(本記事は、NightWalker氏の著書『世界一ラクなお金の増やし方』ぱる出版、2018年6月7日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

世界一ラクなお金の増やし方
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

【『世界一ラクなお金の増やし方』シリーズ】
(1)インデックスファンドが長期投資に向いている3つの理由
(2)初心者が選ぶべきインデックスファンド 3つの指数とは?
(3)なぜ「運用実績のないファンド」が投信ブロガーたちに選ばれるのか?
(4)リスク資産が増えたときにする「リバランス」とは?
(5)株で大暴落が起きたら必ずすべき4つの対処法

リバランスで超シンプルにリスク管理

世界一ラクなお金の増やし方
(画像=ktasimar/Shutterstock.com)

インデックス投資は、カンタンなオペレーションでできる投資ですが、残念ながら、完全にほったらかしにできるわけではありません。

長期投資成功の秘訣は、リスクをうまくコントロールしてリスク資産を保有し続けることが重要です。運用中のリスクコントロールは必須で、ほったらかすことは不可能です。

でも、心配は要りません。やることはカンタンで、大きくは、たった2つだけです。

(1)1~3年に1度リバランスをする。
(2)5~10年に1度、リスク許容度(リスク資産の割合)を見直す。

●リバランスって何?

ここで、いきなり登場したのがリバランスというオペレーションです。

リバランスって何でしょうか。

リスク資産は、当然ですが増減があります。このため、大きく価格が変動したとき最初に決めたリスク資産の割合が崩れてしまうことがあります。

ちょっと例を挙げてご説明しましょう。

たとえば私は、「リスク資産と無リスク資産の割合50%」でポートフォリオを作っているのですが、ある年、リスク資産が急上昇!40%も値上がりしたとしましょう。やった!というわけなのですが、ここは冷静に判断する必要があります。

リスク資産が40%も上昇すると、50%だったはずのリスク資産の比率は58%に増えています。(無リスク資産は変化なしとします)

これは、当初考えていたよりも、リスクを取り過ぎていることを意味しています。このときもう一度、リスク資産の比率を50%に戻しておくべきです。そして戻す作業のことを、再度バランスを取る=リバランスと呼んでいます。

●リスク資産が増えた場合

リスク資産が増えた場合、リバランスの手法には2つあります。

(1)リスク資産を売る。
(2)無リスク資産を増やす。

この2つとどちらか、あるいは両方を組み合わせてリバランス作業をすることになりますが、(1)の方法がわかりやすいです。

しかし、リスク資産を売ってしまうと利益を確定することになり譲渡益が出て税金を支払わなければなりません。

つみたてNISAの場合は、非課税の枠を放棄してしまうことになります。ということで(2)の方法を取れるならその方が良いでしょう。ただこれは、人それぞれの部分ですので、自分にフィットしたやり方を考えてみてください。

●リスク資産が減った場合

以上は、リスク資産が増えた場合ですが、リスク資産が減る場合もあります。

先の例で言えば、50%あったはずのリスク資産が、42%に減ってしまう場合です。

この場合のリバランスの方法は、単純です。まさに「買い場」が訪れているのです。無リスク資産の資金を使ってリスク資産を買い足しましょう。

ただし、この場合も2つの方法があります。

(1)一気にリスク資産を買う
(2)つみたて投資の金額を増やして徐々に調整する

少しでも保有期間を稼ぎたいのであれば、(1)の一気にリスク資産を買うという方法が良いと思います。ただ、一気に買ったらまた下がるかもしれない、などと考えている人が一気に買って、実際にさらに下がった場合の精神的なショックは計り知れません。

ですので、(2)の積み立てる金額を増やすやり方の方が、普通の人が投資を続ける上では良い方法なのではないかと思います。

これまた、人それぞれの部分ですので、自分にあったやり方を考えてみてください。

ただし、一つだけ言えるのは、「リバランスをしない長期投資はない」ということです。

これはぜひ肝に銘じておいてください。うまく相場を読んで、と考える人もいらっしゃるかもしれませんが、相場を読み違えてしょげてしまい、長期投資を続けられなくなっては、元も子もないのです。

リバランスとは、長期投資の中核テクニックです。自動車で言えば、速度の調節。スピードを出しすぎても遅すぎても危ないわけです。

適度な速度でクルージングしていきましょう。

●リバランスの発動条件

リバランスは、いつどんなときにすれば良いでしょうか。定番と言われる考え方が2つあります。

(1)1~3年に1回、リバランス

頻繁にリバランスをする必要はありません。コストや手間がかかりますし、リバランスには、(結果的にですが)利益を確定したり、お買い時に多めに買ったりする効果があります。(リバランスボーナスという呼び方をする人もいます)なので、ある程度期間をあけてリバランスした方が良いとも考えられています。

(2)資産の比率にレンジを持たせて、その範囲を超えたらリバランス

リバランスは、そんなに厳密なパーセンテージでする必要はありません。

ある程度のレンジを見ておき、それを超えたら実施すればよいです。たとえば、インデックス投資のお手本、GPIFの基本ポートフォリオは、国内債券35%(±10%)、国内株式25%(±9%)、外国債券15%(±4%)、外国株式25%(±8%)で運用されています。( )内に書いた数字がレンジです。けっこう幅を見ていることがわかります。

いずれにしてもリバランスのポイントは、「儲けたい」「損したくない」という雑念を撃ち払って、機械的に実施することです。

バランスファンドを買えば「リバランス不要」は間違い

さて、これまでの説明では、リスク資産と無リスク資産の比率についてのリバランスに視点を置いて書いてきました。

しかし、リスク資産の中でもリバランスというのはあります。

たとえば、リスク資産の中身が、日本株、先進国株、新興国株、REIT(不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として、投資者に配当する商品)の組合せだった場合、当然それぞれのバランスがずれてくるケースはあります。

リスク資産間のリバランスを自動化する方法として、バランスファンドを活用する方法があります。バランスファンドの場合、そのファンドの目標比率にファンドの方で勝手に調整してくれます。

ほったらかし度を高めたい人には、オススメのやり方です。

ただし、一点だけ注意しておいて欲しいことがあります。

「バランスファンドを買えばリバランス不要」と言う話を聞くかもしれませんが、これは間違いです。バランスファンドがリバランスしてくれるのは、あくまでリスク資産同士の割合です。

金融資産のリスクを決定づける無リスク資産との比率は調整してくれません。ここは、自分で調整するしかありません。

なお昨今、リスク資産間の連動性が高まっていることもあり、リスク資産同士の比率が崩れてしまってリバランスをするケースは減ってきています。

バランスファンドを使わなくても、リスク資産間のリバランスを実施することは少ないかもしれません。

NightWalker(ないとうぉーかー)
インデックスファンド、ETFがメインの個人投資家。投資ブログ「NightWalker's Investment Blog」を運営し、「普通の人のための普通の投資」の普及を願って、日々、メッセージを発信中。1984年、普通にサラリーマンになり、39歳の時、ネット証券で株式投資を始め、同時期に投資信託の積立を開始。2015年に退職勧奨を契機に投資で築いた運用資産と優遇退職金で早期退職を決断。