(本記事は、NightWalker氏の著書『世界一ラクなお金の増やし方』ぱる出版、2018年6月7日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

世界一ラクなお金の増やし方
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

【『世界一ラクなお金の増やし方』シリーズ】
(1)インデックスファンドが長期投資に向いている3つの理由
(2)初心者が選ぶべきインデックスファンド 3つの指数とは?
(3)なぜ「運用実績のないファンド」が投信ブロガーたちに選ばれるのか?
(4)リスク資産が増えたときにする「リバランス」とは?
(5)株で大暴落が起きたら必ずすべき4つの対処法

危機は突然あさっての方向からやってくる

世界一ラクなお金の増やし方
(画像=Totsapon Phattaratharnwan/Shutterstock.com)

世の中は、いつも危機探しに夢中です。

「マーケットにはこんな不安材料がある、安心してはいけない」と言う言説がいつも流れています。

しかし、本当の危機はメディアや論者が「危機が来る」とはやし立てるときではなく、ある日突然あさっての方向からやってきます。危機を予測することは不可能なのです。

私が運営するブログでは、マーケットが堅調なときと急落があったときの反応に差があります。

マーケットが堅調なとき「浮かれていてはいけない、いまこそリスク許容度をよく考えてみよう」と書いたときより、マーケットが不調になって、「こここそが踏ん張りどころだ」と書いたときの方が、アクセス数が多いです。

やはり、人間というのは、いざというときが来ないと「いざというときにするべきこと」を考えることができないものだなあ、と思います。

でも、大丈夫。

私自身、いざというときが来てから考えるタイプですが、なんとか投資を長く続けてきてます。経験則ですが、暴落をやり過ごすことが長期投資の成功要因の8割以上を占めます。

悲しみに暮れる前に必ずするべき4つのこと

本来は病気と同じで予防が大切なのですが、えてして痛くなってからじゃないとお医者さまには行きません。「なんで、こんなになるまで、ほったらかしにしてたの!」とお説教をされても、痛みは増して泣きたくなるだけです。

というわけで、急落に備える話をする前に「急落が起きてしまったらどうするか」というお話を先にしておきます。

(1)とりあえず「休む」

危機が訪れたときにはあわててはいけません。判断を誤ります。

暴落に対処する極意中の極意が、「何もしない」「休む」です。更に長期投資家として、理想的なのは、「ハッと気が付いたら嵐は過ぎ去っていた」ではないかと思うのです。

『ピーター・リンチの株で勝つ』という本のプロローグで、1987年10月19日の大暴落(いわゆるブラックマンデー)の時のことを触れているのですが、リンチ氏は、そのとき、アイルランドで奥様とご一緒に休暇をすごしていたそうです。

リンチ氏は、暴落を知った休暇の終わりの日にレストランで何を食べたか忘れてしまったくらいびっくり。

なにしろ、リンチ氏の伝説のマゼランファンドの時価総額が、たったの1日で当時のアイルランドのGNPに匹敵するくらい(20億ドル、18%減)下げたのです。翌日、急いで帰国して、解約に必要なだけのキャッシュを作るために株を売る指示でいっぱいいっぱい。

幸い解約は3%程度だったそうです。

この時の教訓というのが、実にユーモアたっぷりです。

・こんなことで、自分のポートフォリオを台無しにするな。
・こんなことで、素敵な旅行を台無しにするな。
・キャッシュポジションの低い時に旅行するな

キャッシュポジションというのは、資産のうち現金で持っている比率です。

ブラックマンデーのその後は、どうなったか?これはいうまでもありませんね。米国株は、その後も長期的に見れば、大きく成長を遂げるのです。

●サラリーマンの「つみたて力」はプロもうらやむ最終兵器

休むと言っても、ホントに何もしないわけではありません。嵐が来ようと何が来ようと、ひたすら積み立てましょう。

むしろ、積立額を増やす検討をするのです。

映画に出てくる不滅型のロボットの如く、どこまでもどこまでも積み立てる姿をイメージしてみてください。ミスターマーケットも恐れをなすに違いありません。

実は、これこそプロのファンドマネジャーすらできないプロもうらやむ最終兵器なのです。プロのファンドマネジャーの場合、解約はどうすることもできませんが、サラリーマン投資家の場合は自分の胸一つです。

(2)ポートフォリオのリスク資産比率をチェック

急落があった場合、私が必ず最初にすることがあります。

それは、ポートフォリオのチェックです。

たとえば、あなたが、1000万円の資産をリスク資産50%(500万円)無リスク資産50%(500万円)の割合で運用していたとします。そして、ある日ある時、株価が急落したとします。

