起業を志す人の胸の内には、利益の追求や夢の実現など、さまざまな思いが渦巻いていることだろう。しかし、起業における成功率はけっして高いとはいえない。独創的なアイデアだけで大成功するのは、いわば宝くじで当たるようなものだ。そもそも起業にはさまざまな課題がある。起業家はそれらを乗り越えつつ、いかにリスクを抑えるかを考えて、実行してゆくことが必要なのだ。そこで本稿では、リスクを最小限にして起業する方法について考えてみたい。

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(写真=PIXTA)

日本と世界各国の開業率は?

中小企業庁による2018年版「中小企業白書」によると、我が国の開業率は4~5%で推移している。それに対して欧米諸国では、もっとも低いドイツで7%前後、もっとも高いイギリスでは14%を超える水準で推移していることが確認できる。

また、廃業率の方では、我が国の廃業率が4%を下回る水準で推移しているのに対して、欧米諸国では、もっとも低いドイツで7%前後、もっとも高いイギリスにおいては11%で推移している。

このように、各国と比較すると日本は開業率、廃業率、双方ともに低い。その中で開業されたビジネスがどの程度の期間を経て廃業されているのかについては、さまざまな解釈があるが、開業後1年で3割近くが廃業し、開業後5年で6割近くが廃業するというデータも存在する。

起業のリスクを軽減する方法は?

起業の際、アイデアだけが先立って他のことは全ておろそかになっている人は思いのほか多い。とくに問題が生じがちなのが開業に伴う資金繰りである。このリスクを減らすには、なるべく初期投資を抑えることが肝心だ。

ビジネス経験が乏しいうちに多額の資金を投じて大規模な店舗などを作ってはみたものの、思うように売上があがらないことは往々にしてあり得る。その場合、やがては借金を抱えたまま、廃業になりかねない。このようなリスクに対応するには、たとえば店舗であれば、居抜き物件を活用するなどして初期投資を抑えるといった方法もあるだろう。

リスクを減らすには、設備投資に限らず、過剰な在庫を持たなくてよいビジネスを選択するという方法もある。自分のスキルを提供するサービス業、経験や知識をもとにしたコンサルティング業、販売できたときだけ商品仕入が発生する販売形態や代理点ビジネスなどはこの部類に入るだろう。

リスクを低減するためのM&A

起業のリスクを低減する方法の一つとしてM&Aの活用も考えられる。M&Aは企業の買収と合併であるため、小規模な起業とはまったくの無関係に思えるかもしれない。しかし、近年、M&Aは小規模起業にも広く活用されているのが実情である。

そもそも大企業がM&Aを活用する理由の一つとして、M&Aは、自社で新規にビジネスを立ち上げるより短期間に、リスクを抑えながら、事業を安定軌道に乗せられるためである。同様に起業においても、この利点を活用しない手はない。

現実的な話として、数百万円程度の資金で買うことのできる会社や事業はたくさん存在する。同じ数百万円をかけて店舗を新装したり、フランチャイズに加盟したりするのであれば、その資金ですでに稼働しているビジネスを購入するという選択肢があっていいはずだ。

そして実際、後継者不足に悩む会社と新たに起業を目指す若者との間で、双方にとって幸せなM&A取引が数多く成立しているのである。

具体的なM&Aのアクションは?

それでは、どのようにしてM&Aの対象となる会社を探せばよいのだろうか。一番の方法は売り案件情報を豊富に持っているM&A仲介会社やアドバイザーから情報を得ることである。

たとえば、小規模M&Aの支援に強いを持つアンドビズ株式会社のホームページでは売り情報一覧を検索することが可能だ。実際に検索してみると、希望譲渡価格が数百万円の案件がたくさん掲載されていることが確認できるだろう。

ただし、M&Aの手続を進めるためには専門的な知識も不可欠である。まずは信頼できるM&A仲介会社やアドバイザーに相談してみることをおすすめしたい。