日経平均予想レンジ21,415~22,148円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は、米中貿易摩擦の激化への懸念がくすぶる中、人民元や中国株の変動を注視した神経質な展開となった。日経平均は7/6の米国による対中関税発動や雇用統計の発表を控え、短期筋の売り仕掛けから4/5以来、一時21,500円を割り込んだ。週末は想定内の中国製品への追加関税発動を受け21,788円で終了した。

海外の焦点

7/6米政府は第一弾となる340億ドル相当の中国製品に対する追加関税を発動した。これに対し中国政府は、米国に対抗せざるを得ないとして、すでに同様の措置で対抗する方針を示している。市場では過度に懸念していたこともあり、買い戻しの動きが強まっている。

ただ、今後の報復関税の応酬がどこまでエスカレートするのか見極める必要はありそうだ。一方、米中貿易摩擦の深刻化を受けて中国が対抗措置として意図的に元を少しずつ切り下げているとの見方は少なくない。中国政府は米関税に対する報復手段として通貨安を用いることを意図していないとしているが、一段の金融緩和期待や貿易戦争への懸念は短期的な不安材料になりやすい。人民銀行総裁が声明で人民元を妥当な水準で基本的に安定維持する考えを示したことで、6月半ばから急落していた人民元の続落に歯止めがかかったようだが、予断は許さない。

国内の焦点

米中両国の追加関税による不透明感の強まりから日経平均のPERは13倍を割り込んできた。2015年からは概ね13倍から15倍程度の範囲で推移してきた。2015年2、6月と2018年3月安値時には共に12倍台に入ったが持ち直し、結果として買い場提供場面となった。足元のPERは12.91倍、PER13倍での21,700円を下回っており、押し目買いゾーンに入ってきたと捉えられる。市場の落ち着き所を待つ局面であろう。

テクニカル面では日経平均は5/30安値21,931円を割り込んだことで5、6月高値23,000円でのWトップが明確に形成された。下値支持線の200日線を下回り、調整局面入りの可能性は強まった。目先のところでは節目の21,500円付近で下げ渋るかが焦点となる。下値は4/4窓埋め21,415円や3月安値から5月高値のフィボナッチ比率(61.8%押し)21,380円が意識され、上値は22,000円の節目や200日線22,148円とのレンジ相場での調整局面となろう。

来週の株式相場

以上、来週はトランプ政権が中国製品への追加関税発動後の現実的な取引に転じる可能性も予想される。このためイベント通過でアク抜け感が出るのか不透明感が増幅するのか見守る動きは続きそうだ。日経平均のレンジは上値は200日線22,148円が目処となり、下値は4/4窓埋め21,415円が意識される。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋 岡三オンライン証券 チーフストラテジスト