(本記事は、NightWalker氏の著書『世界一ラクなお金の増やし方』ぱる出版、2018年6月7日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

世界一ラクなお金の増やし方
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

【『世界一ラクなお金の増やし方』シリーズ】
(1)インデックスファンドが長期投資に向いている3つの理由
(2)初心者が選ぶべきインデックスファンド 3つの指数とは?
(3)なぜ「運用実績のないファンド」が投信ブロガーたちに選ばれるのか?
(4)リスク資産が増えたときにする「リバランス」とは?
(5)株で大暴落が起きたら必ずすべき4つの対処法

ファンドの選び方・組み合わせ方の要点だけ紹介

世界一ラクなお金の増やし方
(画像=Jacob Lund/Shutterstock.com)

●インデックスファンドを買おう

株価指数に投資する商品には、インデックスファンド(投資信託)以外にもETFというものがあります。

ETFは日本語では「上場投資信託」という名前が付いています。その名の通り、証券市場に上場している個別株式と同様に市場で取引するものです。

ただし、100円単位の積立ては、現在のところできませんし、多くの場合は売買手数料もかかります。つみたてNISAでは、選択肢が3本しかありません(2018年5月現在)。

ですので、インデックスファンド(投資信託)が、つみたて投資のほぼ唯一の選択肢になります。

●基本の資産配分は全世界

インデックス投資の場合、理論上の基本があります。

それは、「最適に分散された唯一のリスク資産のポートフォリオを無リスク資産と組み合わせて保有する」ことです。この「最適に分散された唯一のリスク資産のポートフォリオ」とは全世界を投資対象としたとき、世界の株式市場の縮小コピーになります。

これがインデックス投資のバックボーンとなる、現代ポートフォリオ理論やCAPMと言われるノーベル賞を受賞した理論の結論なのです。

この世界の株式市場の縮小コピーのことを、「世界市場ポートフォリオ」と呼ぶことにします。

「世界市場ポートフォリオ」は、全世界の株式会社を時価総額の比率で分散させることで実現することができます。

●初心者が選ぶべき指数は3つだけ

インデックスファンドもいろいろあるのですが、初心者が買うべき株価指数は、そんなにあるわけではありません。基本は、次の3つだけと覚えてください。

(1)日本株式に連動する指数
(2)先進国株式に連動する指数
(3)新興国株式に連動する指数

あとは、この組合せです。

(4)全世界株式に連動する指数(1)+(2)+(3)
(5)外国株式に連動する指数(2)+(3)

これらの指数に連動するインデックスファンドを使って、世界市場ポートフォリオを実現すればいいわけです。

●実現するための組合せ方は3パターン

基本となる「世界市場ポートフォリオ」ですが、現時点での実現の仕方は3つあります。

(1) 全世界株式を1本の投資信託で買う。

(2)日本株式と外国株式の本の投資信託で買う。
(世界市場ポートフォリオの実現のためには、10%:90%くらいの割合で買う)

(3)日本株式と先進国株式と新興国株式の本の投資信託で買う。
(世界市場ポートフォリオの実現のためには、10%:80%:10%くらいの割合で買う)

ファンドのコストなどを見ながら、好きなパターンを使いましょう。

●自分好みに修正する

実は、ポートフォリオには正解はありません。

「世界市場ポートフォリオ」はあくまで基本。あとは、好みに合わせてモディファイ(修正)していけば良いと思います。

モディファイの考え方の例としては以下のようなものがあります。

・時価総額ではなく、GDP比で買う
・年金(GPIF)の真似をする
・各資産クラスを等額で買う
・リスクが最小となる組合せで買う

などなど、きりはなく、正解もありません。

ある程度資産に対する理解が必要となりますので、投資の勉強をしながら自分自身の投資思想に合わせて、少しずつ考えていけば良いと思います。イチバン悪いのは考えすぎて投資を始められないことですので、はじめはアバウトに始めればよいのではないでしょうか。

ちなみに、自分の投資思想が「世界市場ポートフォリオ」であれば、モディファイは不要です。

●配当込み指数を買おう

株価指数には、「配当込み」のタイプと「配当除く」タイプの2つがありますが、「配当込み」の指数に連動するタイプにしましょう。配当とは、会社が稼いだ利益の一部を、定期的に株主へ還元するものです。

「配当除く」タイプの場合、原則として配当分のファンド収益を分配しなければなりません。分配金には、約%課税されます。

また複利効果(後述)を得るためには、自分で再投資をしなければいけません。運用効率が悪いのです。

実態としては、「配当除く」タイプのインデックスファンドも、分配を保留しているケースが多く、実質、「配当込み」指数に連動してしまってます。ただ、ベンチマークはあくまで、「配当除く」指数なので、運用報告書では、上方乖離(指数より上に位置すること)してしまうのです。

また、運用会社の判断で分配をすることになれば、資産形成期にある投資家にとっては運用効率が悪い状態になります。

少しややこしい話でしたが、インデックスファンドは、「配当込み」の指数に連動するタイプにしましょう。

●保有コストと実績で選ぶ

ファンドを選ぶときに注意すべきは、保有コストと実績です。

保有コスト(主として信託報酬)は、つみたてNISAの対象商品であれば、どれを選んでも問題のない水準になっています。目安としては、どの資産クラスも、0.2~0.3%程度より小さいものを選んでおけば良いでしょう。

また、意外とおろそかにされやすいのが、投資信託の運用実績です。見るべき観点を4つほど挙げておきます。

(1) そのファンドの規模(純資産総額)が継続的に成長しているか?
(2)信託報酬以外にかかっているコストが大きくないか?
(3)トラッキングエラー(指数との乖離)は大きくないか?
(4)分配実績はどうか?(複利効果の享受を期待できる長期投資では、分配ナシが良い)

これを知るには、最低でも1期分の運用報告が欲しいところです。

こと投資信託に関しては、新商品より既存商品の実績を見ましょう。

特に初心者の場合は、新規設定されたばかりのファンドは選ばない方が無難です。

NightWalker(ないとうぉーかー)
インデックスファンド、ETFがメインの個人投資家。投資ブログ「NightWalker's Investment Blog」を運営し、「普通の人のための普通の投資」の普及を願って、日々、メッセージを発信中。1984年、普通にサラリーマンになり、39歳の時、ネット証券で株式投資を始め、同時期に投資信託の積立を開始。2015年に退職勧奨を契機に投資で築いた運用資産と優遇退職金で早期退職を決断。