米マイクロソフトのOS(基本ソフト)「ウィンドウズ」の「7」のサポートが2020年1月に終了する。同OSをめぐっては、3世代前の「XP」のサポートが14年に完全に終了した際に駆け込み需要が発生したことが記憶に新しい。今回はOSの移行が早まる可能性も指摘され、関連銘柄の出番が近づいている。

ウィンドウズ7,サポート,買い替え特需
(画像=Wachiwit / Shutterstock.com)

ウィンドウズの最新OS「10」を搭載するPC(パソコン)の数は7億台弱に上るが、まだ世界でほぼ同数のウィンドウズ7が稼働しているとされる。一方、日本マイクロソフト(東京都・港区)の調査では中小企業がサポート終了を認識しているケースは全体の55%にとどまる。更新需要は大きい。

XPのサポート終了時には、周知の遅れから混乱も生じた。このため、マイクロソフトではユーザーに対して早めの移行を促している。折しも企業業績は好調に推移しており、設備投資の余裕が出てきている。

PCの買い替え需要は大きな経済効果を生む。IDC Japanによれば、今年の国内のIT市場規模は前年比4.3%増の17兆5158億円に拡大する見通し。PC周辺機器大手のアイ・オー・データ機器(6916)や、大塚商会(4768)は前回のOS移行時に収益が膨らんだ。

「マウスコンピュータ」ブランドで知られるMCJ(6670・(2))は、今3月期第1四半期の連結営業利益が前年同期比31%増の26億円に膨らんだ。その一因が法人向け売上だ。既に買い替え需要が強まりつつあるもよう。「e(イー)スポーツ」とともに、同社を取り巻く期待材料となっている。

OSの更新で、PCのハードのリサイクルも活性化する。そこで、中古PCやタブレットの販売・買い取りを手掛けるパシフィックネット(=PCNET、3021・(2))にも注目したい。同社はさらに、廃棄するPCのデータ消去技術に定評があり、セキュリティーへの関心の高まりも追い風だ。

PCNETは今5月期の連結営業利益を3.1億円(前期比30.3%増)と予想。株価は3月の高値1294円から6割近い調整を経ており、値ごろ感が強まっている。

このほか、法人向けPC販売のハイパー(3054・JQ)は、OS更新に伴うコンサルティングなど幅広いサービスを提供している。7月には今12月上期の連結営業利益予想を2.1億円から2.4億円(前年同期比9.0%増)に引き上げた。

個人向けPCサービスのピーシーデポコーポレーション(=PCDEP、7618)も特需の恩恵を受ける可能性がある。また、アンチウイルスソフトのソースネクスト(4344)もマークしたい。(8月9日株式新聞掲載記事)

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