阪神タイガースの「ダメ出し会」になる事で知られる阪急阪神HD <9042> の株主総会だが、今年は例年以上にヒートアップしたと、スポーツ誌などで報じられている。

しかし一歩立ち止まって阪急阪神HDの株価を見ると、株価は好調そのもの。タイガースの成績に不満を抱く株主も、実は内心ホクホク顔なのではないだろうか。

成績不振の阪神タイガース

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(画像=PIXTA)

セ・リーグは広島東洋カープが球団初の3連覇に向け突っ走っている。

カープを除くと団子状態のセ・リーグの各球団だが、阪神タイガースも打撃が振るわず調子が上がらない。メジャー及び韓国リーグでの実績をひっさげ、年俸3.4億円で主砲として期待され来日したロサリオ選手は、よい所なく6月上旬に一軍の登録を抹消。打撃陣に比べれば、まだ踏ん張っている投手陣も、期待の藤波投手が2勝に留まっている。

タイガースのダメ出し会となる阪急阪神HDの株主総会は例年以上の盛況に

そんな中、阪神タイガースの親会社・阪急阪神HDの株主総会が6月13日に行われた。

阪急阪神HDは大阪の阪急電鉄と阪神電鉄を傘下に持つ持ち株会社。2006年に阪神電鉄株が村上ファンドに買い占めを受けた結果、阪急グループが助け舟を出す形で、阪急が阪神を傘下に入れ、持ち株会社の下で経営統合した経緯がある。

例年、阪急阪神HDの株主総会はタイガースの「ダメ出し会」と化すことで知られているが、今年は例年以上のダメ出し会になったとスポーツ誌などが報じた。

しかし今年の阪急阪神HDの株主は、タイガースの成績に不満はあっても、内心はホクホク顔の株主が多いと考えられる。なぜかと言えば、株価が2006年の経営統合後の最高値を上回る状態が続いているからだ。

阪急阪神HDの株価は持ち株会社化後の高値水準を維持

阪急阪神HDの株価は、2011年を底にジリジリと上昇を続いている。

過去の株価を振り返ると、村上ファンド騒動の結果として阪急グループが阪神電鉄株のTOBをすることになったのが2006年6月。その後に、阪急と阪神は持ち株会社の下で経営統合したものの、株価は2006年から2007年にかけての4000円前後が長年に渡り天井として横たわっていた。

しかし昨年10月以降、株価は4000-4500円付近で推移し、過去の株価の天井を上回る水準での値動きを見せている。そして遂に本年6月には4775円という2006年以来の最高値を更新するに至った。

株価が上がらず厳しい質問が飛び交う株主総会は多くあるが、株価は上昇の中、子会社のプロ野球球団の成績について厳しい質問が飛び交う阪急阪神HDは、日本の上場企業において極めて珍しい存在と言える。

阪急阪神HDの予想PERは約15倍であり株価上昇余地も

7月12日時点で阪急阪神HDの予想PERは約15倍。東証1部全銘柄の予想PERは14~15倍で推移しており、同社の予想PERはほぼ市場並の水準となっている。よって株価は2006年の最高値を若干上回る水準を維持しているが、今後何らかのイベントを契機に、更に株価が上昇し完全に2006年から2007年の株価の高値水準を更に上抜く可能性を有している。

業績的には2018年3月期は売上高7603億円(前年同期比+3%増)、営業利益1052億円(同 +1%増)、当期純利益663億円(同▲7%減)。2019年3月期の計画は売上高7900億円(同+4%増)、営業利益1100億円(同+5%増)の予想を開示しており、若干ながら増収増益の計画だ。

企業の株価上昇のきっかけは、決算の上方修正や事業提携などのケースが多いが、株主総会がタイガースのダメ出し会になる阪急阪神HDについては、何が株価上昇のきっかけとなるか分からない。

阪急阪神HDの株主としては、タイガースの成績が上がり、株価も更なる上昇を見せるようなら、何も言うことはない。ただし平穏な阪急阪神HDの株主総会も、何か物足りない印象を個人的には受ける。

ペナントレース後半に向け、タイガースの成績は株価に追いつくのか?

阪急阪神HDの株主総会は、タイガースのダメ出し会になるという、名物株主総会だが、今年はタイガースの成績は今一つながら株価は上昇しており、多くの株主は前向きな気分で帰路についたのではないだろうか。

プロ野球はオールスター戦後の7月16日からペナントレース後半戦がスタート。

タイガースは交流戦後、若干調子を上げている。そしてペナントレース後半戦の成績は株価に追いつくことになるのか、それとも株価がタイガースの成績に追いつくことになるのか。そんな視点でもタイガースの成績と阪急阪神HD株価の関係を眺めると、今後のタイガースの試合も面白く見ることが出来るのではないだろうか。(ZUU online 編集部)