか--真に相場を動かすモノとは?
(5)時間をムダにする人はお金もムダにする ウォール街で出世する人の必須条件
菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。マーケット情報配信サービス「 スガシタボイス 」、株価の解説・予測が無料で読める「 スガシタレポート オンライン 」を配信中。
「お世話になってます株」に投資せよ
手始めに、何に投資すれば良いのでしょうか。
やはり、カギは個人消費にあります。
世界単位で見るとなかなか熱してこない個人消費ですが、日本はこれから、オリンピックに向けた上げ潮に乗る流れ。デフレマインドに浸かった人々の財布の紐も緩み始めるでしょう。
そのとき、お金はまずどこに使われるでしょうか。
ほかでもない、「身近な生活関連商品」です。
食材を、一段良質なものにしたくなる。ファミレスで済ませていた外食をフレンチのビストロにしたくなる。習慣的に買っていたプチプラコスメを、資生堂など大手メーカーのものに変えたくなる……。その証拠に、安さが売りのコンビニでも、以前よりちょっぴり高価でグレードの高いお総菜やお菓子が人気になっています。
景気が上がり始めると、こうした生活密着型のモノやサービスを取り扱う企業の株から上がり始めます。
醤油や豆腐、歯磨き粉や歯ブラシ、洗顔料や洗剤。
昼どきのテレビ番組の合間にCMが流れるような企業は、すべて狙い目です。
ただし、毎日使うモノだからといっても、車や冷蔵庫等の耐久消費財を扱う企業はおすすめしません。
景気の上がり始めは単価の安いものから売れ始めます。金額のかさむものは、もっと活況になってからゆっくり上がるのです。耐久消費財メーカーに投資するなら、日本の隅々まで好景気が浸透するころまで待つべきでしょう。
単価の安い、しかし少しだけ贅沢な生活用品。そう考えるとファッション関連も狙い目ですね。女性は消費に敏感ですから、反応も早いでしょう。
対して男性の場合は、服にはそこまでお金をかけません。毎日必ず使うものを贅沢にするとしたら、靴やバッグあたりでしょう。あるいはゴルフ道具やスポーツジムなど、娯楽や「自分磨き」の分野も上がりそうです。
身近なモノやサービスを提供する会社は、まだまだあるはず。
生活のなかで、毎日使うお気に入りの品はありませんか?
そんな「お世話になってます株」に、ぜひ注目してみてください。
株主優待で賢くオトク
好景気のときに株式投資を始めると、いいことが二つあります。
一つはいうまでもなく、株価が上がるのでお金が増えること。売買で得をするだけでなく、配当金も増えます。
そしてもう一つが、株主優待です。
収益が上がったぶん、企業は一定数以上の株を保有する株主に、特典という形で利益を還元します。
実はこれは、海外ではほとんど見られない日本特有の制度。外国人投資家は「優待に回すならそのぶん配当を多くしてほしい」と考える人が多いようです。
しかし贈答文化が根付いている日本人にとっては、お得な気分がますます盛り上がる嬉しい制度です。
株主優待に力を入れている企業は、株を買うときにかけたお金よりも多くが還ってくる、利回りの良い特典を提供してくれます。銘柄を選ぶときに優待の内容と利回りも、チェックしておくとよいでしょう。
株主優待の内容はさまざまで、ユニークなものも多々あります。
芸能事務所の「アミューズ」や「吉本興業」は、イベントや舞台の招待券を送ってくれますし、住宅設備メーカー「LIXIL」グループではハウスクリーニングやリフォームサービスの優待券がもらえます。
前述した「お世話になってます株」の会社なら、たいていの場合はその会社の製品を送ってくれます。
アサヒグループホールディングスは酒類・清涼飲料水等の詰め合わせ。「株主様限定特製ビール」というオリジナル品を選ぶこともできます。
キッコーマンの株主優待は、醤油やめんつゆなど自社製品の詰め合わせ。
ライオンは歯磨き粉・歯ブラシをはじめボディソープや柔軟剤など。
カット野菜などを外食チェーンに提供する「デリカフーズ」の優待は「こだわり野菜・果物の詰め合わせ」。1000株以上を3年保有している株主には、高級米も贈呈してくれるそうです。
これらの品は、日常生活にすぐ利用できます。そのぶん、生活コストが下がります。下がったぶんは家計の余裕になり、それが金融資産になります。
しかも送ってくるものは上場企業の品物とあって、クオリティは保証付き。スーパーやドラッグストアで買うよりも、良いものが手に入ります。
株で資産が増えるだけでなく、優待でますますお得に。
賢い株主になれば、生活のうるおいや楽しさが、一段と上がるでしょう。
菅下清廣(すがした きよひろ)
スガシタパートナーズ(株)代表取締役。国際金融コンサルタント。投資家。学校法人立命館 顧問。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。「経済の千里眼」の異名を持ち、政財界に多くの信奉者を持つ。 『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHPビジネス新書)、 『マネーバブルで勝負する「10倍株」の見つけ方 【2018年上半期版】』(実務教育出版)など著書多数。