「脱プラスチック」加速

株式新聞,紙関連銘柄
(画像=PIXTA)

プラスチックごみによる海洋汚染の問題を受け、グローバル企業の対応が本格化してきた。米スターバックスは2020年までに、プラスチック製の使い捨てストローの使用を全廃する。米マクドナルドも英国などを皮切りに順次紙製に切り替える見通し。レジ袋や包装材にも同様の動きが広がる可能性が高まる中、投資アイデアとして「紙」が浮上する。

年間800万~1200万トンが海洋に流出するとされているプラスチックごみをめぐっては、6月にカナダで開かれたG7(主要7カ国)首脳会議(シャルルボワ・サミット)で削減を定める「海洋プラスチック憲章」が採択された。人工物のプラスチックは分解されず、海洋生物が取り込むことに伴う生態系への深刻な影響が指摘されている。

憲章では、レジ袋などプラスチックごみの原因となる使い捨ての削減や、30年までにすべてのプラスチック製品を回収・再利用する目標が盛り込まれた。EU(欧州連合)が打ち出したルール案では、ストローやラップなど幅広いプラ製品が規制の対象となっている。

同憲章には米国が署名を拒み、日本もそれに同調した。ただ、両国は人口1人当たりのプラスチックごみの発生量が世界1、2位であるだけに国際的な批判は免れない。

こうした中、米国では世界的企業が、環境を配慮した経営スタンスを強化。日本でも、東京都の小池百合子知事は同憲章を支持し、使い捨てプラスチック削減を推進する考えを示している。中国やタイがごみの受け入れを規制し始めたことも、大きく影響してくる公算だ。

スタバやマクドナルドがストローをプラ製から紙製に切り替えるとみられるように、「プラ」→「紙」の流れが多くの産業で浸透していく。思惑が株価を動かすマーケットにおいては、紙袋や紙容器、包装紙などの関連銘柄に目を向ける必要があるだろう。折しも製紙セクターでは、国際紙パルプ商事(9274)の登場や、新感覚ゲームの話題性に乗った大村紙業(3953・JQ)の急騰で人気化の素地が整っている。

値動きの軽さを重視し、時価総額1000億円未満の紙袋や紙器、紙パッケージなどの関連銘柄をまとめた。

スーパーバッグ(3945・(2))は専門店向けなどの紙袋大手。レジ袋も手掛けるが、植物由来のプラスチックの活用を模索している。野崎印刷紙業(7919・(2))も包装紙や紙袋に強く、業務用のテーパートレーやウイングトレーなどもプラスチック容器の代わりになるかもしれない。

製紙7位の中越パルプ工業(3877)は、食品トレーなどに使う紙由来の新素材を製造する合弁会社を環境経営総合研究所と設立。このテーマの主役として期待したい。

一方、エコバッグの一層の普及にもつながる可能性が高い。有力銘柄はオリジナル雑貨のトランザクション(7818)。高値から調整し値ごろ感が出ている。(7月12日株式新聞掲載記事)

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