日銀の量的金融緩和が長引いていることもあり、銀行預金も普通預金の金利は年率0.001%、1年物定期の金利も0.01%に張り付いたままで、貯金するだけではまったく資産が増えない時代です。そんななか、全銘柄の平均でも4%超の高利回りを誇るJ-REIT(不動産上場信託)は、国内最高水準の利回り商品として人気を集めてきました。しかし、REITの魅力は利回りだけではありません。資産ポートフォリオの一部として、REITに投資しておきたい理由とはなんでしょうか?

日経平均株価と逆相関の値動きが魅力に

REIT
(画像=Sergii Rudiuk_Shutterstock.com)

2018年に入って東証REIT指数は上昇に転じ、6月には約1年3ヵ月ぶりの水準まで上昇しました。その背景には国債の利回り低下で運用難に陥った国内機関投資家が平均4%台の利回りを求めて買っていることに加え、2018年に日本株を大きく売り越している外国人投資家がREITだけは買い越していることも影響しています。

REITはオフィスビルや商業施設から得られる賃料が収入源ですから、景気がよくなって不動産に対する需要が高まれば投資口価格が上昇し、悪くなれば下落します。そのため、REITは、景気との連動性が高い株価と同じように値動きすると考えるのが一般的でした。しかし、両者の値動きは2016年以降、「日経平均株価が上がるとREITは下がり、REITが上がると日経平均株価は下がる」という逆相関の関係が続いています。

本来、株式と逆相関の関係にあるのは国債など債券ですが、日本では債券の金利があまりにも低すぎるため、平均利回り4%のREITに対する根強い投資需要があります。本来、債券投資とREIT投資はまったく別物ですが、株式の代わりにREITに投資する流れが逆相関の理由といえるでしょう。今後は株式だけに投資するのではなく、資産の一部をREITでも運用することがリスク分散の観点からも必要になってくるかもしれないのです。

オリンピック後もREIT好調が続きそうな理由

日本のREIT上昇を支えてきた地価の上昇は今も着実に続いています。一部には東京五輪が終われば地価の上昇が一服するとの声もあります。しかし、五輪後にも2024年予定の山の手線新駅建設や2027年予定のリニア中央新幹線の開業、2020年代いっぱい続く渋谷駅周辺の都市開発など、大型のビル建設計画が数多く残る都市中心部の地価が大きく下がる兆候はありません。

景気が悪くなればオフィス需要が低迷し、REITの収益率は下がるともいわれます。しかし、最近のREITには、オフィス、住宅以外にも訪日観光客の需要に沸くホテル系、ネット通販の爆発的な需要に対応した物流系など、投資対象の選択肢が広がっています。

REIT投資には投資信託の活用が効果的

確かにひとつのREITだけに集中投資するのはリスクが高いですが、REITを投資対象にした投資信託を使えば、さまざまな用途のREITに分散投資することでリスク軽減が狙えます。REIT投資にとって、投資信託の活用は、安定した長期運用という面でも非常に有効性が高いといえるでしょう。

空前の低金利が続くなか、4%台の利回りは大きな魅力です。しかも、株価などリスク商品が値を下げるときに価格が上昇する逆相関の値動きは、日銀の低金利政策が継続する限り、今後も続きそうです。また、J-REITに関しては、収益源が日本国内に限られることもあって、円高など為替変動の影響も限られています。

国内最高峰の利回りと、株価の動向に左右されにくい運用の両方を同時に追求できることがREITの大きな魅力です。資産の一部をREITで運用することで、長期的な資産形成のパフォーマンス向上につなげてみませんか。

(提供:フィデリティ投信