体に身に着ける情報端末の「ウェアラブルデバイス」の市場成長が続きそうだ。普及が進む腕時計型を中心に、昨年には世界の出荷台数が1億2000万台を超えたとみられるが、調査会社の米IDCでは2021年に約2億4000万台と倍増を予想。また、皮膚に貼ることができるフィルム状の電子回路といった新技術の開発も進み、医療用や産業用など幅広い分野でも飛躍的に需要が拡大する可能性が出てきた。ここから狙える3銘柄をピックアップした。
大有機化―世界一伸びる電材、来年の見本市注目
大阪有機化学工業(4187)は「世界一伸びる」とうたわれる導電材料を開発。その伸長性は約5000%と途方もなく、さまざまな曲面に貼り付けられる。ウェアラブル機器の電極や配線向けに有力だ。次世代品としては、心拍数や消費カロリーなどのデータを体から直接収集する「スマート衣料」などへの応用が期待されている。来年1月の見本市「ウェアラブル EXPO」にも展示する。
株価は今1月期第1四半期の好決算(発表は4月6日)をきっかけに高騰したものの、その後は調整が進み上げ幅を失った。ただ、1400円どころで下値が固まりつつあり、4月高値1659円の奪回を目指す出直り歩調が始まりそうだ。
新日無―生体用センサーで勝負、業績好調で復配も
ウェアラブルの有力市場の一つがヘルスケア分野だ。センサーが埋め込まれたデバイスを体や衣服に装着することで、使用者の行動から直接データを収集できる。医療用途はもちろん、フィットネスではウェアラブル経由で集めた情報をトレーナーが解析してアドバイスするような場合に活用されている。健康への意識が高まる中で、今後は一段と普及が加速する可能性が高い。
新日本無線(6911)は、そうした生体機能付きウェアラブル機器に特化した光学センサーを手掛ける。脈波や酸素飽和度を計測する機器向けに量産している。今3月期は決算期変更(3月→12月)に伴う9カ月変則決算だが、連結営業利益は21億円と12カ月分の前3月期とほぼ同等の水準を稼ぐ見通し。復配にも期待が掛かる。
トランザス―多方面で採用進む、2000円は下値岩盤
トランザス(6696・M)は工場を持たない「ファブレス」のIoT(モノのインターネット)機器メーカー。ウェアラブルは業務用を得意とする。エイチ・アイ・エス(=HIS、9603)の運営するロボットホテル「変なホテル」にも、スタッフや顧客の通信手段として導入されるなど、着実に顧客を増やしている。直近では、米半導体大手の工場でも採用され、市場で話題となった。
株価は4月の高値2762円をピークに売り優勢に転じたものの、強力な下値支持線に当たる2000円まで下げ調整に一巡感が出ている。FA(工場自動化)の流れも追い風となる銘柄だけに、仕込み好機を迎えた。(6月5日株式新聞掲載記事)
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