JAXA(宇宙航空研究開発機構)が日本初の有人月面着陸機を開発する構想を明らかにし、大きな話題を集めている。宇宙ビジネスに注力する企業が世界的に増える中、日本でも官民挙げて宇宙産業の拡大を目指している。関連銘柄への関心も高まる。

有人月面着陸,宇宙関連
(画像=PIXTA)

JAXAは月面着陸のための小型実証機「SLIM(スリム)」を、2021年度にH2Aロケットで打ち上げる。米国が20年代に建設する月基地のプロジェクトへ参画し、欧州とも連携して30年ごろには人間を乗せた機体を着陸させる計画だ。

今回の有人月面着陸は、1961~72年に実施された米国のアポロ計画以来約60年ぶりとなる歴史的事業。その一端をJAXAが担う。30年代の早い時期に宇宙産業の規模を現在の倍の2.4兆円へと引き上げる日本政府の目標へ向けても弾みが付く。

こうした中、民間企業の参入が加速しそうだ。従来の宇宙ビジネスは国による開発が先行し、民間が後乗りする形だった。しかし、JAXAが新たに立ち上げた「宇宙イノベーションパートナーシップ」では、商業化を視野に初期段階から企業の力を取り込む。

帝国繊維(3302)はJAXAと共同で、冷却水を循環させて宇宙飛行士の体温を下げる仕組みを応用した肌着を開発。また、防護服を宇宙服に応用する動きが海外で出ており、アゼアス(3161・(2))なども関連銘柄となりそうだ。

ソフトウエア開発のセック(3741)は、小惑星探査機「はやぶさ2」に惑星探査機システムを納入したほか、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の船外実験装置、宇宙用ロボット向けなどの幅広い技術を持つ。7月には今3月期上期の営業利益予想(非連結)を2・3億円から2.8億円(前年同期比36.2%増)に引き上げている。

そして、株式新聞で特に注目するのがピーバンドットコム(3559・M)だ。同社はきぼうの船内で使われる自律飛行型のドローン(小型無人飛行機)「イントボール」の回路基板に、プリント基板技術が採用された。株価は3月の年初来高値3150円から4割近く調整し、値ごろ感が強まっている。今3月期第1四半期の非連結営業利益は0・7億円(前年同期比12.0%増)と堅調だ。

このほか、ロケット向け固体推進薬原料を手掛けるカーリットホールディングス(4275)、スペースデブリ(宇宙ごみ)対策の日東製網(3524)、宇宙太陽光利用システムの神島化学工業(4026・(2))、精密測定用治具向けの熱膨張ゼロの合金材料「LEX―ZERO」を手掛ける日本鋳造(5609)などもマークしたい。(8月22日株式新聞掲載記事)

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