日経平均株価が26日、今年1月以来となる2万4000円台に乗せた。ドル・円が2カ月ぶりに1ドル=113円台を付け、折からの好地合いを円安が後押し。前日比93円高の2万4033円で高値引け。盛り上がったまま迎える下期相場。日本株は今年もラストスパートをかけられるか。国際商品市況の動きも気になるところ。各方面の専門家に見通しを聞いた。

目先調整も2万5000円視野、2月以降は中国輸出反動注意

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(画像=PIXTA)

◎りそな銀行 チーフ・マーケット・ストラテジスト 黒瀬浩一氏

このところの日経平均株価の急騰は外国人買いが背景にあるとみられる。しかし、それが補正予算や内閣改造を手掛かりとしているのであれば、行き過ぎた反応だ。安倍首相のプライオリティーは憲法改正ではないか。目先は株高の反動が予想される。

もっとも、そのせいで上昇トレンドが崩れるとは考えにくい。なぜなら企業業績は底堅く、世界景気も好調だ。期待される今年度の増益幅を踏まえると、日経平均は2万5000円程度までの上値余地がある。主力株を中心に幅広い業種に資金が向かうだろう。年度内の高値は1~2月あたりに付けるとみる。

一方、貿易戦争の問題は侮れない。日本だけ特別というわけにはいかない。米中間ではさらなる高関税の発動が予想されるため、足元では駆け込みで中国の輸出が膨らんでいる状況だ。いずれは需要の先食いが表面化する。来年2月以降のマーケットには注意が必要だ。

業績好調、内閣改造も注目―建設、金融株をマーク

◎ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラテジスト 井出真吾氏

日本企業の業績がおおむね堅調な中、日本株は米長期金利の上昇を受けた円安という要素も追い風だ。日米の通商関係に大きな問題が生じなければ、今後予想される各社の収益計画の上方修正の波に乗り、日経平均株価が年末までには少なくとも2万5000円まで上昇するだろう。実力値としては2万6000円に近づいてもおかしくない。

一方、国内の政治をめぐっては内閣改造が焦点になる。自民党総裁選を争った石破元幹事長の処遇や、河野外務大臣の留任可否が注目される。石破氏は地方党員から多くの支持を集めたため、そこへの配慮が年末に向けて編成される今年度の第2次補正予算案に反映され、公共投資が積み増しされる期待もある。このため、建設や素材セクターをマークしたい。

また、金利上昇を受け、メガバンクを中心とした金融セクターへの関心が一段と高まりそうだ。

原油価格80ドル台へ、銅相場も売られ過ぎ修正

◎エモリキャピタルマネジメント代表 江守哲氏

米中貿易戦争への懸念を過度に織り込んだ国際商品市況は、反発の動きが継続する可能性が高い。

原油は、生産コストを踏まえると1バレル=67~68ドルあたりが下値の限界だ。米国などの好調な経済を背景に需給は引き締まっているため、先高感が強い。さらに、イランへの経済制裁やシリア、リビアまでを含めた中東情勢はマーケットへの供給抑制が強まる方向だ。ほかの産油国も現在の価格では増産に踏み切るとは考えにくい。

原油価格は中期的に80~85ドルの高値を試す動きが予想される。この水準に達せば産油国も減産をやめ、需給が緩むのではないか。銅価格も直近の安値である1トン=6000ドル前後が大底だ。実際にはEV(電気自動車)向けなどで需要は増えている。需給バランスは悪化しておらず、「中国」というキーワードを手掛かりに売られ過ぎたことは明らかだ。(9月27日株式新聞掲載記事)

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