投資や資産形成について解説した「マネー本」と呼ばれるジャンルの出版物では、今、株主優待制度に関するムックや書籍が売れ筋になっています。株主優待といえば、株主になってくれたお礼に企業が自社製品や自社買物券、グルメギフトや金券を贈る制度のことです。優待券を使ったグルメやショッピングでお得感、幸福感を味わえることが受けて、特に女性投資家に大人気の投資対象になっています。

女性投資家の発言力増加で投資の世界も大きく変わる!?

女性投資家の増加
(画像=PIXTA)

マネー本の世界などで女性投資家の存在が意識されるようになった背景には、働く女性の増加があると考えられます。内閣府が発表した男女共同参画白書(2017年版)によると、2012年から2016年の4年間で就業者人口は170万人増加していますが、そのうち女性の増加は147万人に上っています。

日本では少子高齢化が進んでいるため、この4年間で15歳から64歳の男性就業者は73万人も減少しました。一方、同じ年齢層の女性就業者は71万人も増加しています。つまり、これまで結婚して子供を産んだあと専業主婦になることの多かった女性が社会に出て働くことが、日本の労働人口低下に歯止めをかける大きな要因になっているのです。

総務省の労働力調査(2017年)を見ると、パートや派遣、契約社員など非正規雇用の女性の数は2010年からずっと増えてきました。それ以上に目を引くのが、女性の正規職員・従業員の数が2015年以降、年間20~30万人と急激に増加していることです。

非正規で働く女性の年収は100万円以下が約44%と圧倒的なのに対して、正規雇用の女性社員は年収200万円台が28%、300万円台が22%と収入も高くなっています。投資を始めるには、ある程度、お金に余裕が必要です。つまり、女性が正社員として働くことで、以前より高い収入を得ることができ、貯蓄だけでなく投資にもお金を回すようになったことが、女性投資家の存在感アップにつながっているのかもしれません。

働く女性の増加が社会にもたらす好循環とは?

アメリカの金融機関の調査によると、米国でも女性投資家は男性投資家をわずかながら上回る投資成績を残しているとのことです。その理由として、女性は男性に比べて頻繁に取引しないので手数料コストが少ないこと、女性のほうが貯蓄に回すお金が多いこと、バランス型ファンドなど株式投資だけでなく、投資信託も使ってリスク分散を図っていること、などが挙げられています。

働く女性の増加が女性投資家の増加につながっているのなら、それは実に喜ばしい好循環といえるかもしれません。というのも、女性投資家は女性に優しい企業への投資を増やす傾向が強いと考えられるため、女性に優しい企業に対する評価が高まり、ますます女性が社会参加しやすい環境が実現するかもしれないからです。

投信積み立てなど女性好みの金融商品が主役の時代が来る?!

女性投資家が増えれば、当然、女性の共感や支持を得られやすいサービスや労働環境を提供している企業の株が有望銘柄になってきます。実際、経済産業省では2012年度から毎年、女性の活躍を推進することに優れた上場企業を「なでしこ銘柄」に選定していますが、最近は選定銘柄の株価上昇が顕著です。

また、投資の世界でも株主優待株や100円から始める投信積立など、女性が好むお得感や節約、貯蓄志向に訴えかけた金融商品が、今後は主役を担う時代がやってくるかもしれません。働く女性の社会参加、それにともなう女性投資家の増加は投資の世界を大きく変える原動力になる可能性も高いのです。

(提供:フィデリティ投信