すると、あなたの資産はどうなっているでしょうか。まず、金額で見てみましょう。

・10%下落リスク資産500万円→450万円 50万円減った。
・20%下落リスク資産500万円→400万円 100万円減った。
・30%下落リスク資産500万円→350万円 150万円減った。
・40%下落リスク資産500万円→300万円 200万円減った。
・50%下落リスク資産500万円→250万円 250万円減った。

ポートフォリオを考えたとき、「半分くらい減ってもへっちゃらさ」と思っていても、いざその時が来ると悲しみにうちひしがれてしまうのが人間です。

で、「地道に貯金しよう」とシフトして、これからが勝負の長期投資を止めてしまったりするのです。金額で見るのは、原則としてオススメできません。

私が実践しているのは、ポートフォリオのチェックと言っても、金額のチェックではありません。比率のチェックをするのです。すると、さっきの例は、こうなります。

・10%下落リスク資産比率は、50%→47%
・20%下落リスク資産比率は、50%→44%
・30%下落リスク資産比率は、50%→41%
・40%下落リスク資産比率は、50%→38%
・50%下落リスク資産比率は、50%→33%

こうやって見ると少し冷静になれます。リバランスの観点で見てみるのです。

もしあなたが、リバランスの条件を「リスク資産45%未満になった時」と決めていたとしたら、10%下落ではまだリバランスしなくてよいのです。

メディアが騒ぐ多くの急落は「一日で数%の下落」がほとんどです。このレベルでは、いちいち大騒ぎをしなくなります。

さすがに50%下落では、リスク資産も33%に減ってしまって大変なのですが、逆に「無リスク資産が67%もある。いっぱい買えるじゃん。」という見方をするのです。

どのみち、そこまで下落すれば、リバランスしなくてはなりません。もともと余裕資金で運用している長期投資です。少しでも前向きに考えるべきです。

実際、このときこそが10年に一度訪れるか訪れないかの「買い場」なのですから、長期投資家としては資産が減って悲しみつつも、喜ぶ局面なのです。

(3)スポット買いの誘惑に耐える

さて、これまでは、株価が急落して、悲しみにうちひしがれてしまうケースを想定して書いてきました。

しかしある程度相場慣れしたときに陥るのが、「スポット買い症候群」です。

「ラッキー、今がチャンスだ!」と買いたくなっちゃうのです。でも、これは、少々危険です。まだ株価は下がるかもしれないからです。

暴落は、長期投資家にとってある意味喜ぶ局面。ですが、喜びすぎるのはいけません。

株価というのは急落するけれど、じわじわ、ゆっくりとしか回復しないということが多いのです。「買い場」はありがたいことに、すぐには逃げていきません。

ですので、あくまで冷静にリバランスの観点で見ることをオススメします。

一方、リスク資産が急上昇したときに逆のことが起きます。

こちらは「利益確定症候群」とでもいうのでしょうか。必要以上に売ってしまうのです。先の例で言えば、リスク資産の比率が55%に上がった時、リバランスで50%に戻せばいいのに45%ぐらいまで売ってしまうような行動です。

これも運用を比率ではなく金額で考える人が陥りやすい罠です。

株価には、暴落とは逆に急騰局面もあります。

『敗者のゲーム』という本では、『「稲妻がきらめくとき」(株価が急騰するとき)がパフォーマンスに与える影響が大きい』と指摘しています。売ってしまうと、その先にあるかもしれないチャンスを失ってしまう可能性もあるのです。

売る場合も買う場合も、長期投資家は全運用資産に占めるリスク資産の比率を見て、判断するように心がけるべきです。

「ポートフォリオは比率で見る」これは、普通の人が投資を継続するための極意です。

(4)自分のリスク許容度を振り返る

急落したときは、自分がどの程度のリスク許容度を持っているかを知るためのチャンスでもあります。これまで述べてきたように急落したときの投資行動として絶対金額を用いるべきではありません。

しかし、リスク許容度を決める場合、絶対金額で見た方が良い場合もあります。

運用資産額が100万円の時、500万円の時、1000万円の時では、それぞれ心のリスク許容度は変わるからです。

NightWalker(ないとうぉーかー)
インデックスファンド、ETFがメインの個人投資家。投資ブログ「NightWalker's Investment Blog」を運営し、「普通の人のための普通の投資」の普及を願って、日々、メッセージを発信中。1984年、普通にサラリーマンになり、39歳の時、ネット証券で株式投資を始め、同時期に投資信託の積立を開始。2015年に退職勧奨を契機に投資で築いた運用資産と優遇退職金で早期退職を決断。