推進協議会発足、政府も普及支援

キャッシュレス決済
(画像=PIXTA)

政府が現金を使わない「キャッシュレス決済」比率を2027年までに全体の4割に引き上げる方針を示す中、決済手段の一つ「QRコード」に大きな関心が集まっている。ネット通販大手のアマゾンジャパンは飲食店への導入を明らかにし、今後も広がりが期待できそうだ。キャッシュレス決済関連銘柄に注目したい。(市場動向取材班)

経済産業省が掲げた「キャッシュレス・ビジョン」では、将来的に現金以外の比率を8割まで引き上げる見通しだ。足元ではみずほフィナンシャルグループ(8411)など大手金融機関がスマートフォンを使った決済サービスに乗り出したほか、LINE(3938)もQRコード決済の手数料を最大3年間無料とするサービスを開始した。

現状、現金を使わない決済は日本では全体の約2割にも満たないが、各社がサービス投入を急いでおり、今後は普及が加速しそうだ。20年にはキャッシュレス決済の市場規模が87兆円(17年は69兆円、「電子決済総覧2017―2018」電子決済研究所/山本国際コンサルタンツ/カード・ウェーブによる)に拡大するとの見方もある。

一方、こうした動きに先行しているのが中国だ。既に現金を使わない決済の比率は6割に達しているとされ、一般的な買い物にも使われている。中国アリババの運営する決済用アプリ「アリペイ」が急速に普及する中、中国・テンセントの同様のアプリ「ウィーチャットペイ」も1日の取引回数が6億回以上にも達しているという。

海外に追い付くため、日本政府も普及を後押しする。経済産業省は企業間で規格が異なるQRコードの標準化を進め、中小事業者へのキャッシュレス端末の導入を補助するために来年度予算の概算要求に約30億円を計上する見通しだ。決済手段の普及を推進する産学官の連携組織「キャッシュレス推進協議会」も7月に立ち上がり、今年度中にもロードマップを作成する。

キャッシュレス決済の中で特に注目を集めているQRコードは、モザイク状に情報が記録され、利用者のスマホ画面に表示させたコードを店側が読み取って決済する。ウィーチャットペイなど海外でも一般的な手段となっている。ビリングシステム(=ビリングS、3623・M)はスマートフォン決済サービス「PayB(ペイビー)」で知られ、メタップス(6172・M)は子会社のpringがQRコードを用いたデジタルウォレット「pring(プリン)」を提供している。

GMOPG、フライト関心

こうした中、GMOペイメントゲートウェイ(=GMOPG、3769)は三井住友フィナンシャルグループ(8316)などとQRコードを含めた次世代決済プラットフォームに取り組んでいる。同社の今9月期第3四半期累計の連結営業利益は52億円(前年同期比60.0%増)と好調。株価は26週移動平均線を下支えとした長期の上昇トレンドを維持している。

一方、キャッシュレス決済普及の障害になると考えられるのが、規格の多さだ。決済手段にはさまざまなものがあり、QRコードにも複数の規格が存在する。フライトホールディングス(3753・(2))は、複数の規格に対応したマルチ決済装置を7月に販売。1台でクレジットカードや日本の電子マネーにも対応する。株価は直近安値の981円を底に切り返し、6月の高値1690円を目指す動きだ。

このほか、JRAでも9月からICカードを用いたキャッシュレス発売機を導入する。これらの発売機や入出金機は富士通フロンテック(6945・(2))が手掛ける。QRコード読み取りアプリのメディアシーク(=メディアS、4824・M)、ヴィンクス(3784)もマークしたい。(8月31日株式新聞掲載記事)

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